魅了が解けた元王太子と結婚させられてしまいました。 なんで私なの!? 勘弁してほしいわ!

金峯蓮華

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番外編

結婚式

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 独身最後の夜、ヴィーナはロラメット侯爵邸で過ごす事になった。

 最近リカルド様化しつつあるリュカはヴィーナがいなくて淋しそうだ。

 まぁ、明日の夜から南の領地に3ヶ月ふたりでいるらしいから、今日くらい離れ離れでもいいだろう。

 それにしてもハネムーンが3ヶ月って我が息子ながら怖いわ。
 ヴィーナはまだ若いし体力もあるから大丈夫ね。でも、ジェット特製回復ポーションを沢山持たさないとダメかしらね。

 「いよいよ結婚するのね。今度は幸せにならなきゃね」

 私はリュカの肩をポンと叩いた。

「そうだな。前の分も幸せにする。今世でもヴィーナは8歳まで辛い思いもしたからな。もう不幸にはさせない」

 リュカはいい顔になったなぁ。

 

 結婚式の朝は雲ひとつなく晴れ渡っていた。

 フェノバール領にあるチャペルは中に入りきれなかった領民が外まで溢れている。
みんなヴィーナの花嫁姿をたのしみにしてくれているようだ。
 ヴィーナは子供の頃からリカルド様や私と一緒に領地の人達に混じって作業をしていた。可愛くて聡明なヴィーナは領地の人達にも可愛がられている。



 アンソニーにエスコートされたヴィーナがチャペルに入ってきた。

 なぜかアンソニーはすでに号泣。
隣を歩くソフィアは困った顔をしている。

 アンソニーがヴィーナをリュカに託す。

「幸せにしてくれよ」

「承知」

 アンソニーはリュカの肩をポンと叩き参列席に座った。

 ジェットとデーアの神様コンビが祝福の魔法を掛け、光や虹や花びらががふたりに降り注ぐチャペルは異世界のようで、皆この時を楽しんでいる。

 ふたりは司祭(ジェットだけどね)の誓いの言葉の問いに力強く「誓います」と返事をする

 誓いのキスの時に白い蝶々が舞う姿が幻想的だった。

 参列者はみんなあまりの美しさに目を見開いた。

 私の隣に座っているリリは「これパックにしたらかなりお金取れるなぁ」と夢のないことを呟いていた。

 そして反対側の隣に座るリカルド様は「もう一度結婚式したいな」と呟いつていたが聞こえないふりをした、

「ママ、私とアスの結婚式もこんなのがいいわ。ドレスはもうちょっと違うのがいいけど」

 もう結婚式? フィオナはまだ10歳じゃない。しかも相手はアスと決まっているのか?

 エスタゾラム王国に留学しているフィオナとアスも結婚式のためにクリストファー様夫妻と一緒に戻ってきていた。

「ママ、姉上と私を引き取ってくれてありがとう。ママと出会ってから私達姉弟は幸せしかありません。こんな素晴らしい結婚式をしてもらって天国の父母やマーサも喜んでいると思います。姉はずっと辛い思いをして生きてきました。その分沢山幸せになると思います。これからも姉をよろしくお願いします」

 アスは涙止めようと、鼻水を啜りながら話す。

 私はアスを抱きしめた。

「ヴィーナだけじゃないわ。アスも幸せになるのよ。私は天国のお父様とお母様、そしてマーサさんに誓うわ。必ずヴィーナとアスを幸せにすると」

 もう一度アスをぎゅっと抱きしめると、後ろからフィオナとリカルド様に引っ張られた。

 一瞬何事かと思ったがシャルとリリが呆れた顔で見ている。

「このやきもち焼き親 父娘め」

 リリがくくくと笑う。

「全く父上の遺伝は嫌ね~、私は遺伝しなくてよかったわ」

 リーゼは苦々しい顔をしながら言う横でエリアスが首を横に振っている。どうやらリーゼにも遺伝しているらしい。

 フィオナが結婚するのはまだ5~6年先だろう。
 その頃、フェノバールはどんな感じに変わっているのだろう?
 そしてノルスバン王国はどんな国ね変わっているのだろう。


「ミディア、パーティー会場に行くよ」

 リカルド様に手を取られた。


 さぁ、披露パーティーだな。

 フェノバール領の皆さんに幸せをお裾分けしなきゃね。

 私はガーデンパーティーの会場に向かった。


*神様がヴィーナの幼少期をドラマチックにしてしまったお詫びに、特別に結婚式を天国にいるヴィーナとアスの両親と乳母のマーサに見せることをした。
3人とも号泣だ。

「ヴィーナは辛い思いをした分幸せになってほしいな」

「そうですね。私達がしてあげられなかったことをフェノバール公爵夫妻がしてくれて感謝しかないですわ」
マーサ
「良かったです。本当に良かったです。お嬢様も坊ちゃまも本当に良かったです」

ジェット
「神様、胸が痛くなりませんか?」

デーア
「ほんとほんと。ドラマチックなんていらないと思うわ」

神様
「もう、わかったよ。反省してますよ。国王達は地獄に落としておいたからな」

ジェット・デーア
「「当たり前です!」」

 ふたりから責められトホホ状態の神様なのでした。
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