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12話 ブロチゾラム公爵家
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エストラーナ様から紹介された魔法の先生はこの国の聖女のような存在の女性、ミオナール様だった。この国では聖女ではなく、女神の眷属と呼ばれているそうだ。
ミオナール様は一緒に留学したジェミニーナ嬢にも魔法を教えている。
私の最初のスケジュールにはミオナール様の魔法授業はなかったのだが、急遽追加になった。
私達留学生は、それぞれがいろんな場所で色んな勉強をしている。私は主にこの国の歴史や国独特のマナーを習っている。エストラーナ様にお会いして以来、勉強の内容がかなり変わっている。まるでリルゾール王国の貴族として生きていくのに困らないようなカリキュラムに変わったような気がする。そして、王妃殿下やクラリス様、そしてエストラーナ様とお話をしながらお茶を飲む時間も多い。
今日は弟のアローノとともにブロチゾラム公爵家に招待された。また移動魔法かと思ったが、王宮にブロチゾラム公爵家の馬車が迎えにきてくれた。
「よくきたね。ルナベル、アローノ。私はルティナス姉様の弟のユーロジンだ」
「お初にお目にかかります。セレニカ国、ラメルテオン公爵家長女のルナベルと申します」
私はカーテシーでご挨拶をした。アローノも挨拶している。
「エストラーナ姉様から話は聞いているよ。まさか、ルティナス姉様のひ孫達に会えるなんて長生きはするもんだな」
ユーロジン様は70歳を超えているとは思えない程若々しい。この国の人間はある程度歳をとるとそれ以上は老けないのかもしれないと思ってしまうほど若い。
「ルナベルはルティナス姉様によく似ている。髪の色と瞳の色が姉様と同じだな」
「母も祖母も同じ色なのです」
「ブロチゾラム家の血が濃いのだな。私も姉も君と同じ色だ。これは代々ブロチゾラム家に伝わる色なんだよ」
ユーロジン様は嬉しそうに私の髪を撫でる。
「私には5歳のひ孫がいるんだが、もう少し歳が近かったらアローノの嫁にもらってほしかったなぁ。さすがに年が離れ過ぎているし嫌だろう?」
「おじい様、そんな事をおっしゃったらアローノ様が困りますわ」
ユーロジン様の孫にあたるリオナ様は明るい笑顔でユーロジン様を窘める。
リオナ様は私より10歳年上の25歳。ユーロジン様の息子のセディール様の一人娘で、婿養子をもらったそうだ。
「ルナベル様は刺繍がお得意とお聞きしましたわ。もしよろしければ私が開催しております刺繍の会にご参加いただけませんか。刺繍をしながらおしゃべりしてお茶飲んだりお菓子を食べたりするお茶会なのです。私達は親戚なんだし、妹ができたみたいでなんだかうれしいので、仲良くしたいわ。ダメかしら?」
リオナ様は私の手を取り顔を覗き込む。ダメなんで言えるわけないし、ダメなわけがない。
「ありがとうございます。私も姉ができたようで嬉しいですわ。よろしくお願いします」
「では、リオナ姉様と呼んでくださる?」
「もちろんです。うれしいですわ。リオナお姉様」
リオナ様と仲良くなれそうだ。
お茶会にも参加し、リルゾール王国に知り合いをたくさん作るぞ! 私はリルゾール王国に逃げる。絶対ゾレアの手の者に捕まり、死を選ぶなんて嫌だ。
私はリルゾール王国で生きると心に誓った。
この日から、リオナ様やユーロジン様を通して、リルゾール王国の貴族の方々と交友を持つようになった。
⭐︎⭐︎⭐︎
今日は夜にもう1話更新予定です。
お昼の更新はお休みです。
よろしくお願いします、
ミオナール様は一緒に留学したジェミニーナ嬢にも魔法を教えている。
私の最初のスケジュールにはミオナール様の魔法授業はなかったのだが、急遽追加になった。
私達留学生は、それぞれがいろんな場所で色んな勉強をしている。私は主にこの国の歴史や国独特のマナーを習っている。エストラーナ様にお会いして以来、勉強の内容がかなり変わっている。まるでリルゾール王国の貴族として生きていくのに困らないようなカリキュラムに変わったような気がする。そして、王妃殿下やクラリス様、そしてエストラーナ様とお話をしながらお茶を飲む時間も多い。
今日は弟のアローノとともにブロチゾラム公爵家に招待された。また移動魔法かと思ったが、王宮にブロチゾラム公爵家の馬車が迎えにきてくれた。
「よくきたね。ルナベル、アローノ。私はルティナス姉様の弟のユーロジンだ」
「お初にお目にかかります。セレニカ国、ラメルテオン公爵家長女のルナベルと申します」
私はカーテシーでご挨拶をした。アローノも挨拶している。
「エストラーナ姉様から話は聞いているよ。まさか、ルティナス姉様のひ孫達に会えるなんて長生きはするもんだな」
ユーロジン様は70歳を超えているとは思えない程若々しい。この国の人間はある程度歳をとるとそれ以上は老けないのかもしれないと思ってしまうほど若い。
「ルナベルはルティナス姉様によく似ている。髪の色と瞳の色が姉様と同じだな」
「母も祖母も同じ色なのです」
「ブロチゾラム家の血が濃いのだな。私も姉も君と同じ色だ。これは代々ブロチゾラム家に伝わる色なんだよ」
ユーロジン様は嬉しそうに私の髪を撫でる。
「私には5歳のひ孫がいるんだが、もう少し歳が近かったらアローノの嫁にもらってほしかったなぁ。さすがに年が離れ過ぎているし嫌だろう?」
「おじい様、そんな事をおっしゃったらアローノ様が困りますわ」
ユーロジン様の孫にあたるリオナ様は明るい笑顔でユーロジン様を窘める。
リオナ様は私より10歳年上の25歳。ユーロジン様の息子のセディール様の一人娘で、婿養子をもらったそうだ。
「ルナベル様は刺繍がお得意とお聞きしましたわ。もしよろしければ私が開催しております刺繍の会にご参加いただけませんか。刺繍をしながらおしゃべりしてお茶飲んだりお菓子を食べたりするお茶会なのです。私達は親戚なんだし、妹ができたみたいでなんだかうれしいので、仲良くしたいわ。ダメかしら?」
リオナ様は私の手を取り顔を覗き込む。ダメなんで言えるわけないし、ダメなわけがない。
「ありがとうございます。私も姉ができたようで嬉しいですわ。よろしくお願いします」
「では、リオナ姉様と呼んでくださる?」
「もちろんです。うれしいですわ。リオナお姉様」
リオナ様と仲良くなれそうだ。
お茶会にも参加し、リルゾール王国に知り合いをたくさん作るぞ! 私はリルゾール王国に逃げる。絶対ゾレアの手の者に捕まり、死を選ぶなんて嫌だ。
私はリルゾール王国で生きると心に誓った。
この日から、リオナ様やユーロジン様を通して、リルゾール王国の貴族の方々と交友を持つようになった。
⭐︎⭐︎⭐︎
今日は夜にもう1話更新予定です。
お昼の更新はお休みです。
よろしくお願いします、
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