12 / 21
恨んでいる理由
しおりを挟む
ヒューイ殿下は来年から我が国のアカデミーに留学されるそうだ。
今回はその手続きや挨拶も兼ねてこの国にきたそうだ。
滞在先はノバック公爵家になるらしい。
え? ジェフリー様の屋敷に?
「色々あるんだよ」
ウィル様はいつもの悪い顔で微笑む。
それにしてもヒューイ殿下はなぜグリーデン公爵を恨んでいるのだろうか?
私はヒューイ殿下に聞いてみた。
「私の侍女がグリーデン公爵に殺されたんだよ。私は母上を早くに亡くし、侍女に育てられたようなもんだったんだ。侍女は元はこの国の出身でね。グリーデン公爵家の分家の令嬢だったんだ。ヨーセット王国の伯爵家に嫁いでいたんだけど、父上の側近だった夫が亡くなって未亡人になり、子供もいなかったので私の侍女になったんだ。侍女は母親の葬儀の為にこの国に戻って来た時にグリーデン公爵に目をつけられて、妾になれと言われたようで、もちろん断ったのだが侍女の父親は公爵から圧力をかけられて娘を差し出してしまったらしい。公爵に抵抗した侍女は監禁されて、人間としての尊厳を奪われるような目に遭い、自ら命を断ってしまった。なかなか戻ってこないので心配になり、文を送ったけど、病で戻れないと返事が来た。似せてはいるが乳母の字と違うような気がして影を使い調べてみたらそう言うことだったんだよ」
ヒューイ殿下は目を伏せた。
「ヨーセット王国の国王から父上に抗議があったが、父上はグリーデン公爵に丸め込まれているから、急な病で亡くなったとヨーセット王国に返事をしたらしい」
ウィル様が補足する。
何それ? グリーデン公爵ってエロジジイだったの?
「グリーデン公爵ってエロジジイなんですか?」
「うん。愛妾が沢山いるよ。実は側妃もグリーデン公爵と関係があるようなんだ」
「側妃様と? 親子ですわよね?」
セレスも目を丸くして驚いている。
は~? 義理でも親子でしょ? 私は空いた口が塞がらない。
「アデライドも本当に父上の子なのかな。だって父上に似たところある?」
「瞳の色は同じですよね」
「うん。でも公爵も同じ色だよ」
確かに。
「だったらグリーデン公爵に愛憎がらみで恨んでいる人も多いのではないですか?」
セレスが言う。
「そうだよ。今はまだ時期尚早だから公爵を泳がしている。我々がもう少し年をとるまでね」
ウィル様は楽しそうだ。
「私は絶対あいつを許さない」
ヒューイ殿下は拳を握りしめる。
「私も我がグラン辺境伯家も許さないわ」
セレスも怖い顔をしている。
「私も倍返しさせてもらうつもりだよ」
ウィル様も続く。
「私も……」
私は王女、ジェフリー様、ノバック公爵、父にしか恨みはないんだけど、元を辿ればグリーデン公爵なのかしら。
私は王女に仕返ししたい。
ジェフリー様やノバック公爵や父に仕返ししたい。
それだけなのよ。
なんかみんなと温度差が違うのでちょっと戸惑ってしまう。
とりあえず話を合しておくしかないな。
私は胸に感じた小さな違和感を打ち消しながら微笑んだ。
今回はその手続きや挨拶も兼ねてこの国にきたそうだ。
滞在先はノバック公爵家になるらしい。
え? ジェフリー様の屋敷に?
「色々あるんだよ」
ウィル様はいつもの悪い顔で微笑む。
それにしてもヒューイ殿下はなぜグリーデン公爵を恨んでいるのだろうか?
私はヒューイ殿下に聞いてみた。
「私の侍女がグリーデン公爵に殺されたんだよ。私は母上を早くに亡くし、侍女に育てられたようなもんだったんだ。侍女は元はこの国の出身でね。グリーデン公爵家の分家の令嬢だったんだ。ヨーセット王国の伯爵家に嫁いでいたんだけど、父上の側近だった夫が亡くなって未亡人になり、子供もいなかったので私の侍女になったんだ。侍女は母親の葬儀の為にこの国に戻って来た時にグリーデン公爵に目をつけられて、妾になれと言われたようで、もちろん断ったのだが侍女の父親は公爵から圧力をかけられて娘を差し出してしまったらしい。公爵に抵抗した侍女は監禁されて、人間としての尊厳を奪われるような目に遭い、自ら命を断ってしまった。なかなか戻ってこないので心配になり、文を送ったけど、病で戻れないと返事が来た。似せてはいるが乳母の字と違うような気がして影を使い調べてみたらそう言うことだったんだよ」
ヒューイ殿下は目を伏せた。
「ヨーセット王国の国王から父上に抗議があったが、父上はグリーデン公爵に丸め込まれているから、急な病で亡くなったとヨーセット王国に返事をしたらしい」
ウィル様が補足する。
何それ? グリーデン公爵ってエロジジイだったの?
「グリーデン公爵ってエロジジイなんですか?」
「うん。愛妾が沢山いるよ。実は側妃もグリーデン公爵と関係があるようなんだ」
「側妃様と? 親子ですわよね?」
セレスも目を丸くして驚いている。
は~? 義理でも親子でしょ? 私は空いた口が塞がらない。
「アデライドも本当に父上の子なのかな。だって父上に似たところある?」
「瞳の色は同じですよね」
「うん。でも公爵も同じ色だよ」
確かに。
「だったらグリーデン公爵に愛憎がらみで恨んでいる人も多いのではないですか?」
セレスが言う。
「そうだよ。今はまだ時期尚早だから公爵を泳がしている。我々がもう少し年をとるまでね」
ウィル様は楽しそうだ。
「私は絶対あいつを許さない」
ヒューイ殿下は拳を握りしめる。
「私も我がグラン辺境伯家も許さないわ」
セレスも怖い顔をしている。
「私も倍返しさせてもらうつもりだよ」
ウィル様も続く。
「私も……」
私は王女、ジェフリー様、ノバック公爵、父にしか恨みはないんだけど、元を辿ればグリーデン公爵なのかしら。
私は王女に仕返ししたい。
ジェフリー様やノバック公爵や父に仕返ししたい。
それだけなのよ。
なんかみんなと温度差が違うのでちょっと戸惑ってしまう。
とりあえず話を合しておくしかないな。
私は胸に感じた小さな違和感を打ち消しながら微笑んだ。
172
お気に入りに追加
2,558
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。
加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。
そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに
hikari
恋愛
侯爵令嬢アントニーナは王太子ジョルジョ7世に婚約破棄される。王太子の新しい婚約相手はなんと幼馴染の親友だった公爵令嬢のマルタだった。
二人は幼い時から王立学校で仲良しだった。アントニーナがいじめられていた時は身を張って守ってくれた。しかし、そんな友情にある日亀裂が入る。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します
hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。
キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。
その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。
※ざまあの回には★がついています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
いらない婚約者と言われたので、そのまま家出してあげます
新野乃花(大舟)
恋愛
カレンの事を婚約者として迎え入れていた、第一王子ノルド。しかし彼は隣国の王族令嬢であるセレーナに目移りしてしまい、その結果カレンの事を婚約破棄してしまう。これでセレーナとの関係を築けると息巻いていたノルドだったものの、セレーナの兄であるデスペラード王はかねてからカレンの事を気に入っており、婚約破棄をきっかけにしてその感情を怒りで満たしてしまう。その結果、ノルドの周りの空気は一変していくこととなり…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
さようなら、私の王子様
雨野六月(旧アカウント)
恋愛
「ビアンカ・アデライド、お前との婚約を破棄する!」
王太子リチャードの言葉に対し、侯爵令嬢ビアンカが抱いたのは怒りでも哀しみでもなく、「ついにこの時が来たか」という感慨だった。ビアンカにしてみれば、いずれこうなることは避けられない運命だったから。
これは二度の婚約破棄を経験した令嬢が、真実の愛を見つけるまでのお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです
hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。
ルイーズは伯爵家。
「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」
と言われてしまう。
その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。
そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる