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アルブラン公爵家の人々
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ディナーが済み、私たちはサロンに移動した。
「ヴィオちゃん、明日は私も一緒に行きたいわ」
「だめです」
お義母さまの言葉をユリウス様が問答無用とばかりに切り捨てる。
「たまにはヴィオとふたりにして下さい。母上はいつも一緒にいるでしょう」
なんだかユリウス様から凄い圧を感じる。
お義母さまはふんと鼻で笑った。
「そうね。今回は譲ってあげるわ。でもあなたの出方次第で私はあなたの敵になりますからね」
「私もだ」
お義母さまのなんだか怖い言葉にお義父さまも乗っかってくる。
まるでおふたりはユリウスさまをからかって面白がっている様だ。
「どうぞお好きなように。私はおふたりにヴィオを渡しませんから」
ユリウス様もなんだか怖い。
客間に戻り、私についてきている侍女のナターシャにドレスを脱がせてもらい、湯浴みの後はお肌のケアや髪のケアをしてもらう。そしてベッドに入る。
アルブラン公爵家の3人は不思議な人たちだと思う。
お義父さまは見目麗しいイケオジで恐ろしいほどのお金持ち。
筆頭公爵家で本来なら政治の中枢にいなくちゃならない人なんだけど、商会の仕事と領地の仕事が忙しいとそれを蹴った。
いとこの国王様には辛辣な事をズバズバ言えるほど信頼されている。
何故かお義父さまは貴族達から怖い人と思われている。私にはめちゃくちゃ優しいんだけどね。
そしてお義母さまは、国王の姉君で絶世の美女。
きっとこの世に怖いものなんかないみたいな凄い人。
商才もあり、自ら商会を立ち上げ大成功している。女王になった方が良かったんじゃないかと貴族達が噂しているそうだ。
嫌いなものは側妃様とその子供達で王妃様とは仲が良い。
私のお母さまを妹の様に可愛がっていて、その娘の私も生まれた時からとても可愛がってくれている。でも、さすが元王女様、圧は半端ない。
そしてユリウス様は私より8歳年上。アルブラン公爵夫妻の唯一のお子様。
おふたりの容姿を受け継ぎ恐ろしいほどの美形。プラチナブロンドの髪と吸い込まれそうな深いブルーの瞳。私の初恋の人だ。今は第2騎士団の副団長をしている。
私が物心ついた時にはもう側にいて、私の世話を焼いてくれていた様だ。
しかし、私が5歳になるちょっと前に、ユリウス様は隣国に留学したり、全寮制の王立学校に行ったり、騎士団に入ったりだったし、私が5歳で第2王子の婚約者になったので、それほど交流はなかった。
ただ、折に触れプレゼントをくれたり、お花をくれたりした。当時の婚約者の第2王子は何にもプレゼントしてくれなかったので、ユリウス様の方がよっぽど婚約者みたいだった。
ユリウス様は貴族の方々から冷酷無比の冷徹騎士などと言われている。いつも無表情で恐ろしく強いのでそう言われているらしいが私にはめちゃくちゃ優しいし、表情も豊かだ。きっと公私を分けているんだろう。
美しいし、強いし、優しいのできっとモテモテだろう。
私は社交界にデビューしていないし、噂はお友達のクリス様から入ってくる位なのだが、女嫌いと噂されていて女性を寄せ付けないらしい。
私と婚約したのはカモフラージュじゃないか?とも囁かれているそうだ。
私は第2王子に婚約解消されて可哀想だから婚約してくれたんじゃないかと思っている。
朝になり、朝食を食べた後、客間に戻り、ナターシャに可愛くしてもらう。
「ヴィオ~! 用意はできたかい? そろそろ行こうか?」
扉の向こうでユリウス様の声がする。
「はい。大丈夫ですわ」
私がそう言い部屋の外に出ると、赤い顔をしたユリウス様はまた手で顔を押さえている。体調がわるいのかしら?
「ユリウス様、身体の調子がお悪いのですか?」
「い、いや、大丈夫だ。元気すぎるくらいだ」
そうなのかしら? なんだか熱っぽそうだけど。
私はユリウス様のエスコートで馬車に乗り街に向かった。
「ヴィオちゃん、明日は私も一緒に行きたいわ」
「だめです」
お義母さまの言葉をユリウス様が問答無用とばかりに切り捨てる。
「たまにはヴィオとふたりにして下さい。母上はいつも一緒にいるでしょう」
なんだかユリウス様から凄い圧を感じる。
お義母さまはふんと鼻で笑った。
「そうね。今回は譲ってあげるわ。でもあなたの出方次第で私はあなたの敵になりますからね」
「私もだ」
お義母さまのなんだか怖い言葉にお義父さまも乗っかってくる。
まるでおふたりはユリウスさまをからかって面白がっている様だ。
「どうぞお好きなように。私はおふたりにヴィオを渡しませんから」
ユリウス様もなんだか怖い。
客間に戻り、私についてきている侍女のナターシャにドレスを脱がせてもらい、湯浴みの後はお肌のケアや髪のケアをしてもらう。そしてベッドに入る。
アルブラン公爵家の3人は不思議な人たちだと思う。
お義父さまは見目麗しいイケオジで恐ろしいほどのお金持ち。
筆頭公爵家で本来なら政治の中枢にいなくちゃならない人なんだけど、商会の仕事と領地の仕事が忙しいとそれを蹴った。
いとこの国王様には辛辣な事をズバズバ言えるほど信頼されている。
何故かお義父さまは貴族達から怖い人と思われている。私にはめちゃくちゃ優しいんだけどね。
そしてお義母さまは、国王の姉君で絶世の美女。
きっとこの世に怖いものなんかないみたいな凄い人。
商才もあり、自ら商会を立ち上げ大成功している。女王になった方が良かったんじゃないかと貴族達が噂しているそうだ。
嫌いなものは側妃様とその子供達で王妃様とは仲が良い。
私のお母さまを妹の様に可愛がっていて、その娘の私も生まれた時からとても可愛がってくれている。でも、さすが元王女様、圧は半端ない。
そしてユリウス様は私より8歳年上。アルブラン公爵夫妻の唯一のお子様。
おふたりの容姿を受け継ぎ恐ろしいほどの美形。プラチナブロンドの髪と吸い込まれそうな深いブルーの瞳。私の初恋の人だ。今は第2騎士団の副団長をしている。
私が物心ついた時にはもう側にいて、私の世話を焼いてくれていた様だ。
しかし、私が5歳になるちょっと前に、ユリウス様は隣国に留学したり、全寮制の王立学校に行ったり、騎士団に入ったりだったし、私が5歳で第2王子の婚約者になったので、それほど交流はなかった。
ただ、折に触れプレゼントをくれたり、お花をくれたりした。当時の婚約者の第2王子は何にもプレゼントしてくれなかったので、ユリウス様の方がよっぽど婚約者みたいだった。
ユリウス様は貴族の方々から冷酷無比の冷徹騎士などと言われている。いつも無表情で恐ろしく強いのでそう言われているらしいが私にはめちゃくちゃ優しいし、表情も豊かだ。きっと公私を分けているんだろう。
美しいし、強いし、優しいのできっとモテモテだろう。
私は社交界にデビューしていないし、噂はお友達のクリス様から入ってくる位なのだが、女嫌いと噂されていて女性を寄せ付けないらしい。
私と婚約したのはカモフラージュじゃないか?とも囁かれているそうだ。
私は第2王子に婚約解消されて可哀想だから婚約してくれたんじゃないかと思っている。
朝になり、朝食を食べた後、客間に戻り、ナターシャに可愛くしてもらう。
「ヴィオ~! 用意はできたかい? そろそろ行こうか?」
扉の向こうでユリウス様の声がする。
「はい。大丈夫ですわ」
私がそう言い部屋の外に出ると、赤い顔をしたユリウス様はまた手で顔を押さえている。体調がわるいのかしら?
「ユリウス様、身体の調子がお悪いのですか?」
「い、いや、大丈夫だ。元気すぎるくらいだ」
そうなのかしら? なんだか熱っぽそうだけど。
私はユリウス様のエスコートで馬車に乗り街に向かった。
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