上 下
21 / 21

最終話 ありがとう♡

しおりを挟む
 私は結局、ジェフリー様と結婚した。

 王命だからではなく、ジェフリー様がいちばん信用できるし、安心できるし、何よりも好きになってしまったから。

 ウィル様のせいで回帰前も回帰後も散々な目にあったけど、ジェフリー様と心が通じ合えたことだけが良かったのかもしれない。

 最初からジェフリー様を信じていれば良かったのだ。

 ジェフリー様に言われた。私はチョロくて簡単に騙される、だから絶対にいきなり信じない、ジェフリー様又はお義母様に相談する。行動する前にもジェフリー様やお義母様に相談しなさいと。だから今はなんでもふたりに話す事にしている。

「ベルは私に守られていればいい、もう危ない目に合わせたくないよ。誰にもベルを利用させないからね」

 ジェフリー様は笑っているが圧が凄い。

 国王がウィル様の盛った毒のせいで亡くなってすぐ、ウィル様が国王になった。
 表向きの死因は原因不明の病。グリーデン公爵と同じ病なので、伝染病だったのかもしれないと宮廷医師は発表した。

 もちろん宮廷医師もウィル様の手下だ。

 邪魔者達が消えたので、ウィル様は国王としてのびのび仕事をしている。ただ、私のささやかな復讐のため、時々苦しんでいるようだ。

 私は回帰前の世界で死んだ後、あの世で神様からお詫びにともらったチートな力は身体に関する事に使える魔法だった。

 そしてそれを使って私はウィル様にささやかな復讐をした。

 どんな復讐かって?

 それはね。お腹が弱くなる魔法をかけたの。呪いと言った方がいいかもね

 すぐお腹が痛くなり、ピーピーになる魔法。死ぬまでずっとちょっとしたことでピーピーになるの。

 ウィル様はそれを私がかけた魔法のせいだとは気が付いていない。

 微妙に身体も心も辛いでしょ?

 ウィル様は私がそんな魔法を使えるなんて知らないから疑いようも無いし、緩い魔法なので解呪方法もない。

 ジェフリー様はすぐに青い顔をしてお手洗いに駆け込むウィル様を見て、「大丈夫ですか? 薬飲みますか?」と心配そうな顔をしているがお腹の中で笑っている。

 あれからジェフリー様もウィル様に負けじと少しづつ腹黒になってきているみたいだ。

 ウィル様は人間としてはクズだが、国王としては腹黒手腕を発揮して、我が国はどんどん発展している。
 平民にも優しい法律をたくさん作ったので、民から人気がある。
 
 民は人間としてはクズだと知らないものね。

 ウィル様は最近、王太后様に結婚しろとうるさく言われ、お飾りの王妃候補を探しているようだ。

 ウィル様は「駒になりそうな高位貴族の令嬢を探してくれ」とジェフリー様に命令したらしい。

 ジェフリー様はもちろん「いません」と断ったと笑っていた。

 セレスに「ウィル様と結婚したら?」と言ってみたが「あんなクズで腹黒で毎日ピーピーしてる男なんか嫌よ」と本気で嫌がっていた。
 セレスはいずれ婿を取り、辺境伯家を継ぐそうだ。

 ヒューイ様はヨーセット王国に戻った。あの後「敵を欺くために私を欺き、怖い思いをさせて申し訳なかった」と謝ってくれ、せめてものお詫びにと慰謝料をたくさんくれた。
 そうそう、ウィル様もクロフォード家とノバック家に領地と慰謝料をくれた。

 ウィル様の事は、お金や土地なんかで許すつもりはないけどくれるものはもらっておいた。

 ジェフリー様は今、この国に宰相としてウィル様をささえている。
 ジェフリー様にあまり理不尽なことをしたら、私はウィル様に、こっそり単発でぎっくり腰になる魔法や寝違える魔法、肩や膝が痛くなる魔法をかけて仕返ししている。

 何の因果で2回も同じ人生を生きることになったのかわからないけど、今が幸せだからまぁいいのかなと思う。

 神様がくれた身体の事に関する魔法で身近な人の健康管理をしたり、ちょっとした怪我や病気を治している。

 悪いこともしているが良いこともしているのよ。

 今は一男一女に恵まれ、次期公爵夫人になるためにお義母様に鍛えられる毎日を楽しく過ごしている。

 どんな時も一途に私を思ってくれていたジェフリー様のおかげで今の幸せがあるのだと思う。

 ジェフリー様、ウィル様が何がしたら、ささやかな嫌がらせをして痛い目に遭わすからね。

 ジェフリー様、神様、ありがとう。

 私はとっても幸せです。

 巻き戻って本当に良かった。

             了


***
 皆さんありがとうございました。
これで完結となります。
 ベルがウィルにしたささやかな復讐喜んでいただけましたでしょうか。

 クズでも国王としては能力の高いウィルは平和でみんなが幸せな国を作っているようです。ただお腹はピーピーですが。
 いつかお嫁さんがくるといいですね。

 それでは、次回作もよろしくお願いします。
***
しおりを挟む
感想 84

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(84件)

tomo
2023.06.22 tomo

ウィルは一生腹ピーピー、ギックリで苦しめばいいと思う。
嫁も来ず一生寂しく1人で暮らせばいい。
ウィルにはヘイトしかない。

とりあえずヒロインが幸せになってよかった。

金峯蓮華
2023.06.22 金峯蓮華

ありがとうございます。
地味で苦しいざまぁができてよかったです。
主人公ももうちょっとしっかりしなきゃだめですね。

解除
太真
2023.04.18 太真

完結お疲れ様です😌💓楽しく拝読致しました~( ・∀・)ちょっとした復讐も可愛らしい❓範囲ではふふふふふ(ФωФ)何かヤらかしたらトイレとお友達だね(  ̄ー ̄)ニヤリ。

金峯蓮華
2023.04.18 金峯蓮華

ありがとうございます。一見酷くない復讐が実はじわじわと蝕む酷い復讐かもしれません。可愛いと思ってもらえて嬉しいです。

解除
あとさん♪
2023.03.31 あとさん♪

完結おめでとうございます!&お疲れさまでした!
面白かったです(*´▽`*)

ベルちゃん、ひとのぎっくり腰を治す呪いはできますか?
ぜひうちに来て治してください<(_ _)>

金峯蓮華
2023.03.31 金峯蓮華

もちろんギックリ腰治せますよ。ベルにお願いしておきますね。
最後までお読みいただきありがとうございました。

解除

あなたにおすすめの小説

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。 キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。 その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。 ※ざまあの回には★がついています。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです

hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。 ルイーズは伯爵家。 「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」 と言われてしまう。 その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。 そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。

婚約破棄ですか? 理由は魔法のできない義妹の方が素直で可愛いから♡だそうです。

hikari
恋愛
わたくしリンダはスミス公爵ご令息エイブラハムに婚約破棄を告げられました。何でも魔法ができるわたくしより、魔法のできない義理の妹の方が素直で可愛いみたいです。 義理の妹は義理の母の連れ子。実父は愛する妻の子だから……と義理の妹の味方をします。わたくしは侍女と共に家を追い出されてしまいました。追い出された先は漁師町でした。 そして出会ったのが漁師一家でした。漁師一家はパーシヴァルとポリー夫婦と一人息子のクリス。しかし、クリスはただの漁師ではありませんでした。 そんな中、隣国からパーシヴァル一家へ突如兵士が訪問してきました。 一方、婚約破棄を迫ってきたエイブラハムは実はねずみ講をやっていて……そして、ざまあ。 ざまあの回には★がついています。

王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?

木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。 これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。 しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。 それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。 事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。 妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。 故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。

【完結】何故こうなったのでしょう? きれいな姉を押しのけブスな私が王子様の婚約者!!!

りまり
恋愛
きれいなお姉さまが最優先される実家で、ひっそりと別宅で生活していた。 食事も自分で用意しなければならないぐらい私は差別されていたのだ。 だから毎日アルバイトしてお金を稼いだ。 食べるものや着る物を買うために……パン屋さんで働かせてもらった。 パン屋さんは家の事情を知っていて、毎日余ったパンをくれたのでそれは感謝している。 そんな時お姉さまはこの国の第一王子さまに恋をしてしまった。 王子さまに自分を売り込むために、私は王子付きの侍女にされてしまったのだ。 そんなの自分でしろ!!!!!

もうすぐ婚約破棄を宣告できるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ。そう書かれた手紙が、婚約者から届きました

柚木ゆず
恋愛
《もうすぐアンナに婚約の破棄を宣告できるようになる。そうしたらいつでも会えるようになるから、あと少しだけ辛抱しておくれ》  最近お忙しく、めっきり会えなくなってしまった婚約者のロマニ様。そんなロマニ様から届いた私アンナへのお手紙には、そういった内容が記されていました。  そのため、詳しいお話を伺うべくレルザー侯爵邸に――ロマニ様のもとへ向かおうとしていた、そんな時でした。ロマニ様の双子の弟であるダヴィッド様が突然ご来訪され、予想だにしなかったことを仰られ始めたのでした。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。

木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。 彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。 スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。 婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。 父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。