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23話 お別れです1
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それからはトントン拍子に話が進んだ。
ルセフィ殿下の年齢のこともあり、私はセレニカ王国の貴族学校へは行かず、この国に残り、16歳になったら結婚することになった。リルゾール王国にはセレニカ王国のような貴族のみの学校制度はなく、基本的なことはほとんどの貴族は家で教師を招いて勉強するそうだ。ただ、専門的な勉強をする学校はある。この国は魔法大国なので、魔法を専門的に学ぶ学校はある。それは貴族、平民、男女、年齢、国籍問わず、入学できるという。
私も入学して、学ぼうかと思ったのだが、ルセフィ様からミオナール様に習うので充分。学校になど行かなくていいと反対され、今までどおりミオナール様に教えてもらうことになった。
私は結婚までは王宮を出て、ブロチゾラム公爵家でお世話になることになった。養女になるというわけではないが、血縁者と言うこともあり、ブロチゾラム公爵家とエストラーナ様が私の後ろ盾になってくださるらしい。
「あなたは私の妹ですもの。このブロチゾラム公爵家からお嫁に出しますわ」とリオナ姉様の鼻息は荒い。他国から王家に嫁ぐとまわりに身内がいないのでなかなか大変な思いをするといわれているが、私にはこの国に力強い味方がたくさんいて本当にありがたいと思う。
ブロチゾラム公爵家特有のこの髪色と瞳の色、そして人差し指の先にある花びら型の痣がこの国の人々が私を受け入れてくれる理由でもあるようだ。
ルセフィ殿下と結婚すると噂が流れた時に、何人かの令嬢から嫌がらせのようなことをされかけたが、皆、私の容姿とこの痣を見たらすんなり引き下がってしまった。
それを見たルセフィ様は「我が国は女神リルゾールの国だからな、女神の愛し子のルナに危害を加えたら自分だけでなく、一族郎党まで女神から見放される。そんなことになったら破滅だから、ルナによからぬことをしようなんて奴はこの国にはいないよ」と笑う。
女神様効果は大したものだ。この髪色と瞳の色に産んでくれた母に感謝しなくてはならないな。
私はセレニカ王国に嫁ぐクラリス様には我がラメルテオン公爵家が後ろ盾になるように父に頼んだ。もちろん父は了承してくれた。父は宰相だし、アローノはテオドール殿下の側近だ。我がラメルテオン公爵家はクラリス様をお支えできると思う。
1年が経ち、テオドール殿下とリドカイン様、そしてアローノがセレニカ王国に戻る事になった。
一緒に来た、イグザレルト様は魔法騎士団長のもとで修行をするそうで、婚約者のジェミニーナ嬢とともにリルゾールに残ることになった。ジュリナ嬢はリルゾールの魔法学校で魔法と魔道具について学ぶらしく、卒業まではこちらにいるそうだ。気心が知れたジェミニーナ嬢とジュリナ嬢が残ってくれて、本当に心強い。
王宮では留学生を送る夜会が開かれた。
セレニカ王国からは留学生を迎えに来た宰相である我が父と、父にくっついてきた母が参加している。
「ルナベル綺麗だ」
「ルナベルは女神リルゾールの愛し子だったのね。ひょっとすると私も愛し子かしら?」
久しぶりに会う父と母は相変わらず仲が良い。そして母は相変わらず朗らかだ。
「お父様、お母様、来ていただきありがとうございます」
「歓迎パーティーの時にはまさかこうなるとは予想していなかったので驚いているが、神託どおりにならなくてよかったな。ブロチゾラム公爵家や太王太后殿下とも縁が繋がったし、セレニカ王国とリルゾール王国の繋がりも強固なものになった。なによりルナベルが幸せなのがいい」
父は宰相としても父としても、とても喜んでくれている。母はエストラーナ様やブロチゾラム公爵家の皆さんに会い、曽祖母や祖母の話で盛り上がったらしい「私も皆さんと同じ髪色瞳色だから、移動魔法を覚えて、こちらにもちょこちょこ遊びにくるわね」と移動魔法を使えるようになるためにしばらくリルゾール王国に滞在して、ミオナール様に師事するそうだ。母が移動魔法がつかえるようになると便利になると父もそれには乗り気らしい。
今日のパーティーでは、ルセフィ殿下と私、テオドール殿下とクラリス様の婚約発表もある。表向きは、二組とも留学中に恋をして婚約にあいなったという事にするようだ。
リルゾール王国の人達は私とテオドール殿下が婚約していた事を知らない人が多い。知っている人も今回の婚約はクラリス様のたってのご希望だという発表なので、クラリス様のわがままがまかり通ったのだろうと思っているようだ。
私達二組は参加している方々から祝福してもらった。
そして突然現れた女神リルゾールからも祝福をいただいた。女神リルゾールは確かに私と同じ髪色、瞳の色だった。
「ご婚約おめでとう。私から4人に“祝福”を贈ります。末永くお幸せに」
ピンク色の優しい風が舞い、上から金色の光が降り注ぎキラキラしている。どこからか金色の蝶がふわふわ飛んできた。ピンクの花びらも舞っている。綺麗すぎて幸せすぎて涙が溢れてきた。
ルセフィ殿下は私を抱き寄せ、女神様にお礼と誓いを告げてくれている。
「私は必ずルナベルを幸せにする。女神殿の祝福、確かに受け取った」
こんなに幸せでバチが当たらないのかと不安になる。
次の日の朝、父やテオドール殿下、リドカイン様とアローノはセレニカ王国に向かった。
別れ際、テオドール殿下と握手を交わした。
「ルナベル嬢。この国で幸せになってほしい。そしてセレニカ王国との架け橋になってくれることを願っている。今までありがとう。幸せにな」
「ありがとうございます。殿下とセレニカ王国のお幸せをリルゾール王国より祈っております。ごきげんよう」
手を離し、カーテシーをした。
「テオドール殿、ルナのことは私が必ず守り、幸せにする。我が妹、クラリスをよろしく頼む」
「もちろんです。我が命に替えても守り、幸せに致します」
「また、会おう」
「はい」
ふたりもがっちりと握手を交わした。
ルセフィ殿下の年齢のこともあり、私はセレニカ王国の貴族学校へは行かず、この国に残り、16歳になったら結婚することになった。リルゾール王国にはセレニカ王国のような貴族のみの学校制度はなく、基本的なことはほとんどの貴族は家で教師を招いて勉強するそうだ。ただ、専門的な勉強をする学校はある。この国は魔法大国なので、魔法を専門的に学ぶ学校はある。それは貴族、平民、男女、年齢、国籍問わず、入学できるという。
私も入学して、学ぼうかと思ったのだが、ルセフィ様からミオナール様に習うので充分。学校になど行かなくていいと反対され、今までどおりミオナール様に教えてもらうことになった。
私は結婚までは王宮を出て、ブロチゾラム公爵家でお世話になることになった。養女になるというわけではないが、血縁者と言うこともあり、ブロチゾラム公爵家とエストラーナ様が私の後ろ盾になってくださるらしい。
「あなたは私の妹ですもの。このブロチゾラム公爵家からお嫁に出しますわ」とリオナ姉様の鼻息は荒い。他国から王家に嫁ぐとまわりに身内がいないのでなかなか大変な思いをするといわれているが、私にはこの国に力強い味方がたくさんいて本当にありがたいと思う。
ブロチゾラム公爵家特有のこの髪色と瞳の色、そして人差し指の先にある花びら型の痣がこの国の人々が私を受け入れてくれる理由でもあるようだ。
ルセフィ殿下と結婚すると噂が流れた時に、何人かの令嬢から嫌がらせのようなことをされかけたが、皆、私の容姿とこの痣を見たらすんなり引き下がってしまった。
それを見たルセフィ様は「我が国は女神リルゾールの国だからな、女神の愛し子のルナに危害を加えたら自分だけでなく、一族郎党まで女神から見放される。そんなことになったら破滅だから、ルナによからぬことをしようなんて奴はこの国にはいないよ」と笑う。
女神様効果は大したものだ。この髪色と瞳の色に産んでくれた母に感謝しなくてはならないな。
私はセレニカ王国に嫁ぐクラリス様には我がラメルテオン公爵家が後ろ盾になるように父に頼んだ。もちろん父は了承してくれた。父は宰相だし、アローノはテオドール殿下の側近だ。我がラメルテオン公爵家はクラリス様をお支えできると思う。
1年が経ち、テオドール殿下とリドカイン様、そしてアローノがセレニカ王国に戻る事になった。
一緒に来た、イグザレルト様は魔法騎士団長のもとで修行をするそうで、婚約者のジェミニーナ嬢とともにリルゾールに残ることになった。ジュリナ嬢はリルゾールの魔法学校で魔法と魔道具について学ぶらしく、卒業まではこちらにいるそうだ。気心が知れたジェミニーナ嬢とジュリナ嬢が残ってくれて、本当に心強い。
王宮では留学生を送る夜会が開かれた。
セレニカ王国からは留学生を迎えに来た宰相である我が父と、父にくっついてきた母が参加している。
「ルナベル綺麗だ」
「ルナベルは女神リルゾールの愛し子だったのね。ひょっとすると私も愛し子かしら?」
久しぶりに会う父と母は相変わらず仲が良い。そして母は相変わらず朗らかだ。
「お父様、お母様、来ていただきありがとうございます」
「歓迎パーティーの時にはまさかこうなるとは予想していなかったので驚いているが、神託どおりにならなくてよかったな。ブロチゾラム公爵家や太王太后殿下とも縁が繋がったし、セレニカ王国とリルゾール王国の繋がりも強固なものになった。なによりルナベルが幸せなのがいい」
父は宰相としても父としても、とても喜んでくれている。母はエストラーナ様やブロチゾラム公爵家の皆さんに会い、曽祖母や祖母の話で盛り上がったらしい「私も皆さんと同じ髪色瞳色だから、移動魔法を覚えて、こちらにもちょこちょこ遊びにくるわね」と移動魔法を使えるようになるためにしばらくリルゾール王国に滞在して、ミオナール様に師事するそうだ。母が移動魔法がつかえるようになると便利になると父もそれには乗り気らしい。
今日のパーティーでは、ルセフィ殿下と私、テオドール殿下とクラリス様の婚約発表もある。表向きは、二組とも留学中に恋をして婚約にあいなったという事にするようだ。
リルゾール王国の人達は私とテオドール殿下が婚約していた事を知らない人が多い。知っている人も今回の婚約はクラリス様のたってのご希望だという発表なので、クラリス様のわがままがまかり通ったのだろうと思っているようだ。
私達二組は参加している方々から祝福してもらった。
そして突然現れた女神リルゾールからも祝福をいただいた。女神リルゾールは確かに私と同じ髪色、瞳の色だった。
「ご婚約おめでとう。私から4人に“祝福”を贈ります。末永くお幸せに」
ピンク色の優しい風が舞い、上から金色の光が降り注ぎキラキラしている。どこからか金色の蝶がふわふわ飛んできた。ピンクの花びらも舞っている。綺麗すぎて幸せすぎて涙が溢れてきた。
ルセフィ殿下は私を抱き寄せ、女神様にお礼と誓いを告げてくれている。
「私は必ずルナベルを幸せにする。女神殿の祝福、確かに受け取った」
こんなに幸せでバチが当たらないのかと不安になる。
次の日の朝、父やテオドール殿下、リドカイン様とアローノはセレニカ王国に向かった。
別れ際、テオドール殿下と握手を交わした。
「ルナベル嬢。この国で幸せになってほしい。そしてセレニカ王国との架け橋になってくれることを願っている。今までありがとう。幸せにな」
「ありがとうございます。殿下とセレニカ王国のお幸せをリルゾール王国より祈っております。ごきげんよう」
手を離し、カーテシーをした。
「テオドール殿、ルナのことは私が必ず守り、幸せにする。我が妹、クラリスをよろしく頼む」
「もちろんです。我が命に替えても守り、幸せに致します」
「また、会おう」
「はい」
ふたりもがっちりと握手を交わした。
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