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14話 青天の霹靂
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突然、クラリス様に呼ばれた。
お茶会でもないし、なんだろう? とりあえず仰々しくないドレスを着て王家のサロンに向かう。
「ルナベルでございます」
入室すると、クラリス様が満面の笑みを浮かべ座っていた。
「ルナベル様、テオドール様をいただくわね」
私が着席するとクラリス様はいきなりそう言う。
「テオドール殿下ですか?」
私は仰っている意味がわからず困惑する。
「私ね。テオドール様を好きになってしまったの。それでルナベル様と婚約を解消させて私と結婚するようにセレニカ王国の国王に話してと父にお願いしたのよ」
テオドール殿下を好き? 婚約を解消?
「ルナベル様ごめんなさいね。びっくりしたでしょう? でもね、私、テオドール様と結婚するわ」
クラリス様の予期せぬ発言に私は固まった。
「顔色が悪いわね。そんなに婚約解消は嫌かしら?」
嫌ではない。むしろ凄くうれしいし、ありがたい。でもそうなると、あの女が現れたら、クラリス様が無実の罪で断罪され破落戸に襲われちゃうのよ。私の代わりにクラリス様をあんな目に合わせられない。婚約解消はうれしいが、クラリス様にあんな思いをさせるわけにはいかない。
私が黙ったままだからか、クラリス様は話を続けた。
「そりゃそうよね。長いこと婚約者だったし、何年も王太子妃教育を受けてきたのですものね。でも、ルナベル様より私の方がテオドール様にはふさわしいの。だからテオドール様のことは諦めて。あなたのことは悪いようにはしないから」
確かにクラリス様の仰るとおり、クラリス様の方が相応しい。セレニカ王国としても、リルゾール王国の王女と縁続きになるのは願ったり叶ったりだろう。
「クラリス様、婚約解消のことは承知いたしました。ただお願いがございます」
あの断罪の場にクラリス様を置くわけにはいかない。私は婚約解消を呑む代わりのお願いをした。
「何かしら?」
「テオドール殿下が学園を卒業するまではセレニカ王国には来ず、リルゾール王国にいて下さい。決してセレニカ王国の貴族学校に留学するなどしないで下さいませ。私のお願いはそれだけでございます」
あの時期にあの場にいなければ断罪されることはない。テオドール殿下があの女に骨抜きにされたとしても、リルゾール王国にいれば安全だ。
「あら、そんなことでいいの? 私はテオドール殿下が貴族学校を卒業してから半年間セレニカ王国で王太子妃教育を受けて、そのまま結婚するので、セレニカ王国に行くのは卒業してからよ」
もう、そんなスケジュールまで決まっているのだな。クラリス様は私の願いを不思議に思ったようだ。
「それでね。あなたから婚約者を奪い、未来の王妃の座を奪うのだから、それなりに代償がいると思ったのよ。ルナベル様、お兄様と結婚してくれないかしら? お兄様と結婚すればあなたは次期王妃だわ。お兄様は婚約者がいないし、あなたは長い間王太子妃教育を受けている。それに我が国の筆頭公爵家でもあるブロチゾラム公爵家の縁者で王家とも親戚、その上、女神リルゾールの加護持ちなら誰も反対はしないわ。ルナベル様、テオドール殿下の代わりにお兄様じゃだめかしら?」
ルセフィ殿下と結婚? クラリス様は何をいっているんだろう?
私は頭がついていかない。目が回ってきた。
「ルナベル様! ルナベル様!」
クラリス様が私を呼ぶ声が遠くで聞こえる。
お茶会でもないし、なんだろう? とりあえず仰々しくないドレスを着て王家のサロンに向かう。
「ルナベルでございます」
入室すると、クラリス様が満面の笑みを浮かべ座っていた。
「ルナベル様、テオドール様をいただくわね」
私が着席するとクラリス様はいきなりそう言う。
「テオドール殿下ですか?」
私は仰っている意味がわからず困惑する。
「私ね。テオドール様を好きになってしまったの。それでルナベル様と婚約を解消させて私と結婚するようにセレニカ王国の国王に話してと父にお願いしたのよ」
テオドール殿下を好き? 婚約を解消?
「ルナベル様ごめんなさいね。びっくりしたでしょう? でもね、私、テオドール様と結婚するわ」
クラリス様の予期せぬ発言に私は固まった。
「顔色が悪いわね。そんなに婚約解消は嫌かしら?」
嫌ではない。むしろ凄くうれしいし、ありがたい。でもそうなると、あの女が現れたら、クラリス様が無実の罪で断罪され破落戸に襲われちゃうのよ。私の代わりにクラリス様をあんな目に合わせられない。婚約解消はうれしいが、クラリス様にあんな思いをさせるわけにはいかない。
私が黙ったままだからか、クラリス様は話を続けた。
「そりゃそうよね。長いこと婚約者だったし、何年も王太子妃教育を受けてきたのですものね。でも、ルナベル様より私の方がテオドール様にはふさわしいの。だからテオドール様のことは諦めて。あなたのことは悪いようにはしないから」
確かにクラリス様の仰るとおり、クラリス様の方が相応しい。セレニカ王国としても、リルゾール王国の王女と縁続きになるのは願ったり叶ったりだろう。
「クラリス様、婚約解消のことは承知いたしました。ただお願いがございます」
あの断罪の場にクラリス様を置くわけにはいかない。私は婚約解消を呑む代わりのお願いをした。
「何かしら?」
「テオドール殿下が学園を卒業するまではセレニカ王国には来ず、リルゾール王国にいて下さい。決してセレニカ王国の貴族学校に留学するなどしないで下さいませ。私のお願いはそれだけでございます」
あの時期にあの場にいなければ断罪されることはない。テオドール殿下があの女に骨抜きにされたとしても、リルゾール王国にいれば安全だ。
「あら、そんなことでいいの? 私はテオドール殿下が貴族学校を卒業してから半年間セレニカ王国で王太子妃教育を受けて、そのまま結婚するので、セレニカ王国に行くのは卒業してからよ」
もう、そんなスケジュールまで決まっているのだな。クラリス様は私の願いを不思議に思ったようだ。
「それでね。あなたから婚約者を奪い、未来の王妃の座を奪うのだから、それなりに代償がいると思ったのよ。ルナベル様、お兄様と結婚してくれないかしら? お兄様と結婚すればあなたは次期王妃だわ。お兄様は婚約者がいないし、あなたは長い間王太子妃教育を受けている。それに我が国の筆頭公爵家でもあるブロチゾラム公爵家の縁者で王家とも親戚、その上、女神リルゾールの加護持ちなら誰も反対はしないわ。ルナベル様、テオドール殿下の代わりにお兄様じゃだめかしら?」
ルセフィ殿下と結婚? クラリス様は何をいっているんだろう?
私は頭がついていかない。目が回ってきた。
「ルナベル様! ルナベル様!」
クラリス様が私を呼ぶ声が遠くで聞こえる。
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