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32話 はじまる?
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リドカイン様がゾレアに接触したそうだ。ゾレアが前の記憶があるかどうかはまだわからない。接触した感じでは記憶は無いようだ。ただ、魅了の魔法は使える感じがしたらしい。
リドカイン様の話によると、ジュリナや私が子供の頃に話した事が発端となり、セレニカ王国でゾレアとゾレアが養女になった男爵家をマークしていたらしい。
男爵家がゾレアを養女にする前に悪事を摘発し取り潰した。とにかくセレニカ王国に入ってくるのを阻止しようとしたそうだ。
ゾレアのバックにペンタサ王国がいるのはわかっていたので、暗部の者をペンタサ王国に潜入させた。リドカイン様はリルゾール王国に入り、リルゾール王国の暗部と協力し、両国でともにペンタサ王国を調べ始めた。そして、リドカイン様もゾレアと接触するためにリルゾール王国とペンタサ王国を行ったり来たりし、ついにゾレアがリルゾール王国に入ったことを突き止めたのだ。
王弟殿下が口を開く。
「ラボナ伯爵はどちらかと言えば下位貴族よりの伯爵家だ。それほど力はないが、ペンタサ王国がバックにあるのか、もしくは手駒にされているのか」
「夫人の叔父がペンタサの中央にいるのです。ペンタサ王国は最初にセレニカ王国を狙っていたようですが、先にリルゾール王国を落とそうとターゲット国を変えたようです。そこでゾレアを入国させて魅了の魔法を使わせて、リルゾール王国の中枢にに入り込もうとしているようですね」
リドカイン様が両国の暗部が調べていた資料を見せる。
ルセフィ様はニヤリとした。
「罠に嵌めるとするか」
「罠?」
「魅了の魔法にかかったふりをしてペンタサ王国を誘き寄せる」
そんな……。ふりなんてできるの?
「ルナ、大丈夫だ。心配いらない」
「でも……」
「ルナはブロチゾラム家の者達やミオナール達と一緒にいてくれ」
ジュリナが私の肩をぽんと叩く。
「大丈夫よ。私もニーナもいるわ。それに私達の護衛にはイグザレルト様がついてくれるわ。あの人はゾレアに並々ならぬ嫌悪感をもっているから直接接触して騙すのは無理だものね」
不安だけれど、ルセフィ様が大丈夫だというなら信じるしか無い。
楽しいはずのパーティーがとんでもないことになった。
ゾレアが動き出したら、私達は地下で過ごすことになるそうだ。
リルゾール王国の王宮と王弟殿下の屋敷、暗部を取り仕切る公爵家、そしてブロチゾラム公爵邸の地下は通路で繋がっていた。これは4家の者以外は知らないという。地下は暗部に守られているし、結界が張り巡らされているので安全だという。
地下といっても全く息苦しさなどは感じない。普通の生活と変わりない。通路には緑も沢山ある。隠れているが、外の様子はあの魔道具で随時見る事ができる。
「こんな経験あまりないから楽しいわね」
「ほんと。女神も楽しんでいるわね」
ミオナール様とアラセナ様の話によると、これも女神の戯れらしい。
「この辺りでペンタサを叩いておくおつもりなのよ。可愛いいとしごや聖女や子供達に危害を加えたペンタサ許すまじなんじゃないかしらね」
ミオナール様が口角を上げた。
「私達は高みの見物ならぬ地底の見学をいたしましょう」
アラセナ様も笑う。
私はドキドキしたまま手をぎゅっと握りしめていた。
リドカイン様の話によると、ジュリナや私が子供の頃に話した事が発端となり、セレニカ王国でゾレアとゾレアが養女になった男爵家をマークしていたらしい。
男爵家がゾレアを養女にする前に悪事を摘発し取り潰した。とにかくセレニカ王国に入ってくるのを阻止しようとしたそうだ。
ゾレアのバックにペンタサ王国がいるのはわかっていたので、暗部の者をペンタサ王国に潜入させた。リドカイン様はリルゾール王国に入り、リルゾール王国の暗部と協力し、両国でともにペンタサ王国を調べ始めた。そして、リドカイン様もゾレアと接触するためにリルゾール王国とペンタサ王国を行ったり来たりし、ついにゾレアがリルゾール王国に入ったことを突き止めたのだ。
王弟殿下が口を開く。
「ラボナ伯爵はどちらかと言えば下位貴族よりの伯爵家だ。それほど力はないが、ペンタサ王国がバックにあるのか、もしくは手駒にされているのか」
「夫人の叔父がペンタサの中央にいるのです。ペンタサ王国は最初にセレニカ王国を狙っていたようですが、先にリルゾール王国を落とそうとターゲット国を変えたようです。そこでゾレアを入国させて魅了の魔法を使わせて、リルゾール王国の中枢にに入り込もうとしているようですね」
リドカイン様が両国の暗部が調べていた資料を見せる。
ルセフィ様はニヤリとした。
「罠に嵌めるとするか」
「罠?」
「魅了の魔法にかかったふりをしてペンタサ王国を誘き寄せる」
そんな……。ふりなんてできるの?
「ルナ、大丈夫だ。心配いらない」
「でも……」
「ルナはブロチゾラム家の者達やミオナール達と一緒にいてくれ」
ジュリナが私の肩をぽんと叩く。
「大丈夫よ。私もニーナもいるわ。それに私達の護衛にはイグザレルト様がついてくれるわ。あの人はゾレアに並々ならぬ嫌悪感をもっているから直接接触して騙すのは無理だものね」
不安だけれど、ルセフィ様が大丈夫だというなら信じるしか無い。
楽しいはずのパーティーがとんでもないことになった。
ゾレアが動き出したら、私達は地下で過ごすことになるそうだ。
リルゾール王国の王宮と王弟殿下の屋敷、暗部を取り仕切る公爵家、そしてブロチゾラム公爵邸の地下は通路で繋がっていた。これは4家の者以外は知らないという。地下は暗部に守られているし、結界が張り巡らされているので安全だという。
地下といっても全く息苦しさなどは感じない。普通の生活と変わりない。通路には緑も沢山ある。隠れているが、外の様子はあの魔道具で随時見る事ができる。
「こんな経験あまりないから楽しいわね」
「ほんと。女神も楽しんでいるわね」
ミオナール様とアラセナ様の話によると、これも女神の戯れらしい。
「この辺りでペンタサを叩いておくおつもりなのよ。可愛いいとしごや聖女や子供達に危害を加えたペンタサ許すまじなんじゃないかしらね」
ミオナール様が口角を上げた。
「私達は高みの見物ならぬ地底の見学をいたしましょう」
アラセナ様も笑う。
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