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30話 ミオナール様のお屋敷でパーティーです3
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「やっと見つけたわ。息子のザイティガを紹介するわね」
ミオナール様が子息のザイティガ様を紹介してくれると言う。
ザイティガ様は今、13歳。すでに魔導士として活躍しているらしい。
「ティガ、ルナベルよ」
えっ、まさかこの人……。この人、動画電話機をもらった時にジュリナと一緒にいて、使い方の説明をしてくれた人じゃないかしら?
「ひょっとして、リナと一緒に魔道具を作っているティガ様?」
「そうだよ。動画電話を説明した時に会ったよね」
まさか、ミオナール様の子息がジュリナと一緒に魔道具開発をしているティガ様だったとは驚いた。
日本という文明が発達した世界で生きていたジュリナはその時に使っていた便利な道具を魔道具に置き換えて作れないかと研究している。
動画電話機とは、魔石にお互いの顔を映しながら会話ができるもので、セレニカに帰るアローノに渡し、リルゾール王国にいる私とあちらのアローノがそれを使い、しょっちゅう話をしている。
私達以外にも何人かに渡し、概ね好評だったので商品化する予定だそうだ。
ザイティガ様は見目麗しくにこやかだ。
「今日はあとで、リナと研究中の物を色々見せるから楽しみにしておいてね」
「はい。リナも来ているのですか?」
「うん。リナは今準備中。君に会ったら後で会いましょうと言っといてと言われたよ」
ジュリナも来ていたのか。それにしてもザイティガ様は大人っぽいので13歳には見えない。てっきり年上だと思っていた。
「ティガと知り合いだったのか?」
突然、ルセフィ様の声がして驚いた。ミオナール様とアラセナ様がニヤニヤ笑っている。
「狭量な男は30分も持たないわね~」
「全く。ジオに足止めをさせたのに役に立たないわね」
ジオ?
「叔父上に足止めをさせてまで私とルナを引き離して一体何をするつもりだったんだ!」
ジオとは王弟殿下のことか。そういえばジオトリフ・リルゾール様だったような。
「何もしないわよ。気兼ねなくいろんな人をルナベルに紹介しようと思ったの。あなたがいたら、殺気がすごいんだもの」
「そうよ。ティガに会わせただけで凍りつくかと思うくらいの冷気が漂っていたわよ」
ミオナール様とアラセナ様はケラケラ笑う。
眷属って王太子より偉いようだ。アラセナ様が私の耳元で囁いた。
「ルセフィは前の世界であなたが死んじゃったから生涯独身だったのよ。だから余計に必死なのかもね。前の記憶がなくてよかったわね。なくても潜在意識に残っているのね。記憶があったらきっと、監禁されちゃうわよ」
何それ?
ミオナール様を見ると声を出さずに口パクで「あとでね」と言った。あとでまたルセフィ殿下がいないところで教えてくれるのだろう。
「行くぞ!」
私はルセフィ殿下に腕を掴まれ、ミオナール様達と引き離された。
「ルナベルが絡むと途端に残念な人になるわね。イグザレルトもそうだけど。全く狭量な男は嫌だわ」
あ~嫌だ嫌だとふたりで扇子をパタパタしている。私はそれほど嫌でもないのだけれど。ジェミニーナもきっとそうだろう。
それからは色々な人と挨拶をしながら、ルセフィ様とふたりでダンスを踊ったり、食事をしたり、楽しい時間を過ごした。
「皆さん、邸内のサロンに移動してもらえますか? 今から私とリナでちょっと面白い物をご覧に入れます」
ザイティガ様の声が中庭に広がる。姿は見えないのに声だけが聞こえる。これもふたりが開発した魔道具だろうか?
「行こう」
ルセフィ様に手を引かれ、邸内のサロンに移動した。
ミオナール様が子息のザイティガ様を紹介してくれると言う。
ザイティガ様は今、13歳。すでに魔導士として活躍しているらしい。
「ティガ、ルナベルよ」
えっ、まさかこの人……。この人、動画電話機をもらった時にジュリナと一緒にいて、使い方の説明をしてくれた人じゃないかしら?
「ひょっとして、リナと一緒に魔道具を作っているティガ様?」
「そうだよ。動画電話を説明した時に会ったよね」
まさか、ミオナール様の子息がジュリナと一緒に魔道具開発をしているティガ様だったとは驚いた。
日本という文明が発達した世界で生きていたジュリナはその時に使っていた便利な道具を魔道具に置き換えて作れないかと研究している。
動画電話機とは、魔石にお互いの顔を映しながら会話ができるもので、セレニカに帰るアローノに渡し、リルゾール王国にいる私とあちらのアローノがそれを使い、しょっちゅう話をしている。
私達以外にも何人かに渡し、概ね好評だったので商品化する予定だそうだ。
ザイティガ様は見目麗しくにこやかだ。
「今日はあとで、リナと研究中の物を色々見せるから楽しみにしておいてね」
「はい。リナも来ているのですか?」
「うん。リナは今準備中。君に会ったら後で会いましょうと言っといてと言われたよ」
ジュリナも来ていたのか。それにしてもザイティガ様は大人っぽいので13歳には見えない。てっきり年上だと思っていた。
「ティガと知り合いだったのか?」
突然、ルセフィ様の声がして驚いた。ミオナール様とアラセナ様がニヤニヤ笑っている。
「狭量な男は30分も持たないわね~」
「全く。ジオに足止めをさせたのに役に立たないわね」
ジオ?
「叔父上に足止めをさせてまで私とルナを引き離して一体何をするつもりだったんだ!」
ジオとは王弟殿下のことか。そういえばジオトリフ・リルゾール様だったような。
「何もしないわよ。気兼ねなくいろんな人をルナベルに紹介しようと思ったの。あなたがいたら、殺気がすごいんだもの」
「そうよ。ティガに会わせただけで凍りつくかと思うくらいの冷気が漂っていたわよ」
ミオナール様とアラセナ様はケラケラ笑う。
眷属って王太子より偉いようだ。アラセナ様が私の耳元で囁いた。
「ルセフィは前の世界であなたが死んじゃったから生涯独身だったのよ。だから余計に必死なのかもね。前の記憶がなくてよかったわね。なくても潜在意識に残っているのね。記憶があったらきっと、監禁されちゃうわよ」
何それ?
ミオナール様を見ると声を出さずに口パクで「あとでね」と言った。あとでまたルセフィ殿下がいないところで教えてくれるのだろう。
「行くぞ!」
私はルセフィ殿下に腕を掴まれ、ミオナール様達と引き離された。
「ルナベルが絡むと途端に残念な人になるわね。イグザレルトもそうだけど。全く狭量な男は嫌だわ」
あ~嫌だ嫌だとふたりで扇子をパタパタしている。私はそれほど嫌でもないのだけれど。ジェミニーナもきっとそうだろう。
それからは色々な人と挨拶をしながら、ルセフィ様とふたりでダンスを踊ったり、食事をしたり、楽しい時間を過ごした。
「皆さん、邸内のサロンに移動してもらえますか? 今から私とリナでちょっと面白い物をご覧に入れます」
ザイティガ様の声が中庭に広がる。姿は見えないのに声だけが聞こえる。これもふたりが開発した魔道具だろうか?
「行こう」
ルセフィ様に手を引かれ、邸内のサロンに移動した。
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