【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
8 / 21

殿下の画策

しおりを挟む
 あれから私は王子妃教育の為に、毎日登城することになった。

 王子妃教育と言ってもまだ4歳なので、王妃様からこの国の歴史や王家の色々、貴族とはみたいなお話を聞いたり、ジンハック公爵夫人から基礎のマナーを教えてもらっている。

 前の世界で16年侯爵令嬢をやっていたのだから、そんな話は頭や身体に染み付いている。

「ベルティーユ様はまだ4歳なのに素晴らしいですわ。私が一度お話したことを全て完璧に理解して覚えていらっしゃいます。どこかのどなたとは大違いですわ」

 私に王家に必要なマナーを教えてくれているジンハック公爵夫人は楽しそうに微笑む。

 確か前の世界ではジンハック家は中立だった気がするが、この世界では王妃派なのかな? 王妃様と近いようだ。

「シンシア、ベルちゃんはウィルがご神託を受けて選んだ妃なのよ」

 ご神託?

「左様でございましたか。殿下が神様からご神託を受け取られるようになってから我が国はあらゆる災難を回避できるようになりましたものね。神様が選んだお妃様なら優秀であたりまえですわね」

 ふたりは顔を見合わせてほほほと微笑み合う。

 ご神託ということにしたのか。

 殿下は起こる事がわかっているので先に手を打てる。

 いくつか神託どおりの事が起きれば、周りは信用するから、ご神託だと言えば大概の事が思い通りになる。アデライド様とジェフリー様の婚約もご神託にしたのかな。

 王子妃教育の後、タイミングが合えば殿下とお茶をすることになっているが、殿下は9歳なのに、ご神託と称し、色々な改革を始めているので結構忙しい。

 今日は久しぶりに殿下と会った。

「相変わらずお忙しそうですね」

「あぁ、側妃派を王妃派に寝返らさないといけないからな」

「そういえば、ジンハック公爵家は前の世界では中立派でしたよね。今は王妃派ですか?」

「うん。中立派は側妃派より取り込みやすいからね。元々夫人は母上と学園で友人だったし、ご神託と称して公爵を前の世界でグリーデン公爵が勤めていた財務の管理者に抜擢した。あの人は真面目で堅物だから賄賂も受け取らないし、国の財務を管理するにはぴったりだよ。それに今回のベルの王子妃教育に夫人が教育係になったから、周りは王妃派と認識しているだろうな」

「ご神託とは前の世界の記憶ですか? それとも本当にご神託?」

「記憶に決まっているじゃないか。それに、あんな神様に神託なんて出せる訳ないよ。一度死んで神とはどういう存在かよくわかった。人間は神という存在を勘違いしている。あれは文官みたいなもんだ。だから本当は教会なんていらないから潰そうかと思ったんだけど。まぁ、みんなの心の拠り所に残しておくことにしたんだ」

 殿下は9歳とは思えない口調で9歳らしからぬ事をズバズバ言う。

「前の世界では父上は側妃とアデライドにベッタリだったけど、今の世界では、私がご神託を聞く王子で、そのご神託でこの国に危機を何度も回避しているから、結構こちらよりなんだ。それに3年前の天災の時に母上を大事にしないから神が怒っていると言ったら父上はそれを本気にして、それから母上を大事にするようになったよ」

 国王陛下もご神託には勝てないようだ。

「しかし、陛下が王妃様を大事にするようになったら側妃様から文句がでないのですか?」

 殿下はふふふと笑う。

「側妃はヒステリーを起こして暴れているよ。侍女やメイドを気に入らないと何人もクビにしている。今はジンハック公爵が財務を取り仕切っているから、前の世界みたいに湯水のように買い物もできないしね。父上の耳にも側妃の愚行は入ってきているし、父上も嫌気がさしてきているようだ」

 私の記憶が戻るまでの間に殿下は色々画策したんだな。

 元々腹黒だったのが毒で動けなくて鬱々していたのだろう。今は身体も元気だし、腹黒全開だわね。

「アデライド様はどうしているのですか?」

 ちょっと気になったので聞いてみた。

「アデライドは前よりは我儘さはましだけど、努力は嫌いな怠け者だ。母親の影響かいやなことがあるとメイドに当たっているよ。父上にも疎まれつつあるようだ」

 きっと私に言ってること以外にも殿下は色々裏で手を回して側妃母子が孤立するように仕向けているんだろうな。
 私はけっして殿下は敵にまわさないと誓った。

「そうだベル、私達は婚約したんだからそろそろ殿下はやめてくれないかな?」

 へ?

「ウィルと呼んでくれないか?」

「ウィル様?」

「そう。それでいい。さぁ、チョコレートいっぱい食べて。これには毒は入ってないからね」

 殿下……じゃなかった、ウィル様は黒い笑顔でクスクス笑っていた。

しおりを挟む
感想 86

あなたにおすすめの小説

喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。

加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。 そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……

幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに

hikari
恋愛
侯爵令嬢アントニーナは王太子ジョルジョ7世に婚約破棄される。王太子の新しい婚約相手はなんと幼馴染の親友だった公爵令嬢のマルタだった。 二人は幼い時から王立学校で仲良しだった。アントニーナがいじめられていた時は身を張って守ってくれた。しかし、そんな友情にある日亀裂が入る。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。

木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。 彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。 スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。 婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。 父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。 ※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。

【完結】私は側妃ですか? だったら婚約破棄します

hikari
恋愛
レガローグ王国の王太子、アンドリューに突如として「側妃にする」と言われたキャサリン。一緒にいたのはアトキンス男爵令嬢のイザベラだった。 キャサリンは婚約破棄を告げ、護衛のエドワードと侍女のエスターと共に実家へと帰る。そして、魔法使いに弟子入りする。 その後、モナール帝国がレガローグに侵攻する話が上がる。実はエドワードはモナール帝国のスパイだった。後に、エドワードはモナール帝国の第一皇子ヴァレンティンを紹介する。 ※ざまあの回には★がついています。

さようなら、私の王子様

雨野六月(旧アカウント)
恋愛
「ビアンカ・アデライド、お前との婚約を破棄する!」 王太子リチャードの言葉に対し、侯爵令嬢ビアンカが抱いたのは怒りでも哀しみでもなく、「ついにこの時が来たか」という感慨だった。ビアンカにしてみれば、いずれこうなることは避けられない運命だったから。 これは二度の婚約破棄を経験した令嬢が、真実の愛を見つけるまでのお話。

クレアは婚約者が恋に落ちる瞬間を見た

ましろ
恋愛
──あ。 本当に恋とは一瞬で落ちるものなのですね。 その日、私は見てしまいました。 婚約者が私以外の女性に恋をする瞬間を見てしまったのです。 ✻基本ゆるふわ設定です。 気を付けていますが、誤字脱字などがある為、あとからこっそり修正することがあります。

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

処理中です...