【完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
2 / 21

勘弁してよ

しおりを挟む
 あのお茶会以来、私は学園でも王女に絡まれるようになった。

「あら、ごめんなさいね。こんなところにいらっしゃるとは思いませんでしたわ」

 王女に突き飛ばされた私は学園の噴水に落ちてしまった。

 びしょ濡れになった私を見て、王女と取り巻きはケラケラ笑う。

「水浸しなのがよく似合っていらっしゃるわね」

「身の程を弁えなさい」

「王女様のおっしゃることを聞かないからだわ」

「私は何もしておりませんわよ。こんなところにいるあなたがいけないのよ」

 王女は取り巻きの方々を従え高笑いをしながら消えていった。

「ベル、大丈夫?」

「うん。大丈夫よ」 

「早く魔法で乾かした方がいいわ。風邪ひいちゃうわよ」

「そうする」

「悔しいけど相手が王女では何も言えないわね。ノバック卿は何と言っているの?」

 ナディアは苛立っているようだ。

「なんだか忙しいらしくて全く連絡がつかないの。次の恒例のお茶会は会えるみたいなんだけどね。その時に婚約解消の話をするつもり」

「解消するの?」

「うん。だって、別に恋愛感情はないし、我が身可愛いもん。こんなことで怪我したり、死んだりするのはいやだわ」

 私の言葉にナディアはため息をついた。


 王女はジェフリー様が自分のものにならないのは私のせいだと思っているようだった。

 私がジェフリー様にしがみついて離れないと。
 私は別に婚約を解消しても一向に構わないのに。


「お父様、王女様に嫌がらせをされるからジェフリー様との婚約を解消してほしいの」

 私は家に帰るなり父に懇願した。父は困った顔をしている。

「ノバック家の方が爵位が上だから、うちからは婚約を解消してほしいとは言えないんだよ。しばらく学園を休むか王女が卒業するまで他国に留学するのはどうだ?」

 留学か。それもいいかもしれないな。

 それにしてもなんで婚約を解消してくれないんだろう?

 王女はジェフリー様にも圧力をかけているはずだろう。

 確かにうちは裕福でお金のある侯爵家だが、別にノバック公爵家はうちから援助が必要と言うわけでもない。

 それなら侯爵令嬢より王女様と結婚する方が高待遇になるに決まっている。

 ジェフリー様は王太子殿下の側近でノバック公爵は王妃派だから敵対する側妃様の娘は嫌なのかな?

 まぁ、ジェフリー様もいくら家のためとはいえあんな人と結婚するのは嫌なのだろう。

 他人に嫌がらせをするような人を好む訳がない。

 王女様は本当にジェフリー様が好きなのかな? 

 それならもっときちんと話をすればいいのにね。

 私を排除するより、ジェフリー様と向き合うべきだろう。

しおりを挟む
感想 86

あなたにおすすめの小説

人生の全てを捨てた王太子妃

八つ刻
恋愛
突然王太子妃になれと告げられてから三年あまりが過ぎた。 傍目からは“幸せな王太子妃”に見える私。 だけど本当は・・・ 受け入れているけど、受け入れられない王太子妃と彼女を取り巻く人々の話。 ※※※幸せな話とは言い難いです※※※ タグをよく見て読んでください。ハッピーエンドが好みの方(一方通行の愛が駄目な方も)はブラウザバックをお勧めします。 ※本編六話+番外編六話の全十二話。 ※番外編の王太子視点はヤンデレ注意報が発令されています。

幼馴染の親友のために婚約破棄になりました。裏切り者同士お幸せに

hikari
恋愛
侯爵令嬢アントニーナは王太子ジョルジョ7世に婚約破棄される。王太子の新しい婚約相手はなんと幼馴染の親友だった公爵令嬢のマルタだった。 二人は幼い時から王立学校で仲良しだった。アントニーナがいじめられていた時は身を張って守ってくれた。しかし、そんな友情にある日亀裂が入る。

《完結》愛する人と結婚するだけが愛じゃない

ぜらいす黒糖
恋愛
オリビアはジェームズとこのまま結婚するだろうと思っていた。 ある日、可愛がっていた後輩のマリアから「先輩と別れて下さい」とオリビアは言われた。 ジェームズに確かめようと部屋に行くと、そこにはジェームズとマリアがベッドで抱き合っていた。 ショックのあまり部屋を飛び出したオリビアだったが、気がつくと走る馬車の前を歩いていた。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

悪役令嬢の涙

拓海のり
恋愛
公爵令嬢グレイスは婚約者である王太子エドマンドに卒業パーティで婚約破棄される。王子の側には、癒しの魔法を使え聖女ではないかと噂される子爵家に引き取られたメアリ―がいた。13000字の短編です。他サイトにも投稿します。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

喋ることができなくなった行き遅れ令嬢ですが、幸せです。

加藤ラスク
恋愛
セシル = マクラグレンは昔とある事件のせいで喋ることができなくなっていた。今は王室内事務局で働いており、真面目で誠実だと評判だ。しかし後輩のラーラからは、行き遅れ令嬢などと嫌味を言われる日々。 そんなセシルの密かな喜びは、今大人気のイケメン騎士団長クレイグ = エヴェレストに会えること。クレイグはなぜか毎日事務局に顔を出し、要件がある時は必ずセシルを指名していた。そんなある日、重要な書類が紛失する事件が起きて……

【完結】婚約破棄されたので、引き継ぎをいたしましょうか?

碧桜 汐香
恋愛
第一王子に婚約破棄された公爵令嬢は、事前に引き継ぎの準備を進めていた。 まっすぐ領地に帰るために、その場で引き継ぎを始めることに。 様々な調査結果を暴露され、婚約破棄に関わった人たちは阿鼻叫喚へ。 第二王子?いりませんわ。 第一王子?もっといりませんわ。 第一王子を慕っていたのに婚約破棄された少女を演じる、彼女の本音は? 彼女の存在意義とは? 別サイト様にも掲載しております

処理中です...