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フェノバール家の聖なる夜は
フェノバール家の聖なる夜は(リュカ視点)
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ボクが生まれて初めての聖なる夜がもうすぐやってくる。
この国の聖なる夜は年に一度、家族揃ってその年の感謝を神に伝え、新しい年の幸せを祈る日だ。
その日は家族でゆっくり過ごす。プレゼントをもらったりするのでみんな聖なる夜を楽しみにしている。
どこかの国では赤と白の服を着たサンタクロースという人がプレゼントをみんなに配ってくれるみたいだけど、我が国にはサンタクロースはいないと思う。
パパはママやボクに何かプレゼントを考えているようだ。ボクはまだ赤ちゃんだからもらうだけでいいけど、大人は色々大変だなぁ。
『パパ、ママへのプレゼント決まった?』
ボクが念話で話しかけるとパパは困った顔をした。
『まだだよ。ミディアはドレスや宝石も喜ばないだろう。欲しいものはないかと聞いても無いって言うだろいしなぁ』
『そうだね』
『リュカは何か欲しいものはあるか?』
『ボクはまだ赤ちゃんだから何も無いよ』
『そうだよな』
パパは難しい顔をして考え込んでいる。
いつも何かを考えているパパとあんまり何も考えずに行き当たりばったりで動くママ。慎重で腰が重いパパと軽率って言ったら怒られるけど、まぁ大胆ですぐに動くママ。この正反対のふたりが仲良し夫婦なのは面白い。
しかもパパはボクにやきもちを焼くくらいママが大好きで溺愛しているのに、ママはあんまりそれに気づいていない。報われなくて可哀想なパパだ。
『パパ、聖なる夜は南の領地に遊びに行こうよ。前にママがブランコ欲しいって言ってたし、南の領地の屋敷の海が見える庭におっきなブランコ作ってママにプレゼントしたらどうかな? ママきっと喜ぶよ』
『それだ! リュカありがとう! 今から急ピッチでブランコ作るよ。庭に大きなもみの木を植えて聖なる飾りもつけよう。南の領地なら夜も暖かいし、庭でみんなでパーティーもいいな』
パパは花がほころぶような笑顔になり、移動魔法で消えてしまった。
きっとパパはママを抱っこしてブランコに乗ろうと思っているんだろうなぁ。
本当にママが好きすぎる。ボクは大人になってもパパみたいにはならないでおこう。好きな人にうざがられるのは嫌だもんね。
「ねぇ、リュカ、リカルド様が急に今年の聖なる夜は南の領地に行こうって言うの。アーサー様に妊婦でも身体に負担のかからない移動魔法馬車を作ってもらったから大丈夫って言うんだけど、なんで南の領地なのかしらね? まぁ、暖かいところのほうが良いと言えば良いけど、私はキンと冷えたフェノバール領の冬も好きなのよね」
ボクはにこにこしておく。
ママとは念話で話せないけどママが話していることは全て理解できる。それはボクだけじゃなく、お腹の中にいる弟も同じ。ボクは弟に念話で話しかける。
『ママの身体がが移動魔法でつらくならないようにフォローしてね』
『任せて』
弟は聖魔法の使い手で身体や心を癒すことができる。ボクがお腹にいた時は魔力が多くてママは大変だったけど、今は弟がお腹の中から魔法でコントロールしているのでママは元気に妊婦ライフを過ごしている。ママが機嫌がいいとパパは幸せなので、屋敷中いや、領地中が幸せな気分になるのだ。
ボク達だけで行くはずだった南の領地には、噂を聞きつけた、パパのじぃじとばぁば、ママのじぃじとばぁば。ロバート叔父さんとアンソニー叔父さんもやってきた。そして、何があってはいけないとメグ先生まで行くことになった。
みんなそれぞれ各地から移動魔法で南の領地に飛ぶ。パパとアーサーは飾り付けのためにしょっちゅう行っていたがどんな出来になっているんだろう。
『パパ、ブランコと聖なる夜の飾りはばっちり?』
『あぁ、バッチリだ。きっとミディアも喜んでくれると思うよ。リュカのプレゼントも用意したから楽しみにしておいてくれよな』
パパはうれしそうだ。きっとママを抱っこしてブランコに乗る自分を想像しているのだろう。
夕方になり、ひと足先に屋敷のみんなが移動魔法で南の領地に移動した。ボクとパパとママ、メアリーとマイク、アーサーは夜になってからの移動だ。屋敷に着くとパパばぁばとママじぃじ、ママばぁば、アンソニー叔父さんはもう到着していて、僕らを迎えに出てきてくれた。
パパじぃじは来ないのかな? 一応王様だから忙しいのかもしれない。
『みんな今年も色々ありがとう。来年もよろしく頼む。今日はガーデンパーティーにしたんだ。海を見ながら聖なる夜を楽しんでもらえるとうれしい』
パパが挨拶をし、庭に続くドアが全開になった。
「ミディア、君への聖なる夜のプレゼントはあのブランコだよ」
「え~!! 嬉しい!! 海を見ながらブランコに乗れるなんて夢みたい! それに形も可愛い。リカルド様ありがとうございます!」
ママは大喜びで走ってブランコに飛び乗った。
それと同時に庭のもみの木や周りの植物にイルミネーションがキラキラと輝きだす。
みんなもこんな素敵な聖夜は初めてと喜んでくれている。
ただパパだけがママと一緒にブランコに乗るつもりだったのにひとりで乗られちゃったのでしょんぼりしているみたいだ。
「リカルド様! 一緒に乗りませんか? ブランコ楽しいですよ~」
あぁ、ママ最高! 空気を読んでくれてありがとう。
「メリークリスマス!!」
パパじぃじが赤と白の服を着て白い大きな袋を担いで現れた。
「あら、いないと思ったらサンタクロースのコスプレ?」
「父上、我が国にはサンタクロースはおりませんよ」
パパばぁばとアンソニー叔父さんは呆れ気味だ。
「リュカが喜んでくれるかなと思ったのだが……」
仕方がないからキャッキャと喜んでみた。
「ほら、やっぱり喜んでいるではないか」
「はいはい。リュカ、気を使わせてごめんなさいね」
パパばぁばが苦笑いをしている。パパじぃじサンタクロースの袋には王都で人気のお菓子が沢山入っていて、それをみんなに配ったのでどうやらパパじぃじは我が国のサンタクロース第1号と認知されたようだ。
ママは念願のブランコがもらえ、パパはママを抱っこして一緒にブランコに乗れて、ふたりとも幸せな聖なる夜になったみたいだ。
ボクはパパじぃじサンタクロースやパパばぁば、ママじぃじ、ママばぁば、叔父さん達やみんなからいっぱいプレゼントをもらった。
パパからのプレゼントは何だったかって?
パパからのプレゼントは魔道具の木馬だったよ。跨ると舞い上がりボクの思考に反応して行きたいところへ行ける魔法がかかっている木馬はとても便利そうでボクも嬉しかった。
初めての聖なる夜はみんな幸せな時間を過ごした。来年は弟も生まれてくる。また賑やかになるだろうなぁ。
「リュカ、料理長がリュカのためにスペシャルケーキを作ってくれたわよ。一緒に食べましょう」
ママが呼びにきてくれた。じゃあケーキ食べてくるね。
みんなも素敵な聖なる夜を過ごしてね。バイバイ。
Merry Xmas
この国の聖なる夜は年に一度、家族揃ってその年の感謝を神に伝え、新しい年の幸せを祈る日だ。
その日は家族でゆっくり過ごす。プレゼントをもらったりするのでみんな聖なる夜を楽しみにしている。
どこかの国では赤と白の服を着たサンタクロースという人がプレゼントをみんなに配ってくれるみたいだけど、我が国にはサンタクロースはいないと思う。
パパはママやボクに何かプレゼントを考えているようだ。ボクはまだ赤ちゃんだからもらうだけでいいけど、大人は色々大変だなぁ。
『パパ、ママへのプレゼント決まった?』
ボクが念話で話しかけるとパパは困った顔をした。
『まだだよ。ミディアはドレスや宝石も喜ばないだろう。欲しいものはないかと聞いても無いって言うだろいしなぁ』
『そうだね』
『リュカは何か欲しいものはあるか?』
『ボクはまだ赤ちゃんだから何も無いよ』
『そうだよな』
パパは難しい顔をして考え込んでいる。
いつも何かを考えているパパとあんまり何も考えずに行き当たりばったりで動くママ。慎重で腰が重いパパと軽率って言ったら怒られるけど、まぁ大胆ですぐに動くママ。この正反対のふたりが仲良し夫婦なのは面白い。
しかもパパはボクにやきもちを焼くくらいママが大好きで溺愛しているのに、ママはあんまりそれに気づいていない。報われなくて可哀想なパパだ。
『パパ、聖なる夜は南の領地に遊びに行こうよ。前にママがブランコ欲しいって言ってたし、南の領地の屋敷の海が見える庭におっきなブランコ作ってママにプレゼントしたらどうかな? ママきっと喜ぶよ』
『それだ! リュカありがとう! 今から急ピッチでブランコ作るよ。庭に大きなもみの木を植えて聖なる飾りもつけよう。南の領地なら夜も暖かいし、庭でみんなでパーティーもいいな』
パパは花がほころぶような笑顔になり、移動魔法で消えてしまった。
きっとパパはママを抱っこしてブランコに乗ろうと思っているんだろうなぁ。
本当にママが好きすぎる。ボクは大人になってもパパみたいにはならないでおこう。好きな人にうざがられるのは嫌だもんね。
「ねぇ、リュカ、リカルド様が急に今年の聖なる夜は南の領地に行こうって言うの。アーサー様に妊婦でも身体に負担のかからない移動魔法馬車を作ってもらったから大丈夫って言うんだけど、なんで南の領地なのかしらね? まぁ、暖かいところのほうが良いと言えば良いけど、私はキンと冷えたフェノバール領の冬も好きなのよね」
ボクはにこにこしておく。
ママとは念話で話せないけどママが話していることは全て理解できる。それはボクだけじゃなく、お腹の中にいる弟も同じ。ボクは弟に念話で話しかける。
『ママの身体がが移動魔法でつらくならないようにフォローしてね』
『任せて』
弟は聖魔法の使い手で身体や心を癒すことができる。ボクがお腹にいた時は魔力が多くてママは大変だったけど、今は弟がお腹の中から魔法でコントロールしているのでママは元気に妊婦ライフを過ごしている。ママが機嫌がいいとパパは幸せなので、屋敷中いや、領地中が幸せな気分になるのだ。
ボク達だけで行くはずだった南の領地には、噂を聞きつけた、パパのじぃじとばぁば、ママのじぃじとばぁば。ロバート叔父さんとアンソニー叔父さんもやってきた。そして、何があってはいけないとメグ先生まで行くことになった。
みんなそれぞれ各地から移動魔法で南の領地に飛ぶ。パパとアーサーは飾り付けのためにしょっちゅう行っていたがどんな出来になっているんだろう。
『パパ、ブランコと聖なる夜の飾りはばっちり?』
『あぁ、バッチリだ。きっとミディアも喜んでくれると思うよ。リュカのプレゼントも用意したから楽しみにしておいてくれよな』
パパはうれしそうだ。きっとママを抱っこしてブランコに乗る自分を想像しているのだろう。
夕方になり、ひと足先に屋敷のみんなが移動魔法で南の領地に移動した。ボクとパパとママ、メアリーとマイク、アーサーは夜になってからの移動だ。屋敷に着くとパパばぁばとママじぃじ、ママばぁば、アンソニー叔父さんはもう到着していて、僕らを迎えに出てきてくれた。
パパじぃじは来ないのかな? 一応王様だから忙しいのかもしれない。
『みんな今年も色々ありがとう。来年もよろしく頼む。今日はガーデンパーティーにしたんだ。海を見ながら聖なる夜を楽しんでもらえるとうれしい』
パパが挨拶をし、庭に続くドアが全開になった。
「ミディア、君への聖なる夜のプレゼントはあのブランコだよ」
「え~!! 嬉しい!! 海を見ながらブランコに乗れるなんて夢みたい! それに形も可愛い。リカルド様ありがとうございます!」
ママは大喜びで走ってブランコに飛び乗った。
それと同時に庭のもみの木や周りの植物にイルミネーションがキラキラと輝きだす。
みんなもこんな素敵な聖夜は初めてと喜んでくれている。
ただパパだけがママと一緒にブランコに乗るつもりだったのにひとりで乗られちゃったのでしょんぼりしているみたいだ。
「リカルド様! 一緒に乗りませんか? ブランコ楽しいですよ~」
あぁ、ママ最高! 空気を読んでくれてありがとう。
「メリークリスマス!!」
パパじぃじが赤と白の服を着て白い大きな袋を担いで現れた。
「あら、いないと思ったらサンタクロースのコスプレ?」
「父上、我が国にはサンタクロースはおりませんよ」
パパばぁばとアンソニー叔父さんは呆れ気味だ。
「リュカが喜んでくれるかなと思ったのだが……」
仕方がないからキャッキャと喜んでみた。
「ほら、やっぱり喜んでいるではないか」
「はいはい。リュカ、気を使わせてごめんなさいね」
パパばぁばが苦笑いをしている。パパじぃじサンタクロースの袋には王都で人気のお菓子が沢山入っていて、それをみんなに配ったのでどうやらパパじぃじは我が国のサンタクロース第1号と認知されたようだ。
ママは念願のブランコがもらえ、パパはママを抱っこして一緒にブランコに乗れて、ふたりとも幸せな聖なる夜になったみたいだ。
ボクはパパじぃじサンタクロースやパパばぁば、ママじぃじ、ママばぁば、叔父さん達やみんなからいっぱいプレゼントをもらった。
パパからのプレゼントは何だったかって?
パパからのプレゼントは魔道具の木馬だったよ。跨ると舞い上がりボクの思考に反応して行きたいところへ行ける魔法がかかっている木馬はとても便利そうでボクも嬉しかった。
初めての聖なる夜はみんな幸せな時間を過ごした。来年は弟も生まれてくる。また賑やかになるだろうなぁ。
「リュカ、料理長がリュカのためにスペシャルケーキを作ってくれたわよ。一緒に食べましょう」
ママが呼びにきてくれた。じゃあケーキ食べてくるね。
みんなも素敵な聖なる夜を過ごしてね。バイバイ。
Merry Xmas
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