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番外編
ウエディングドレス2(ヴィーナ視点)
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昼下がりに私は、ママと2人で結婚式の招待状を書いていた。
ママはいつも、パーティーの招待状は自分で書いている。
招待した人の顔を思い浮かべながら書くのが楽しいと言う。
私も見習って自分で書くようにしている。
「ママのドレスはとても素敵だったなぁ」
私がぽつりと呟いた。
「ありがとう。でもね。あの時はフェノバール公爵家に就職をするくらいの気持ちだったの。公爵夫人という仕事をするためにね。だから結婚式もドキドキワクワクって感じじゃなかったから、ドレスのこともあんまり覚えてないのよ。リカルド様には内緒よ」
ママは人差し指をたて唇に当てる。
ママは大人なのに私から見ても可愛い。おばあさんになるまで生きていて転生したリリなんかはママが可愛くて仕方ないらしい。
「ねぇ、ママ、あのドレスを着ちゃダメかな?」
私は思い切って言ってみた。
「そうね。リュカの髪色も瞳の色もリカルド様と同じだからそのまま着られるわね。でも、ソフィアがあなたが娘になった時からずっと刺繍をしてくれてる布はどうするの?」
「ママのドレスはレースの生地に薔薇な刺繍をしていたでしょう? あの薔薇の代わりにソフィアお母様の刺繍はどうかしら?」
ソフィアお母様は繊細な生地の上に刺繍してくれている、合わせたらきっと素敵だと思う。
「なるほどいいかもね。私に異存はないけど、リュカやリカルド様にも聞いてみましょう」
良かった。でも私のために色々考えてくれている皆さんに申し訳ない気もする。
「でも一生懸命にドレスを考えてくれている皆さんに悪いかな?」
「じゃあ、そちらはパーティーの時に着るのはどうかしら? 以前リリがリリ達の前世を生きたの国の結婚式はお色直しというのがあって、結構式と披露宴でドレスを変えると言っていたわ。披露宴の途中でも変える人も沢山いるって。せっかくだし、ヴィーナも色々着替えればいいんじゃない? そしてそれを流行にしましょうよ」
さすがママ。最初は白で式を挙げて、披露宴では好きな人の色を纏うのって素敵かもしれない。
「流行ったらみんなドレスいっぱい作ってくれるなぁ。またフェノバール領が潤っちゃうわ」
ママはくすくす笑っている。
前世での結婚式はあんまり覚えていない。国が大変な状況だった。ルカ様は兄弟達に命を狙われていたし、毎日気が抜けなかった。
前世の私が亡くなってからルカ様は小さなジュリアンを抱えて大変だったのだろうな。
でも本当にこの世界に転生してきて本当に良かった。幸せすぎてバチが当たらないか怖い。
前の人生でできなかったことを今の人生でやりたいな。
王妃の仕事はもういい。リュカ様ももう国王にはならないと言っている。
私はリュカ様とジュリアンと一緒にいたい。
ジュリアンも転生してくれるといいな。
私のこと覚えてなくてもいいからまた私の子供に生まれてきてほしい。
夜になって、みんな戻ってきたのでリカルドお父様とリュカ様にドレスの話をした。
「ヴィーナとミディアがいいなら私は異存はないよ。リュカはどうだ?」
「俺もヴィーナとママがいいならそれでいいよ。ただオバハン達が残念がるかな。式にママのドレスを着て、披露パーティーでオハバン達のドレスにすればいいんじゃないか?」
「式と披露パーティーでドレスを着替えるのもいいね。今回は披露の夜会を開催しないから、余計にいいんじゃないか?」
ふたりはそれでいいみたいだ。
「ありがとうございます。フィオナはいいかな? ママのドレス着たくないかしら?」
私だけがママのドレスを独り占めしちゃっていいのかちょっと不安になった。
「フィオナは背が高いからサイズが合わないわ。手直ししても無理があるもの」
「そうだな。それにあのドレスはフィオナの好みじゃないだろう。こだわりが強いからな」
リカルド義父様はふっと笑う。
確かにそうだな。では私が着させてもらおう。
ママのウエディングドレスで結婚式ができるなんて幸せになる以外考えられない。
私、今世は絶対幸せになるわ。
ママはいつも、パーティーの招待状は自分で書いている。
招待した人の顔を思い浮かべながら書くのが楽しいと言う。
私も見習って自分で書くようにしている。
「ママのドレスはとても素敵だったなぁ」
私がぽつりと呟いた。
「ありがとう。でもね。あの時はフェノバール公爵家に就職をするくらいの気持ちだったの。公爵夫人という仕事をするためにね。だから結婚式もドキドキワクワクって感じじゃなかったから、ドレスのこともあんまり覚えてないのよ。リカルド様には内緒よ」
ママは人差し指をたて唇に当てる。
ママは大人なのに私から見ても可愛い。おばあさんになるまで生きていて転生したリリなんかはママが可愛くて仕方ないらしい。
「ねぇ、ママ、あのドレスを着ちゃダメかな?」
私は思い切って言ってみた。
「そうね。リュカの髪色も瞳の色もリカルド様と同じだからそのまま着られるわね。でも、ソフィアがあなたが娘になった時からずっと刺繍をしてくれてる布はどうするの?」
「ママのドレスはレースの生地に薔薇な刺繍をしていたでしょう? あの薔薇の代わりにソフィアお母様の刺繍はどうかしら?」
ソフィアお母様は繊細な生地の上に刺繍してくれている、合わせたらきっと素敵だと思う。
「なるほどいいかもね。私に異存はないけど、リュカやリカルド様にも聞いてみましょう」
良かった。でも私のために色々考えてくれている皆さんに申し訳ない気もする。
「でも一生懸命にドレスを考えてくれている皆さんに悪いかな?」
「じゃあ、そちらはパーティーの時に着るのはどうかしら? 以前リリがリリ達の前世を生きたの国の結婚式はお色直しというのがあって、結構式と披露宴でドレスを変えると言っていたわ。披露宴の途中でも変える人も沢山いるって。せっかくだし、ヴィーナも色々着替えればいいんじゃない? そしてそれを流行にしましょうよ」
さすがママ。最初は白で式を挙げて、披露宴では好きな人の色を纏うのって素敵かもしれない。
「流行ったらみんなドレスいっぱい作ってくれるなぁ。またフェノバール領が潤っちゃうわ」
ママはくすくす笑っている。
前世での結婚式はあんまり覚えていない。国が大変な状況だった。ルカ様は兄弟達に命を狙われていたし、毎日気が抜けなかった。
前世の私が亡くなってからルカ様は小さなジュリアンを抱えて大変だったのだろうな。
でも本当にこの世界に転生してきて本当に良かった。幸せすぎてバチが当たらないか怖い。
前の人生でできなかったことを今の人生でやりたいな。
王妃の仕事はもういい。リュカ様ももう国王にはならないと言っている。
私はリュカ様とジュリアンと一緒にいたい。
ジュリアンも転生してくれるといいな。
私のこと覚えてなくてもいいからまた私の子供に生まれてきてほしい。
夜になって、みんな戻ってきたのでリカルドお父様とリュカ様にドレスの話をした。
「ヴィーナとミディアがいいなら私は異存はないよ。リュカはどうだ?」
「俺もヴィーナとママがいいならそれでいいよ。ただオバハン達が残念がるかな。式にママのドレスを着て、披露パーティーでオハバン達のドレスにすればいいんじゃないか?」
「式と披露パーティーでドレスを着替えるのもいいね。今回は披露の夜会を開催しないから、余計にいいんじゃないか?」
ふたりはそれでいいみたいだ。
「ありがとうございます。フィオナはいいかな? ママのドレス着たくないかしら?」
私だけがママのドレスを独り占めしちゃっていいのかちょっと不安になった。
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「そうだな。それにあのドレスはフィオナの好みじゃないだろう。こだわりが強いからな」
リカルド義父様はふっと笑う。
確かにそうだな。では私が着させてもらおう。
ママのウエディングドレスで結婚式ができるなんて幸せになる以外考えられない。
私、今世は絶対幸せになるわ。
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