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私も動くか

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「お義父様、お義母様、明日アマーリエ様に呼ばれておりますの」

「王女に会いに王宮に行くのか?」

「はい。アマーリエ様にも何か考えがあるようですわ。私はなんとかザラ嬢と顔を合わせるようにして煽ってきたいと思っております」

 アマーリエ様は王太子殿下の姉で私とは小さい頃からの乗馬の会の仲間で今でも懇意にしてもらっている。

 殿下の事で心を痛めていてなんとか天誅を下してやりたいと思っているようだ。

 アマーリエ様は殿下の婚約者だったデルフィーヌ様とも乗馬の会の仲間だったので、殿下の態度には腹を立てている。

 ザラ嬢が現れるまでは姉弟仲もよかったのだが、最近は犬猿の仲状態らしい。

「囮になるつもりか?」

 義父が目を見開いた。

「それも面白いかと。アマーリエ様も何か企んでいらっしゃる様なのて、私も階段から落とされた怪我をさせられた恨みをはらしたいと思っておりますが、陛下やお義父様達と足並みを揃えた方がよろしいようですわね」

 天誅を下すなら一緒の方がいいかしら。

「そうだな。アマーリエ殿下はちょっと苛烈だし、シルフィアを危ない目に合わせなくはない。そして、できれば殿下達は助けたい。殿下達には緩い天誅をとアマーリエ様に伝えてくれてるか」

「承知いたしました。でもアマーリエ様はかなり怒っていらっしゃるので私がお止めできるかどうか。まぁ、エミール様が頑張るとお伝えしておきますわ」

「そうだな。シルフィアには、うちの影をつけておこう」

 エクセグラン家の影がついているなら100人力だ。

「ありがとうございます。心強いです」

 私は決してお淑やかで大人しい令嬢ではない。じっと待っているなんて無理だ。
やられたらやり返したい。ここらへんでカタをつけておきたい。

 話が陛下に伝わっているのならば決着は早いかもしれない。

 どうにかしてザラ嬢に一矢報いたいわ。


 次の朝早く、エミール様は王宮に戻ったそうだ。

 薬で完全に魔法は解けたらしい。

 行く前に私に会いたがっていたそうだが、成功して男を上げるまで会わさんと送り出したと言う。

 エミール様、大丈夫かしら? ちゃんとできるかな?

 私もそろそろ出かけるとするか。

 エクセグラン公爵家の家紋のついた馬車に乗る。

 ザラ嬢、待ってろよ。
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