【完結】王子から婚約解消されましたが、次期公爵様と婚約して、みんなから溺愛されています

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
21 / 50

行ってはみたけど  *6/12ちょっと修正しました*

しおりを挟む
*途中からユリウス視点になります*



「私用を思い出しましたのでこのまま参りますね。おふたりは屋敷でお寛ぎ下さい。リカルドご案内して」

 私はおふたりをリカルドに託し、馬車を走らせた。

「公爵家までお願い」

 公爵家に着いたが、お義父さまもお義母さまも、ユリウス様がも留守だった。仕方がないのでまた屋敷に戻る。

 途中で明日のクリスさまとのお茶会の手土産を買おうと人気のあるスイーツ店に寄ってもらった。

「ヴィオ!」

 後ろから声をかけられて振り向く。そこには屋敷に戻ったはずのフィルがいた。

「どうしたの?」

「うん、明日の第3王子との顔合わせに手土産を持っていきたいとライザが言い出してね。それでここが人気だと教えてもらったんだ」

「さっき、買い物の時に寄ればよかったわね」

「そうだね。ライザはヴィオとの買い物がうれしくて忘れていたらしい」

 確かに私も楽しくてユリウス様のことをすっかり忘れていた。

「ヴィオは用はもう済んだの?」

 フィルはにこやかに微笑んでいる。

「ええ、屋敷に伺ったのだけれど留守だったの。約束していたわけではないので仕方ないわ」

 私はため息をついた。

「ヴィオ、せっかく会えたのだし、中でケーキを食べないか? 先程の店も美味しかったが、こちらも美味しそうだ」

「そうね」

 私はフィルの誘いに頷いた。婚約はしてるけど、フィルは従兄弟だし、ナターシャも一緒だから大丈夫よね。

 店の中は白を基調としている可愛いお店だった。

 私たちはカヌレとお茶を頼んだ。

「隣国ではどのようなスイーツが流行っているの?」

「そうだな。だいたいここと同じかな」

 我が国と隣国は基本言葉も同じだし、友好国なので、交流も盛んだ。

「お腹いっぱいになったな。ライザに怒られそうだからカヌレを買ってかえってやろう」

「そうね。リカルドにもあげましょう」

 私たちはクスクス笑いながら店の外に出た。

 それから、フィルがお土産を買いたいので付き合ってほしいと言われたのでアクセサリーのお店に行った。

 私くらいの年齢の女の子のお土産らしい。

 フィルはお花の髪飾りを選んでいた。きっと好きな人に渡すのだろう。選んでいる時のフィルはとても優しい顔をしていた。

「ヴィオは婚約者が好きなの?」

 突然そんなことを言われてびっくりした。

「う~ん。好きか嫌いかと聞かられたら間違いなく好きなんだけど、まだ結婚ってことがピンとこないの」

「だよな。まだ15だもんな」

「うん。まだ15だよね。年も離れてるし、私のような子供でなんだか申し訳なくてね。私とユリウス様じゃ釣り合わないと思わない?」

「釣り合わないとは思わないよ。貴族の結婚なんて年が離れている夫婦もいっぱいいるよ。ヴィオが好きなら大丈夫だよ」

そうなんだろうか?

「でも、ほかの貴族みたいに愛妾を持ったりしないかな? それは絶対嫌なの」
「確かにそれは嫌だな。私も結婚するなら愛し愛された相手と結婚したい。愛妾なんてもってのほかだ」

フィルも結婚の事で悩んでいるのかな?

「私はこの国に留学しようかなと思っているんだ。昨夜叔父上に話したら、屋敷に居候させてくれるって言ってくれたんだ」

「そうなの。フィルが一緒ならリカルドも喜ぶわ」

 留学か~。

 フィルはなんだか暗い顔をしている。
本当に留学したいのかしら?

「さぁ、そろそろお屋敷に戻りましょう」

 私はフィルに声をかけ、馬車に乗り込んだ。





ーユリウスー

 ヴィオ、あれはヴィオじゃないか?

 誰だあの男? ヴィオは楽しそうに笑っている。

 アクセサリー店から出てきたということはふたりで何かを買ったのか。

 俺は頭の中がごちゃごちゃになっていた。

 クリスティーナ嬢が見たというのはあの男か?

 あの男は誰なんだ? あんな奴見たこともない。


 消すしかないか。

 それともヴィオを拉致してどこかに閉じ込めるか。

 まぁ、それは結婚してからだな。

 俺からヴィオを奪おうとする奴は許さない。

とにかく今はあいつの事を調べよう。

 


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!

香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。 ある日、父親から 「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」 と告げられる。 伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。 その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、 伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。 親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。 ライアンは、冷酷と噂されている。 さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。 決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!? そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。 昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。 逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。 でも、私は不幸じゃなかった。 私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。 彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。 私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー 例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。 「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」 「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」 夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。 カインも結局、私を裏切るのね。 エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。 それなら、もういいわ。全部、要らない。 絶対に許さないわ。 私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー! 覚悟していてね? 私は、絶対に貴方達を許さないから。 「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。 私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。 ざまぁみろ」 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

いつか彼女を手に入れる日まで

月山 歩
恋愛
伯爵令嬢の私は、婚約者の邸に馬車で向かっている途中で、馬車が転倒する事故に遭い、治療院に運ばれる。医師に良くなったとしても、足を引きずるようになると言われてしまい、傷物になったからと、格下の私は一方的に婚約破棄される。私はこの先誰かと結婚できるのだろうか?

廃妃の再婚

束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの 父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。 ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。 それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。 身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。 あの時助けた青年は、国王になっていたのである。 「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは 結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。 帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。 カトルはイルサナを寵愛しはじめる。 王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。 ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。 引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。 ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。 だがユリシアスは何かを隠しているようだ。 それはカトルの抱える、真実だった──。

女公爵になるはずが、なぜこうなった?

薄荷ニキ
恋愛
「ご挨拶申し上げます。わたくしフェルマー公爵の長女、アメリアと申します」 男性優位が常識のラッセル王国で、女でありながら次期当主になる為に日々頑張るアメリア。 最近は可愛い妹カトレアを思い、彼女と王太子の仲を取り持とうと奮闘するが…… あれ? 夢に見た恋愛ゲームと何か違う? ーーーーーーーーーーーーーー ※主人公は転生者ではありません。

処理中です...