4 / 21
なんで?
しおりを挟む
「ベル、話はどうなったの?」
学園に行くとナディアが飛んできた。
「それがね。必ずちゃんとするとか守るとか言われてお茶を濁されちゃったのよ」
「婚約解消できなかったの?」
「そー言うこと」
「やっぱり相手は殿下の側近で次期宰相だものね。上手く丸め込まれちゃったのね」
「なんか圧が凄くてね。かなり強く出たのだけれど負けちゃったわ。まぁ、王女のことはなんとかする。必ず守るって言うのだからそれ以上言えなくてね」
私はため息をついた。
「それに父の勧めで留学しようと思っているの」
「それがいいかもね。王女が卒業するまで学園も危険だもの。ベルがいなくなると淋しいから私も一緒に留学しようかな」
ナディアは笑う。
私達は一緒に隣国に留学することになり準備を始めていた。
その間も王女からの嫌がらせは続いていた。「必ず守るから」なんて言っていたのは誰だろう?
「あなた、まだジェフリーと婚約を解消してないのね。あれほど別れろって言ったのに」
ナディアと楽しく学食でランチをしていたら突然王女と取り巻き令嬢達が現れた。
「婚約解消はすでに申し出ております。ジェフリー様やノバック公爵家にお問い合わせ下さいませ」
私がそう言うと、王女は憎々しそうな表情で私を睨んだ。
「ならなんで、ジェフリーは解消しないの。嘘つくのもいい加減になさい」
手に持っていた扇を私に振り下ろす。
もう、なんで王女に扇で殴られなきゃならないのよ。
必ず守ってくれるんじゃなかったの?
嘘つきと結婚するのは嫌だ。
絶対婚約を解消しよう。
王女は文句を言いながら食堂から出て行った。
「ベル、医務室に行こう。凄く腫れてるよ」
「大丈夫よ。でもなんだか疲れちゃった。明日から学園は休むわ」
本当に休もう。もう嫌だ。
今日も疲れた。
あれから父はノバック公爵閣下や国王陛下にもそれとなく話をしているらしいが全く婚約解消の話は出ない。
相手が王女だから色々と面倒らしい。クロフォード侯爵家もノバック公爵家も王妃派だからなぁ。
我が国には4大公爵家があり、王妃様のご実家のランドゥール公爵家が筆頭公爵家で、もちろん王妃派。
次いでノバック公爵も王妃派。
側妃様を養女にしたグリーデン公爵家は側妃派。
そして中立なジンハック公爵家がある。
国王は王妃様より側妃様を寵愛しているので、王妃派から文句を言ってもパンチに欠けるのかもしれない。
私は今は学園を休んでいるので被害もなく静かに過ごしている。
ちょっと前からノバック公爵家の護衛騎士達が我が家に派遣されていて私を守ってくれている。
部屋で本を読んでいたら侍女のメリッサが呼びにきた。
「お嬢様、ノバック家の騎士の方がジェフリー様からことづかったとチョコレートのお菓子を持ってきてくださってますよ。奥様が一緒に食べましょうとサロンでお待ちです」
サロンに行くと母と妹のエリーゼが待っていた。
「やっぱりジェフリー様はあなたのことを気にかけてくれているのね」
母はうれしそうだ。
気にかけてくれているのなら婚約解消してくれればいいのに。
私はテーブルの上にあったチョコレートをひとつ口に入れた。
ん? なんだ? なんか変。
苦しい。
「ベル! ベル!」
「お姉様!」
「誰か医師を呼んで! 早く!」
母とエリーゼの声が遠くで聞こえている。
毒? ジェフリー様からのお菓子に毒? なんで?
あぁ、このまま死ぬのか。
でも母やエリーゼじゃなくてよかったわ。
私は意識を手放した。
学園に行くとナディアが飛んできた。
「それがね。必ずちゃんとするとか守るとか言われてお茶を濁されちゃったのよ」
「婚約解消できなかったの?」
「そー言うこと」
「やっぱり相手は殿下の側近で次期宰相だものね。上手く丸め込まれちゃったのね」
「なんか圧が凄くてね。かなり強く出たのだけれど負けちゃったわ。まぁ、王女のことはなんとかする。必ず守るって言うのだからそれ以上言えなくてね」
私はため息をついた。
「それに父の勧めで留学しようと思っているの」
「それがいいかもね。王女が卒業するまで学園も危険だもの。ベルがいなくなると淋しいから私も一緒に留学しようかな」
ナディアは笑う。
私達は一緒に隣国に留学することになり準備を始めていた。
その間も王女からの嫌がらせは続いていた。「必ず守るから」なんて言っていたのは誰だろう?
「あなた、まだジェフリーと婚約を解消してないのね。あれほど別れろって言ったのに」
ナディアと楽しく学食でランチをしていたら突然王女と取り巻き令嬢達が現れた。
「婚約解消はすでに申し出ております。ジェフリー様やノバック公爵家にお問い合わせ下さいませ」
私がそう言うと、王女は憎々しそうな表情で私を睨んだ。
「ならなんで、ジェフリーは解消しないの。嘘つくのもいい加減になさい」
手に持っていた扇を私に振り下ろす。
もう、なんで王女に扇で殴られなきゃならないのよ。
必ず守ってくれるんじゃなかったの?
嘘つきと結婚するのは嫌だ。
絶対婚約を解消しよう。
王女は文句を言いながら食堂から出て行った。
「ベル、医務室に行こう。凄く腫れてるよ」
「大丈夫よ。でもなんだか疲れちゃった。明日から学園は休むわ」
本当に休もう。もう嫌だ。
今日も疲れた。
あれから父はノバック公爵閣下や国王陛下にもそれとなく話をしているらしいが全く婚約解消の話は出ない。
相手が王女だから色々と面倒らしい。クロフォード侯爵家もノバック公爵家も王妃派だからなぁ。
我が国には4大公爵家があり、王妃様のご実家のランドゥール公爵家が筆頭公爵家で、もちろん王妃派。
次いでノバック公爵も王妃派。
側妃様を養女にしたグリーデン公爵家は側妃派。
そして中立なジンハック公爵家がある。
国王は王妃様より側妃様を寵愛しているので、王妃派から文句を言ってもパンチに欠けるのかもしれない。
私は今は学園を休んでいるので被害もなく静かに過ごしている。
ちょっと前からノバック公爵家の護衛騎士達が我が家に派遣されていて私を守ってくれている。
部屋で本を読んでいたら侍女のメリッサが呼びにきた。
「お嬢様、ノバック家の騎士の方がジェフリー様からことづかったとチョコレートのお菓子を持ってきてくださってますよ。奥様が一緒に食べましょうとサロンでお待ちです」
サロンに行くと母と妹のエリーゼが待っていた。
「やっぱりジェフリー様はあなたのことを気にかけてくれているのね」
母はうれしそうだ。
気にかけてくれているのなら婚約解消してくれればいいのに。
私はテーブルの上にあったチョコレートをひとつ口に入れた。
ん? なんだ? なんか変。
苦しい。
「ベル! ベル!」
「お姉様!」
「誰か医師を呼んで! 早く!」
母とエリーゼの声が遠くで聞こえている。
毒? ジェフリー様からのお菓子に毒? なんで?
あぁ、このまま死ぬのか。
でも母やエリーゼじゃなくてよかったわ。
私は意識を手放した。
192
お気に入りに追加
2,557
あなたにおすすめの小説

幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに
hikari
恋愛
侯爵令嬢アントニーナは王太子ジョルジョ7世に婚約破棄される。王太子の新しい婚約相手はなんと幼馴染の親友だった公爵令嬢のマルタだった。
二人は幼い時から王立学校で仲良しだった。アントニーナがいじめられていた時は身を張って守ってくれた。しかし、そんな友情にある日亀裂が入る。

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない
ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。
ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。
ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。
ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

人生の全てを捨てた王太子妃
八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。
傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。
だけど本当は・・・
受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。
※※※幸せな話とは言い難いです※※※
タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。
※本編六話+番外編六話の全十二話。
※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?
碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。
まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。
様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。
第二王子?いりませんわ。
第一王子?もっといりませんわ。
第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は?
彼女の存在意義とは?
別サイト様にも掲載しております

喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。
加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。
そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……

そんなに優しいメイドが恋しいなら、どうぞ彼女の元に行ってください。私は、弟達と幸せに暮らしますので。
木山楽斗
恋愛
アルムナ・メルスードは、レバデイン王国に暮らす公爵令嬢である。
彼女は、王国の第三王子であるスルーガと婚約していた。しかし、彼は自身に仕えているメイドに思いを寄せていた。
スルーガは、ことあるごとにメイドと比較して、アルムナを罵倒してくる。そんな日々に耐えられなくなったアルムナは、彼と婚約破棄することにした。
婚約破棄したアルムナは、義弟達の誰かと婚約することになった。新しい婚約者が見つからなかったため、身内と結ばれることになったのである。
父親の計らいで、選択権はアルムナに与えられた。こうして、アルムナは弟の内誰と婚約するか、悩むことになるのだった。
※下記の関連作品を読むと、より楽しめると思います。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる