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28話 ミオナール様のお屋敷でパーティーです2
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馬車でミオナール様の屋敷に向かっている途中、車窓を眺めていたらとんでもない人の姿が目に入った。
「あれは!」
「ルナ、どうした?」
「あれは、ゾレアです。間違いないわ。なぜゾレアがリルゾール王国にいるの?」
私はガタガタと震えが止まらない。
「ゾレアとは、魅了の魔法でテオドール殿達を意のままにした女か?」
「はい。まさかリルゾール王国に現れるなんて……」
ルセフィ殿下が魅了の魔法にかかってしまったらどうしよう。婚約破棄されたら……。
きっと私は真っ青になっているのだろう。ルセフィ様にぎゅっと抱きしめられた。
「ルナ、大丈夫だ。私は魅了の魔法にはかからない。何も心配いらない」
「本当に?」
「あぁ、私達は物心ついた頃から、精神拘束魔法を受け付けない身体と心になる訓練を受けるんだ。王族はみんなそうだ」
そうなのか、さすが魔法大国だ。これからはセレニカ王国の王族もそんな訓練が受けられるようになるといい。
ルセフィ様は私をぎゅっと抱きしめたままだ。
「それに、私やクラリスは無効化の魔法が使える。たとえ誰かが魅了にかかってもそれを無効化することができる。もう、ルナに辛い思いはさせない。とにかく、到着したら、その女の話をして、皆で対策を練ろう。泳がせて元を断つのもありかもな。心配はいらない」
ルセフィ様は優しく微笑み私の頭を撫でた。
ミオナール様のお屋敷に到着した。私はルセフィ様のエスコートで馬車から降りる。
「殿下、ルナベル、ようこそ」
ミオナール様が出迎えてくれる。ルセフィ様がミオナール様の耳元で囁く。
「ミオナ、叔父上とイグザレルトに話がある。パーティーの前に話せるか?」
「かしこまりました。すぐに場所を作りますわ」
ミオナール様はメイドに目配せをして、私達を地下に案内させた。
「地下があるのですね」
ルセフィ様に話かけた。
「あぁ、この屋敷は王宮と同じで有事の際は地下で隠れて生活できるようになっている。もちろん数人しか知らないがな」
「私に話しても大丈夫なのですか?」
私の問いにルセフィ様はウインクをした。
「ルナに話せないことなど何もないさ」
信用されているのは嬉しいが、少し怖い。
メイドに案内された部屋でお茶を飲みながら待っていると、扉のない壁が急に開き、王弟殿下、ミオナール様、そしてイグザレルト様が姿を現した。
王弟殿下がルセフィ様の前に座る。
「いい話ではないな」
「はい。ルナが前の世界で陥れられたゾレアという女を王都で見たそうです」
「何! ゾレアだと」
イグザレルト様が怒りに満ちた表情で立ち上がる。
王弟殿下がイグザレルト様を抑える。
「レルト、落ち着け。まだ何がしたわけではない」
イグザレルト様はいつも冷静なのに、今は別人のようにエキサイトしている。
「何がした後では遅い! 見つけたら始末します。あんな奴を生かしておくわけにはいかない」
王弟殿下はため息をつく。
「まぁ、そう言うな。泳がせて元を断つという手もある」
さすが血縁、同じことを言っている。
「とにかく今日は息子の誕生日パーティーだ。その女の件はひとまず女神に任せておこう」
女神に? 女神に任せるって。
部屋の中には怒り心頭なイグザレルトと疑問符が頭の上に3つくらいある私と、普通の顔の王弟殿下とルセフィ様。
王弟殿下が席を立つ。
「さぁ、行くか。レルトもニーナをほったらかしでいいのか?」
「ダメだ」
消えた。移動魔法か?
「全くあいつは……」
「ほんとに」
「お前もたいして変わらんだろう」
「そんなことはない」
確かにたいして変わらないような気がする。
あっ、お礼を言うのを忘れていた。
「王弟殿下、時を巻き戻していただきありがとうございます」
「あぁ、あれは女神の采配だ。私もレルトも女神の掌の上で転がされていただけだ。礼にはおよばんよ」
王弟殿下は私に微笑んだ。ルセフィ様は睨みつけている。
「やっぱり狭量だな」
王弟殿下はハハハト笑いながら部屋から出た。
「さぁ、私達も行こう」
女神様は凄いな。女神様がなんとかしてくれるなら、今は任せてパーティーを楽しもうと思う。
「あれは!」
「ルナ、どうした?」
「あれは、ゾレアです。間違いないわ。なぜゾレアがリルゾール王国にいるの?」
私はガタガタと震えが止まらない。
「ゾレアとは、魅了の魔法でテオドール殿達を意のままにした女か?」
「はい。まさかリルゾール王国に現れるなんて……」
ルセフィ殿下が魅了の魔法にかかってしまったらどうしよう。婚約破棄されたら……。
きっと私は真っ青になっているのだろう。ルセフィ様にぎゅっと抱きしめられた。
「ルナ、大丈夫だ。私は魅了の魔法にはかからない。何も心配いらない」
「本当に?」
「あぁ、私達は物心ついた頃から、精神拘束魔法を受け付けない身体と心になる訓練を受けるんだ。王族はみんなそうだ」
そうなのか、さすが魔法大国だ。これからはセレニカ王国の王族もそんな訓練が受けられるようになるといい。
ルセフィ様は私をぎゅっと抱きしめたままだ。
「それに、私やクラリスは無効化の魔法が使える。たとえ誰かが魅了にかかってもそれを無効化することができる。もう、ルナに辛い思いはさせない。とにかく、到着したら、その女の話をして、皆で対策を練ろう。泳がせて元を断つのもありかもな。心配はいらない」
ルセフィ様は優しく微笑み私の頭を撫でた。
ミオナール様のお屋敷に到着した。私はルセフィ様のエスコートで馬車から降りる。
「殿下、ルナベル、ようこそ」
ミオナール様が出迎えてくれる。ルセフィ様がミオナール様の耳元で囁く。
「ミオナ、叔父上とイグザレルトに話がある。パーティーの前に話せるか?」
「かしこまりました。すぐに場所を作りますわ」
ミオナール様はメイドに目配せをして、私達を地下に案内させた。
「地下があるのですね」
ルセフィ様に話かけた。
「あぁ、この屋敷は王宮と同じで有事の際は地下で隠れて生活できるようになっている。もちろん数人しか知らないがな」
「私に話しても大丈夫なのですか?」
私の問いにルセフィ様はウインクをした。
「ルナに話せないことなど何もないさ」
信用されているのは嬉しいが、少し怖い。
メイドに案内された部屋でお茶を飲みながら待っていると、扉のない壁が急に開き、王弟殿下、ミオナール様、そしてイグザレルト様が姿を現した。
王弟殿下がルセフィ様の前に座る。
「いい話ではないな」
「はい。ルナが前の世界で陥れられたゾレアという女を王都で見たそうです」
「何! ゾレアだと」
イグザレルト様が怒りに満ちた表情で立ち上がる。
王弟殿下がイグザレルト様を抑える。
「レルト、落ち着け。まだ何がしたわけではない」
イグザレルト様はいつも冷静なのに、今は別人のようにエキサイトしている。
「何がした後では遅い! 見つけたら始末します。あんな奴を生かしておくわけにはいかない」
王弟殿下はため息をつく。
「まぁ、そう言うな。泳がせて元を断つという手もある」
さすが血縁、同じことを言っている。
「とにかく今日は息子の誕生日パーティーだ。その女の件はひとまず女神に任せておこう」
女神に? 女神に任せるって。
部屋の中には怒り心頭なイグザレルトと疑問符が頭の上に3つくらいある私と、普通の顔の王弟殿下とルセフィ様。
王弟殿下が席を立つ。
「さぁ、行くか。レルトもニーナをほったらかしでいいのか?」
「ダメだ」
消えた。移動魔法か?
「全くあいつは……」
「ほんとに」
「お前もたいして変わらんだろう」
「そんなことはない」
確かにたいして変わらないような気がする。
あっ、お礼を言うのを忘れていた。
「王弟殿下、時を巻き戻していただきありがとうございます」
「あぁ、あれは女神の采配だ。私もレルトも女神の掌の上で転がされていただけだ。礼にはおよばんよ」
王弟殿下は私に微笑んだ。ルセフィ様は睨みつけている。
「やっぱり狭量だな」
王弟殿下はハハハト笑いながら部屋から出た。
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