【完結】公爵令嬢ルナベルはもう一度人生をやり直す

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
12 / 39

12話 ブロチゾラム公爵家

しおりを挟む
 エストラーナ様から紹介された魔法の先生はこの国の聖女のような存在の女性、ミオナール様だった。この国では聖女ではなく、女神の眷属と呼ばれているそうだ。

 ミオナール様は一緒に留学したジェミニーナ嬢にも魔法を教えている。

 私の最初のスケジュールにはミオナール様の魔法授業はなかったのだが、急遽追加になった。


 私達留学生は、それぞれがいろんな場所で色んな勉強をしている。私は主にこの国の歴史や国独特のマナーを習っている。エストラーナ様にお会いして以来、勉強の内容がかなり変わっている。まるでリルゾール王国の貴族として生きていくのに困らないようなカリキュラムに変わったような気がする。そして、王妃殿下やクラリス様、そしてエストラーナ様とお話をしながらお茶を飲む時間も多い。

 
 今日は弟のアローノとともにブロチゾラム公爵家に招待された。また移動魔法かと思ったが、王宮にブロチゾラム公爵家の馬車が迎えにきてくれた。

「よくきたね。ルナベル、アローノ。私はルティナス姉様の弟のユーロジンだ」

「お初にお目にかかります。セレニカ国、ラメルテオン公爵家長女のルナベルと申します」

 私はカーテシーでご挨拶をした。アローノも挨拶している。

「エストラーナ姉様から話は聞いているよ。まさか、ルティナス姉様のひ孫達に会えるなんて長生きはするもんだな」
 
 ユーロジン様は70歳を超えているとは思えない程若々しい。この国の人間はある程度歳をとるとそれ以上は老けないのかもしれないと思ってしまうほど若い。

「ルナベルはルティナス姉様によく似ている。髪の色と瞳の色が姉様と同じだな」

「母も祖母も同じ色なのです」

「ブロチゾラム家の血が濃いのだな。私も姉も君と同じ色だ。これは代々ブロチゾラム家に伝わる色なんだよ」

 ユーロジン様は嬉しそうに私の髪を撫でる。

「私には5歳のひ孫がいるんだが、もう少し歳が近かったらアローノの嫁にもらってほしかったなぁ。さすがに年が離れ過ぎているし嫌だろう?」

「おじい様、そんな事をおっしゃったらアローノ様が困りますわ」

 ユーロジン様の孫にあたるリオナ様は明るい笑顔でユーロジン様を窘める。

 リオナ様は私より10歳年上の25歳。ユーロジン様の息子のセディール様の一人娘で、婿養子をもらったそうだ。

「ルナベル様は刺繍がお得意とお聞きしましたわ。もしよろしければ私が開催しております刺繍の会にご参加いただけませんか。刺繍をしながらおしゃべりしてお茶飲んだりお菓子を食べたりするお茶会なのです。私達は親戚なんだし、妹ができたみたいでなんだかうれしいので、仲良くしたいわ。ダメかしら?」

 リオナ様は私の手を取り顔を覗き込む。ダメなんで言えるわけないし、ダメなわけがない。

「ありがとうございます。私も姉ができたようで嬉しいですわ。よろしくお願いします」

「では、リオナ姉様と呼んでくださる?」
「もちろんです。うれしいですわ。リオナお姉様」
 
リオナ様と仲良くなれそうだ。

 お茶会にも参加し、リルゾール王国に知り合いをたくさん作るぞ! 私はリルゾール王国に逃げる。絶対ゾレアの手の者に捕まり、死を選ぶなんて嫌だ。
 
 私はリルゾール王国で生きると心に誓った。

 この日から、リオナ様やユーロジン様を通して、リルゾール王国の貴族の方々と交友を持つようになった。


⭐︎⭐︎⭐︎
今日は夜にもう1話更新予定です。
お昼の更新はお休みです。
よろしくお願いします、
しおりを挟む
感想 24

あなたにおすすめの小説

魅了魔法…?それで相思相愛ならいいんじゃないんですか。

iBuKi
恋愛
私がこの世界に誕生した瞬間から決まっていた婚約者。 完璧な皇子様に婚約者に決定した瞬間から溺愛され続け、蜂蜜漬けにされていたけれど―― 気付いたら、皇子の隣には子爵令嬢が居て。 ――魅了魔法ですか…。 国家転覆とか、王権強奪とか、大変な事は絡んでないんですよね? 第一皇子とその方が相思相愛ならいいんじゃないんですか? サクッと婚約解消のち、私はしばらく領地で静養しておきますね。 ✂---------------------------- カクヨム、なろうにも投稿しています。

冤罪から逃れるために全てを捨てた。

四折 柊
恋愛
王太子の婚約者だったオリビアは冤罪をかけられ捕縛されそうになり全てを捨てて家族と逃げた。そして以前留学していた国の恩師を頼り、新しい名前と身分を手に入れ幸せに過ごす。1年が過ぎ今が幸せだからこそ思い出してしまう。捨ててきた国や自分を陥れた人達が今どうしているのかを。(視点が何度も変わります)

謹んで婚約者候補を辞退いたします

四折 柊
恋愛
 公爵令嬢ブリジットは王太子ヴィンセントの婚約者候補の三人いるうちの一人だ。すでに他の二人はお試し期間を経て婚約者候補を辞退している。ヴィンセントは完璧主義で頭が古いタイプなので一緒になれば気苦労が多そうで将来を考えられないからだそうだ。ブリジットは彼と親しくなるための努力をしたが報われず婚約者候補を辞退した。ところがその後ヴィンセントが声をかけて来るようになって……。(えっ?今になって?)傲慢不遜な王太子と実は心の中では口の悪い公爵令嬢のくっつかないお話。全3話。暇つぶしに流し読んで頂ければ幸いです。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

婚約破棄の、その後は

冬野月子
恋愛
ここが前世で遊んだ乙女ゲームの世界だと思い出したのは、婚約破棄された時だった。 身体も心も傷ついたルーチェは国を出て行くが… 全九話。 「小説家になろう」にも掲載しています。

【完結】義姉の言いなりとなる貴方など要りません

かずきりり
恋愛
今日も約束を反故される。 ……約束の時間を過ぎてから。 侍女の怒りに私の怒りが収まる日々を過ごしている。 貴族の結婚なんて、所詮は政略で。 家同士を繋げる、ただの契約結婚に過ぎない。 なのに…… 何もかも義姉優先。 挙句、式や私の部屋も義姉の言いなりで、義姉の望むまま。 挙句の果て、侯爵家なのだから。 そっちは子爵家なのだからと見下される始末。 そんな相手に信用や信頼が生まれるわけもなく、ただ先行きに不安しかないのだけれど……。 更に、バージンロードを義姉に歩かせろだ!? 流石にそこはお断りしますけど!? もう、付き合いきれない。 けれど、婚約白紙を今更出来ない…… なら、新たに契約を結びましょうか。 義理や人情がないのであれば、こちらは情けをかけません。 ----------------------- ※こちらの作品はカクヨムでも掲載しております。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

婚約者からの断罪が終わったので北の修道院へバカンスに行ってきます。

四折 柊
恋愛
 嫌いな婚約者から冤罪により婚約破棄をされたアンジェリカは北の修道院に送られることになった。その企みは知っていたのでそれを利用することにした。先に手を打って快適に過ごせるように修道院を改修して準備万端にしてバカンスに行く。そこで大好きな人と楽しく過ごすことにしたアンジェリカのお話。 (断罪シーンはありません)前編:アンジェリカ(公爵令嬢) 後編:ラフェエル(従者)となります。※8/6に後日談2を追加しました。

処理中です...