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【閑話】たまにはほっこり
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自室でひとりのんびりしていたらアルトゥール様がやってきた。
「ディー、入ってもいいか?」
「もちろんですわ。お茶を淹れましょうか?」
「あぁ、ディーのお茶は久しぶりだな」
「そうですね。最近ずっと忙しかったから、ゆっくりお茶を飲む時間もないですものね」
本当にこの頃は忙しい。気がつけばアルトゥール様とお茶を飲むこともなくなっている。
「何か、お話ですか?」
アルトゥール様はふっと笑った。
「いや、特に話はないんだ。ただこんな時だからちょっとゆっくりしようかと思ったんだ」
さすがだな。こんな時だからか。
「ディーはうちに来てからずっと動いているだろう。私はディーに助けてもらってばかりだ。ディーはうちに来てよかったのかなと時々思うのだ。他家であればもっとのんびりできたのではないかと」
アルトゥール様は私が淹れたお茶を飲んだ。
「美味しいな。ディーのお茶は本当に美味しい。ディーはまだ若いし、なんでもできる。私のような子持ちやもめに嫁ぐような令嬢ではないはずなのに……」
全く何を言っているのだか。
「私はアル様に嫁いで幸せですわ。このグローズクロイツ領は私にとって天国です。リーゼもリーンも私が産んだ子供のつもりですよ。アル様こそ、私みたいな暴れん坊で良かったのですか? もっとお淑やかな令嬢が良かったんじゃないですか?」
こてんと小首を傾げてみた。
アルトゥール様は赤い顔をしている。
「ディーがいい。ディーでないとダメだ。初めて会った時、こんなにディーを好きになるなんて思わなかった。私のような者のところに嫁がされる可哀想な令嬢を大切にしなければならないと思った。でも今はディーが私やグローズクロイツ領を嫌だと言っても手放せそうもない」
「嬉しいですわ。私もいらないと言われても出ていくつもりはありませんよ」
私もお茶をごくりと飲んだ。
「あ~、ズルい。ふたりでこっそりお茶ですか?」
アンネリーゼがリーンハルトを連れて部屋に入ってきた。
「あら、リーゼは鑑定でいそがしいのではないの?」
「休憩です」
「じゃあ、一緒にお茶にしましょう」
リーンハルトをアルトゥール様に渡し、アンネリーゼにお茶を淹れた。
「やっぱりディーママのお茶は美味しいわ」
もう、親子揃って同じことを言い。
「こうやって見ると、リーゼはアル様によく似ているわね」
私の言葉にアンネリーゼは眉根を寄せた。
「もう、勘弁してよ。私はこんなゴリマッチョじゃないわ~」
「顔や仕草よ。リーゼがゴリマッチョだったら大変だわ」
「顔ならまぁいいわ。お父様はよく見るとイケメンだもの」
リーゼの言葉にアルトゥール様は首を捻る。
「イケメンとはなんだ?」
アンネリーゼの言葉は時々前世の用語が入るので面白い。イケメンとはなんだろう?
「イケメンとは、まぁ、美男子みたいな意味です。お父様は大きな身体に目がいきがちですが、お顔はなかなか綺麗でしょ? ねっディーママ?」
私に振られても困る。
「そ、そうね」
「なんだかお邪魔だったかな? リーン行きましょうか?」
「あーい!」
アンネリーゼはお茶を飲み干すと、リーンハルトの手を取り「ごゆっくり」と言い部屋を出て行ってしまった。
部屋に残された私達は顔を見合わせて笑った。
7歳で中身は32歳の娘はとても面白くて可愛い。
2歳の息子はただただ可愛い。
そして30歳を超えた夫はとてもかっこよくて、優しくて、強くて、頼りになる。
私が幸せでなければ、誰が幸せなのだろう。
王命万歳!!
伯父様ありがとう。
恩を返す為にも私は頑張るよ。
「ディー、入ってもいいか?」
「もちろんですわ。お茶を淹れましょうか?」
「あぁ、ディーのお茶は久しぶりだな」
「そうですね。最近ずっと忙しかったから、ゆっくりお茶を飲む時間もないですものね」
本当にこの頃は忙しい。気がつけばアルトゥール様とお茶を飲むこともなくなっている。
「何か、お話ですか?」
アルトゥール様はふっと笑った。
「いや、特に話はないんだ。ただこんな時だからちょっとゆっくりしようかと思ったんだ」
さすがだな。こんな時だからか。
「ディーはうちに来てからずっと動いているだろう。私はディーに助けてもらってばかりだ。ディーはうちに来てよかったのかなと時々思うのだ。他家であればもっとのんびりできたのではないかと」
アルトゥール様は私が淹れたお茶を飲んだ。
「美味しいな。ディーのお茶は本当に美味しい。ディーはまだ若いし、なんでもできる。私のような子持ちやもめに嫁ぐような令嬢ではないはずなのに……」
全く何を言っているのだか。
「私はアル様に嫁いで幸せですわ。このグローズクロイツ領は私にとって天国です。リーゼもリーンも私が産んだ子供のつもりですよ。アル様こそ、私みたいな暴れん坊で良かったのですか? もっとお淑やかな令嬢が良かったんじゃないですか?」
こてんと小首を傾げてみた。
アルトゥール様は赤い顔をしている。
「ディーがいい。ディーでないとダメだ。初めて会った時、こんなにディーを好きになるなんて思わなかった。私のような者のところに嫁がされる可哀想な令嬢を大切にしなければならないと思った。でも今はディーが私やグローズクロイツ領を嫌だと言っても手放せそうもない」
「嬉しいですわ。私もいらないと言われても出ていくつもりはありませんよ」
私もお茶をごくりと飲んだ。
「あ~、ズルい。ふたりでこっそりお茶ですか?」
アンネリーゼがリーンハルトを連れて部屋に入ってきた。
「あら、リーゼは鑑定でいそがしいのではないの?」
「休憩です」
「じゃあ、一緒にお茶にしましょう」
リーンハルトをアルトゥール様に渡し、アンネリーゼにお茶を淹れた。
「やっぱりディーママのお茶は美味しいわ」
もう、親子揃って同じことを言い。
「こうやって見ると、リーゼはアル様によく似ているわね」
私の言葉にアンネリーゼは眉根を寄せた。
「もう、勘弁してよ。私はこんなゴリマッチョじゃないわ~」
「顔や仕草よ。リーゼがゴリマッチョだったら大変だわ」
「顔ならまぁいいわ。お父様はよく見るとイケメンだもの」
リーゼの言葉にアルトゥール様は首を捻る。
「イケメンとはなんだ?」
アンネリーゼの言葉は時々前世の用語が入るので面白い。イケメンとはなんだろう?
「イケメンとは、まぁ、美男子みたいな意味です。お父様は大きな身体に目がいきがちですが、お顔はなかなか綺麗でしょ? ねっディーママ?」
私に振られても困る。
「そ、そうね」
「なんだかお邪魔だったかな? リーン行きましょうか?」
「あーい!」
アンネリーゼはお茶を飲み干すと、リーンハルトの手を取り「ごゆっくり」と言い部屋を出て行ってしまった。
部屋に残された私達は顔を見合わせて笑った。
7歳で中身は32歳の娘はとても面白くて可愛い。
2歳の息子はただただ可愛い。
そして30歳を超えた夫はとてもかっこよくて、優しくて、強くて、頼りになる。
私が幸せでなければ、誰が幸せなのだろう。
王命万歳!!
伯父様ありがとう。
恩を返す為にも私は頑張るよ。
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