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高位貴族の令嬢なんて大嫌いよ(ザラ視点2)

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 私は貧乏男爵の娘だった。

 貴族とは名ばかりで平民と変わらない生活。お金がなくて毎日喧嘩の絶えない両親に嫌気がさし、お金持ちのおじさま達と遊んでお小遣いをもらっていた。

 とあるおじさまに連れ込まれた街外れの古い屋敷で埃を被ったぼろぼろの本をみつけたの。
 いつもならあんな汚そうな本気にもしないのだけれど、あの本は私を呼んでいるような気がしたの。
なんとなく手に取ってみると、その本は魅了の魔法の指南書だった。

 
 これがあれば私は幸せになれる。金持ちで地位の高い人を魅了して贅沢な暮らしをするわ。
 元々私は美人だし、お金の為におじさま達を虜にする技は学んだ。そこにこの魔法が使えれば怖いモノなしだ。

 私はその本をこっそり持ち出し、隅から隅まで読み、魅了の魔法を身につける練習をした。
簡単な生活魔法なら使えるけど、こんな大掛かりな魔法は初めてだった。
 
 魔法陣を書いたり、呪文をまちがえないようにとなえるのは大変だったけど頑張ったわ。

 練習のためにいろんな男性に魔法をかけてみた。みんな面白いようにコロコロかかる。
 男爵子息、子爵子息、伯爵子息とどんどんグレードを上げていった。

 そしてとうとうこの国の王太子と側近達を手に入れた。

 王太子なんてチョロかったわ。婚約者がいるくせに女に免疫ないのね。だんだん魔法に深くかかっていくのが楽しかった。
 身体を交えた時は純潔じゃない私を純潔だと信じ込んでいた。前もって用意しておいた血を破瓜の血と思い込んでたわ。
 おじさま達と比べたら下手くそで気持ち良くもなかったけど、王太子だから我慢我慢。身体は他の人に満足させてもらいますわよ。

 私は王太子妃になって、王妃になるのよ。ドレスも宝石も欲しいものは全て手に入れるわ。

 偉そうにしている公爵令嬢や侯爵令嬢、伯爵令嬢達が婚約者に罵られているサマは気持ちよかったわ。

 何も悪いことなんかしていないのに、私を虐めた、嫌がらせをしたと泣きつけば王太子や側近達は私の言葉を信じる。
 
 卒園パーティーでみんなが見ている中、壇上から婚約破棄された時の顔ったらざまぁみろって感じだったわ。
 生まれた時から何不自由なく、愛されて、贅沢して暮らしてきた仕返しよ。傷モノ令嬢になって苦労すればいいのよ。

 私は貧乏で親にも愛されなかったの。でもこれからは幸せになるわ。
 そうね、国王陛下も魅了しちゃおうかしら。王妃も蹴落としちゃお。

 エミールなんて堅物でつまらない男、本当はどうでもいいけど、婚約者とそのまま結婚なんて腹が立つわ。
 エミールとステファンは本当に婚約者のことを愛していたみたいでなかなか私になびかなかった。
 殿下やみんなに「婚約者がいるのに不貞はダメだ、ザラ嬢と距離を置きましょう」
なんて言ってたけど、なんとかふたりとも魔法にかかってくれたわ。
 ステファンは婚約者と婚約破棄もしてくれた。まさか、エミールの婚約者があの階段落ちで骨折して卒業パーティーを休みとは思わなかったわ。
 
 でも、戻ってきたら、ちょっと不本意だけど早い目にエミールと身体を繋げちゃって、私の魔法で骨抜きにして、妻を虐げるように命令しよう。

 高位貴族の令嬢なんてみんな不幸になればいいのよ。落ちるところまで落ちればいい。

 ふふふ

 みんな私に傅かせてやるわ。


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