【完結】公爵令嬢ルナベルはもう一度人生をやり直す

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
27 / 39

27話 ミオナール様のお屋敷でパーティーです1

しおりを挟む
 リオナ姉様の提案で、刺繍の会の皆さんが私の結婚式のパーティーに着るドレスに刺繍をしてくださることになった。

 裁断した絹の生地にみんなで少しずつ絹の刺繍糸で薔薇の形に刺していくそうだ。そして縫い合わせてから、また全体に刺繍をするらしい。

 大聖堂での結婚式は王家のならわしで王太子が贈ることになっているが、パーティーのドレスは妃側が用意するらしい。

 私のパーティードレスはブロチゾラム家と実家であるラメルテオン家が合同で作るのだが、そのドレスに皆さんが刺繍を刺してお祝いしてくれるという。

 この国は、結婚パーティーのドレスに周りの人から刺繍してもらうと幸せになれるし、刺繍をした人も幸せをもらえるという言い伝えがあるそうだ。たくさんの夫人や令嬢とお近づきになれて、ドレスに刺繍を刺してもらえるなんて、これもリオナ姉様のおかげだ。感謝しかない。

 結婚式は私の16歳の誕生日に行うことになった。あと8ヶ月だ。それまでに習うことは山ほどあると思っていたが、そうでもないらしい。王太子妃教育はすでにセレニカ王国で終わっているし、リルゾール王国独特の王太子妃教育はそんなにないらしく、この国の歴史や慣わし、マナーなどについては留学中に終わってしまったので、ミオナール様に魔法を習う以外は結構時間があるので、ルセフィ様はもちろんのこと、リオナ姉様やクラリス様、王妃殿下、エストラーナ様にあちらこちらに引っ張り回されている。

 今日はミオナール様のお屋敷で子息のお誕生日パーティーがある。私もルセフィ様と一緒に参加することになった。

 ミオナール様のご主人は国王陛下の弟で、魔法騎士団の団長さんをしている。

 そうなのだ! 前の世界でイグザレルト様に時を戻る魔法を教えた人た。私にとってはイグザレルト様に並ぶくらいの大恩人。今日はおふたりに感謝の気持ちを伝えようと意気込んでいる。

 ミオナール様の屋敷までは馬車で行く。ルセフィ様が、ブロチゾラム家に私を迎えにきてくれたので一緒に向かう。

 今日はルセフィ様色のドレスだ。婚約が決まってからはルセフィ様色のドレスばかりになっている。

「ルナ、今日も綺麗だ。もう、パーティーはやめて、王宮にこないか?」

「ダメです。今日は王弟殿下とイグザレルト様に感謝の気持ちを伝えたいのですから」

 全く、油断も隙もない。黙っていたら王宮に回れ右されちゃうわ。

 馬車の中では、ルセフィ様の膝の上に乗せられ、髪を撫でられる。

「まさか、あの、イグザレルトが時を戻したとは驚いたな。それで叔父上を畏敬しているのか。あいつが欲しいな。なんとかリルゾール王国に取り込めないだろうか……」

 何だか怖いことを言っているわ。

 イグザレルト様は前の世界で修行を積んでいるからか、剣の腕も魔法の腕も凄い。ルセフィ様が言うには頭も性格も良いらしい。

 私から見ると無口で無愛想で、ただただジェミニーナに執着、溺愛している狭量な男なんだけどな。

 まぁ、ジュリナに言わせると、イグザレルト様もルセフィ様もどっちもどっちらしい。ジュリナは私達を可哀想な人を見るような目で見て「私は自由がないと無理だわ~」と苦笑いしている。

 そうだ、ルセフィ様がイグザレルト様を引き止めたいのなら、この手しかない。

「イグザレルト様をこの国に残したいなら、ニーナがこの国に住みたい。セレニカに帰りたくないと思うようになれば、イグザレルト様はニーナの側を離れないから、この国に残ると思いますよ」

 ルセフィ様はニヤリと笑った。

「なるほど。その手があるな」



しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】

佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。 異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。 幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。 その事実を1番隣でいつも見ていた。 一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。 25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。 これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。 何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは… 完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。

魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。

iBuKi
恋愛
私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた婚約者。 完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど―― 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。 ――魅了魔法ですか…。 国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね? 第一皇子とその方が相思相愛ならいいんじゃないんですか? サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。 ✂---------------------------- カクヨム、なろうにも投稿しています。

謹んで婚約者候補を辞退いたします

四折 柊
恋愛
 公爵令嬢ブリジットは王太子ヴィンセントの婚約者候補の三人いるうちの一人だ。すでに他の二人はお試し期間を経て婚約者候補を辞退している。ヴィンセントは完璧主義で頭が古いタイプなので一緒になれば気苦労が多そうで将来を考えられないからだそうだ。ブリジットは彼と親しくなるための努力をしたが報われず婚約者候補を辞退した。ところがその後ヴィンセントが声をかけて来るようになって……。(えっ?今になって?)傲慢不遜な王太子と実は心の中では口の悪い公爵令嬢のくっつかないお話。全3話。暇つぶしに流し読んで頂ければ幸いです。

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。 キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。 その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。 ※ざまあの回には★がついています。

純白の牢獄

ゆる
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

あなたへの想いを終わりにします

四折 柊
恋愛
 シエナは王太子アドリアンの婚約者として体の弱い彼を支えてきた。だがある日彼は視察先で倒れそこで男爵令嬢に看病される。彼女の献身的な看病で医者に見放されていた病が治りアドリアンは健康を手に入れた。男爵令嬢は殿下を治癒した聖女と呼ばれ王城に招かれることになった。いつしかアドリアンは男爵令嬢に夢中になり彼女を正妃に迎えたいと言い出す。男爵令嬢では妃としての能力に問題がある。だからシエナには側室として彼女を支えてほしいと言われた。シエナは今までの献身と恋心を踏み躙られた絶望で彼らの目の前で自身の胸を短剣で刺した…………。(全13話)

処理中です...