上 下
98 / 160
番外編

家族会議

しおりを挟む
「ミディアはどう思う?」

 リカルド様は私の手を握ったまま顔を覗き込んだ。

「ふたりは離れ離れでいいのでしょうか?」

「そうだな。オクタヴィア殿の妹君の愛はそんなものなのか?」

 は? なんだか私と視点が違う気がする。

 リカルド様は言葉を続けた。

「私なら軟禁するくらい愛しく思っている相手と離れるつもりなどない。たとえ相手が病であろうがそれは変わらない。ウィリアムが拒否しているのだろうか?」

 腕組みをして首を捻っている。

「ウィリアム殿下はどんな状態なのでしょう?」

「そうだな。しかし、ドラール家で訓練したものは薬の類は効かないはずだが。あのウィリアムのことだ。薬漬けのふりをして気楽に生きているのかもしれんな」

 まさか。いくらウィリアム殿下でもそんなことはないだろう。



 コンコン

 扉を叩く音がした。

 メアリーが開くと王妃様と国王陛下とオーウェン様が立っていた。

「遅くなってごめんなさい」

 王妃様は私達に声をかける。

「元女王と話をしてきたわ。あちらはウィリアムのことは申し訳ないと思うけど、諜報活動をしていたわけだし、捕まったら死んでもおかしくないはず。今回のことは不問にしてくれないかと言ってきたわ」

 王妃様は感情のない声で私達にそう告げる。
「 
「それで母上は?」

 リカルド様が王妃様の方に身を乗り出した。

「とりあえずウィリアムと話がしたいと言ったの。そしてウィリアムを軟禁して薬漬けにしたという第4王女とも会わせてもらおうかって。ふたりの話を聞かないとね」
確かにその通りだ。

 リカルド様はオーウェン様の方を向いた。

「ウィリアムは薬や毒の類は効かないはずじゃないのか?」

「そうだな。効かないはずなんだが、あいつの事だ。効いたふりをしているだけじゃないのかと思う」

 やはりオーウェン様の見解もリカルド様と同じか。

「ジェットを呼びましょう。もしく本当に薬漬けでも、ジェットなら治せるわ」

 王妃様はジェットに浄化させる気だな。

 そもそもドラール家行きを勧めたのは私だし、私も何もしないわけにはいかない。しかし、何をすればいいのか?

「とりあえず明日、移動魔法でジェニナック王国のスボレキサント公爵家に行く事になったの。私とオーウェンとリカルドとジェットで行こうと思っていたのだけれど、ミディアはどうする?」

 王妃様が私の肩に手を置いた。

「ミディアは今回は留守番だ」

 リカルド様が言い切った。

 でも、なんだか気になる。

「リカルド様、私も行きます。ウィリアム殿下をドラール家にお願いしたのは私です」

 リカルド様は何か考えているようだ。

「わかった。でも絶対私から離れないようにね」

 久しぶりに会うウィリアム殿下はどうなっているのだろう?



しおりを挟む
感想 531

あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました

Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、 あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。 ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。 けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。 『我慢するしかない』 『彼女といると疲れる』 私はルパート様に嫌われていたの? 本当は厭わしく思っていたの? だから私は決めました。 あなたを忘れようと… ※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。

探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?

雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。 最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。 ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。 もう限界です。 探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。

【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。

金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。 前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう? 私の願い通り滅びたのだろうか? 前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。 緩い世界観の緩いお話しです。 ご都合主義です。 *タイトル変更しました。すみません。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。