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クリス様とのお茶会からの〜
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昨夜はリリーを抱っこしたままぐっすり眠った。
今日はクリス様とのお茶会だ。
そういえば、あの華やか令嬢はどうなったのだろう?
普通なら何にもないだろうけど、あのアルブラン公爵家が何もしないわけがない。
穏便に済むといいのになぁと思う。
クリス様のお屋敷に到着した。今日は中庭にあるガゼボに通された。
「ヴィオ、待ってたわよ」
「本日はお招きいただき……」
「もう、堅苦しい挨拶はいいの。早く座って」
席に着くなりクリス様は楽しそうに笑う。
「昨日は大変だったわね」
「昨日ですか?」
「もう、しらばっくれて。キサナマバ伯爵令嬢のことよ。噂になっているわよ」
えっ? 噂?
「昨日の今日ですよ。しかもあの場にはそんなに人はいなかっはずなのに」
「貴族ネットワークを舐めちゃダメよ。どこで誰が見てるかわからないのよ」
そうなんだ。貴族って怖いよ~。
「キサナマバ伯爵家にアルブラン公爵家とメトロファン伯爵家から正式な抗議がいったそうよ」
「うちからもですか?」
「ええ。アルブラン公爵夫人が絡んでるとなると謝罪くらいでは済まないでしょうね」
お義母さま、どれだけ怖いんだ。
「キサナマバ伯爵家がアルブラン公爵夫人に睨まれていると噂が広まったら、仕事も社交もやりにくくなるわね。
アルブラン公爵家絡みの商会からは取引停止になるだろうし、味方にすると心強いけど、敵に回すと怖い。
ましてやヴィオは夫人が目の中に入れても痛くないほど溺愛しているのにね」
キサナマバ伯爵家も災難だな。もう私を虐めるなら見つからないようにやらなきゃ。
「ここだけの話だけどね。第2王子の件も後ろで糸を引いているのは夫人だって囁かれてるわ。
夫人は国王の姉だし、王妃様とは親友でしょう。生まれた時から可愛がっているヴィオが第2王子の婚約者になり、側妃様や馬鹿王女にいじめられていると知り、怒りが頂点になったみたいよ。
あの王女と一芝居打って、婚約破棄に持ち込んだみたい。あの後第2王子の事は誰も知らないでしょう? もうすでにこの世にいないかもよ」
いやそれ怖いんですけど。そういえばあれから第2王子の噂は聞かない。
「まぁ、夫人を怒らすと国すら滅ぼされるってまことしやかに言われてるわよ」
「全く知りませんでしたわ」
「ヴィオは社交界に出てないものね。夫人が出さないのか? ユリウス様が出さないのはわからないけど、ヴィオを汚れた貴族世界に出したくないんだと思うわ。
ユリウス様はたぶんヤンデレ気質だと思うから、ヴィオが好きすぎて他の男に見せたくないのかものね。
ヴィオはもう逃げられないわね。ある意味、夫人より怖いかもよ」
クリス様はふふふと笑いながらマカロンをお口に放り込んだ。
クリス様に散々楽しまれたお茶会が終わり、私は馬車に乗り帰路についた。
キーッ!
馬車が急に止まった。どうかしたのかな?
扉が開いたと思ったら、黒い服を着て覆面をつけた人が入ってきた。その人は私を馬車から連れ出そうとする。
「お嬢様をどうするつもりなの!」
ナターシャが叫ぶ。
「悪く思わねぇでくれよ」
男は無理矢理私の腕を掴もうとする。
「無礼者!!」
ナターシャは男を殴りつけた。そして鳩尾に膝蹴りを入れた。
男はうずくまる。
ナターシャは私の侍女だが、武術にも優れていて護衛も兼ねている。
薔薇園の時はユリウス様がいるので護衛は必要ないと言われ、ついてきていなかった。あんなことがあり、これからはユリウス様がいてもついて行きますと言っていた。
外にいたもう1人の男は御者に取り押さえられているようだ。メトロファン家の御者も強いのだ。
馬の足音が聞こえてきた。
今日はクリス様とのお茶会だ。
そういえば、あの華やか令嬢はどうなったのだろう?
普通なら何にもないだろうけど、あのアルブラン公爵家が何もしないわけがない。
穏便に済むといいのになぁと思う。
クリス様のお屋敷に到着した。今日は中庭にあるガゼボに通された。
「ヴィオ、待ってたわよ」
「本日はお招きいただき……」
「もう、堅苦しい挨拶はいいの。早く座って」
席に着くなりクリス様は楽しそうに笑う。
「昨日は大変だったわね」
「昨日ですか?」
「もう、しらばっくれて。キサナマバ伯爵令嬢のことよ。噂になっているわよ」
えっ? 噂?
「昨日の今日ですよ。しかもあの場にはそんなに人はいなかっはずなのに」
「貴族ネットワークを舐めちゃダメよ。どこで誰が見てるかわからないのよ」
そうなんだ。貴族って怖いよ~。
「キサナマバ伯爵家にアルブラン公爵家とメトロファン伯爵家から正式な抗議がいったそうよ」
「うちからもですか?」
「ええ。アルブラン公爵夫人が絡んでるとなると謝罪くらいでは済まないでしょうね」
お義母さま、どれだけ怖いんだ。
「キサナマバ伯爵家がアルブラン公爵夫人に睨まれていると噂が広まったら、仕事も社交もやりにくくなるわね。
アルブラン公爵家絡みの商会からは取引停止になるだろうし、味方にすると心強いけど、敵に回すと怖い。
ましてやヴィオは夫人が目の中に入れても痛くないほど溺愛しているのにね」
キサナマバ伯爵家も災難だな。もう私を虐めるなら見つからないようにやらなきゃ。
「ここだけの話だけどね。第2王子の件も後ろで糸を引いているのは夫人だって囁かれてるわ。
夫人は国王の姉だし、王妃様とは親友でしょう。生まれた時から可愛がっているヴィオが第2王子の婚約者になり、側妃様や馬鹿王女にいじめられていると知り、怒りが頂点になったみたいよ。
あの王女と一芝居打って、婚約破棄に持ち込んだみたい。あの後第2王子の事は誰も知らないでしょう? もうすでにこの世にいないかもよ」
いやそれ怖いんですけど。そういえばあれから第2王子の噂は聞かない。
「まぁ、夫人を怒らすと国すら滅ぼされるってまことしやかに言われてるわよ」
「全く知りませんでしたわ」
「ヴィオは社交界に出てないものね。夫人が出さないのか? ユリウス様が出さないのはわからないけど、ヴィオを汚れた貴族世界に出したくないんだと思うわ。
ユリウス様はたぶんヤンデレ気質だと思うから、ヴィオが好きすぎて他の男に見せたくないのかものね。
ヴィオはもう逃げられないわね。ある意味、夫人より怖いかもよ」
クリス様はふふふと笑いながらマカロンをお口に放り込んだ。
クリス様に散々楽しまれたお茶会が終わり、私は馬車に乗り帰路についた。
キーッ!
馬車が急に止まった。どうかしたのかな?
扉が開いたと思ったら、黒い服を着て覆面をつけた人が入ってきた。その人は私を馬車から連れ出そうとする。
「お嬢様をどうするつもりなの!」
ナターシャが叫ぶ。
「悪く思わねぇでくれよ」
男は無理矢理私の腕を掴もうとする。
「無礼者!!」
ナターシャは男を殴りつけた。そして鳩尾に膝蹴りを入れた。
男はうずくまる。
ナターシャは私の侍女だが、武術にも優れていて護衛も兼ねている。
薔薇園の時はユリウス様がいるので護衛は必要ないと言われ、ついてきていなかった。あんなことがあり、これからはユリウス様がいてもついて行きますと言っていた。
外にいたもう1人の男は御者に取り押さえられているようだ。メトロファン家の御者も強いのだ。
馬の足音が聞こえてきた。
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