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ジェフリーの独白2(ジェフリー視点)

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 死んでからあの世というところに行くと殿下がいた。

 何やら神らしき者に文句を言っている。

「よぉ、ジェフリーお前もきたのか?」

「殿下、何をされているんですか?」

「どうやら、俺達は死期を間違えられていたようで、それを隠蔽しようとしていたので、時間を巻き戻せと交渉していたんだ」

 交渉? どこが交渉なんだ。これは脅し、脅迫ではないか。

「そういえば、悪かったな」

 殿下が急に詫びてきた。

「なんの詫びでしょうか」

「アデライドにお前と結婚したらどうだと嗾けたのは俺なんだ。だって俺はお前が妬ましかった。婚約者と揉めればいいと思ってさ。ちょっとしたイタズラ心だったんだ」

 何を言ってるんだこの人は?

 それで何の関係もないベルが巻き込まれて殺されたんだぞ。

 私は殿下が許せず殴り飛ばした。何度も何度も殴った。

 神がミスや隠蔽工作をしたことを認め、時間を巻き戻した。

 私と殿下の記憶が戻った時ベルはまだ赤ちゃんだった。

 私はもう誰も当てにできないと思い。影と同じ力をつけようと修行した。神が詫びにとチートな力をくれたのも有り難かった。今まで使っていた魔法よりもすごい魔法が使える。

 
 殿下は復讐に燃えていた。

 私にも手伝えという。私は回帰前に皆殺しにして復讐は済んでいる。今復讐するならあなただと言ってやった。

 殿下は何かを考えているようだった。

「何もしなければまた同じことが起きる。あいつらはまた俺を殺してアデライドを女王にしようとするつもりだ。お前は初めからアデライドの婚約者になり、あちら側の動きを牽制しろ。俺はベルティーユを婚約者にして、影に守らせる。影は王族の命がないと動かんからな。全部終わったらベルティーユと婚約を破棄してお前に返してやるよ。慰謝料も弾む。だから協力してくれ」

 殿下は回帰前とは違い元気な身体があるが
復讐のためには手段を選ばないような冷酷さもある。

 ここで嫌だと言ったら、私もベルも消されるような気がしたので、とりあえずいう通りにすることにした。

 殿下は回帰前とは違い、邪魔な者には容赦なかった。
 元々そういう人だったのが、毒で動きが取れなかったので表に出なかっただけなのかもしれない。

 回帰前の世界であったことを神託と称し、まるで神からお告げがあったかのように告げ、神の加護のある王子として皆から称賛を浴びた。
 回帰前で疎遠だった国王とも親密になった。

 そして神託を駆使し、全て自分の思い通りにしていく。

 あちこちからグリーデン公爵や側妃、王女に恨みを持つ者を探し出し、へ復讐に協力させることにしたようだ。

 私は一応王女の婚約者になり、王女や側妃グリーデン公爵を見張りながらベルも守った。回帰後は神が与えてくれたチートな力、瞬間移動が使えるし、影としての力もあるので上手くやれた。

 殿下から毒を盛られたグリーデン公爵は力を失っていった。

 国王からの寵愛が亡くなった側妃は荒れ狂ったが、クスリを盛られ、壊れていった。

 殿下の仲間のヨーセット王国の王子のヒューイ殿下に上手く乗せられた王女はベルに毒を盛り捕らえられた。
 もちろんそれは毒ではなく、疲労回復の眠剤だ。一瞬で眠りに落ちるため死んだかのように見える。

 側妃と王女は殿下を殺害し、女王になろうとした国家転覆罪で処刑、グリーデン公爵は原因不明の病で病死。
 そして国王も原因不明の病で病死した。

 殿下は国王にも毒を盛っていたのだな。回帰前に国王が自分と母の王妃を蔑ろにしていたことを恨んでいたのだろう。

 約束どおり、殿下はベルと婚約破棄した。
 やっとベルが私のもとに戻ってきた。

 しかし、殿下はベルに呆れ返るほど酷い嘘を吹き込んでいて、それを全て嘘だったとベルに信じてもらうまでなかなか大変だった。

 ベルは殿下に復讐を誓っていたが、まぁ、ベルの復讐などささやかなものなのだろうな。

 私にもやっと平穏な日々が戻ってきた。
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