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【最終話】私は世界でいちばん幸せな女 (2/24修正済)
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マティとヴィーナがうちに来てから8年が過ぎた。
フェノバールで10年前にはじめた社会保障制度がうまくいって、領民の生活も安定している。アーサー様とルイス親子とシャルが作る便利な魔道具のお陰で皆、楽になり、余暇を楽しむ余裕も出てきた。
魔法医療の医者や看護師も増え、学校も開校した。他の領地から学びにくる人も増えた。
ナニーやガヴァネス、チューターの専門家を育てる学校も開講した。
そして身体を整えるための運動や栄養の専門家を育てる学校も作った。
学費を払うのが苦しい人は社会保障制度で集めたお金や貴族方が奨学生制度に出資してくれたお金を借りて通うこともできる。
平民も貴族も関係なく学べる場所、働く場所も出来てきた。
今はそれを国規模でやりはじめているが、しかし、領地によって色々だ。フェノバール領のようにやりたいところもあるが、そうでないところもある。ノルスバン王国はそんなに大きな国ではないが、各領主の考えもまちまちでなかなか足並みは揃わない。
それをなんとか一枚岩にするためにおばあ様や王妃様、リカルド様、アンソニーが古い考えの貴族たちと話をしている。国王陛下も時々参加している。
新しい改革の中心は我が家の子供たちだ。神様直属なので容赦なく変えていく。
子供たちも色々変化があった。
リュカとヴィーナは去年結婚し、ふたりで一緒におばあ様の補佐をしている。補佐と言いつつ、本当はリュカが参謀なのだが。
リュカは国王にはならずフェノバール公爵を継ぐそうだ。理由は「王都や王宮みたいなややこしいところに大事なヴィーナを住ませるわけにはいかない」だそうだ。
リュカはさすがリカルド様の息子だけあって、愛が重い。ヴィーナに逃げられないかと心配だが、逃げても見つけて連れ戻されるだろう。
ワタシトオナジ。
子供は国が落ちついてからでいいそうだ。まだヴィーナは16歳だし慌てることはない。私も20歳からバンバン産んだものね。
ジェットは大司教に就任した。神様からのご神託を国の民に伝えている。そして魔法医療の学校で生徒に回復魔法を教えている。
その傍らおばあ様の手足になり、あちこち飛び回っている。
いつか従兄妹で聖女のデーアと結婚してくれたらいいなと思っているが、どちらも結婚には興味がないらしい。結婚しなくても最期の時まで一緒にいてくれる人がいるならまぁそれはそれでいいのかもしれないとも思う。
シャルは国の文官のトップになり、毎日書類と格闘している。
宰相のオーウェン様との論戦は王宮名物らしい。もちろん魔道具製作は続けていて、王都にも魔道具製作の技術者を育てる学校をアーサー様や息子のルイスとともに作った。
シャルを引っ張ってくれるしっかり者のリリともうすぐ結婚する。きっとふたりは最強の夫婦となるだろう。リリはフェノバール商会の次期会頭(多分)としてバリバリ働いてくれている。2人がいればフェノバール領もこの国もまだまだ発展できると思う。
リーゼはエリアス君と結婚した。この国の表と裏の両方の攻撃と守りを一手に引き受けている。
騎士や軍人、影、諜報部員を作り上げている。
もちろん先頭に立ち戦いにも行く。聖剣・国の鋼である。
4人とおばあ様たちがこの国を改革してきた。もう、貴族が、平民が、という垣根が取れる日もすぐそこまできている。
そうそう、フィオナはマティと一緒にクリストファー様が王配をしているエスタゾラム王国に留学している。
あの国は代々女子の長子が王になる国で我が国の友好国だ。
マティはリーゼの弟子なのでかなり強いし、しっかりしている。
フィオナは勉強が好きなのであの国であのふたりは色々吸収しているだろう。
私は相変わらず同じような毎日を過ごしている。
このフェノバール領にきてから30年になる。
まさかこんな人生になるなんてあの時は全く想像してなかった。
貴族の令嬢は結婚したら家の中に閉じ込められ何もできなくなると思い込んでいた。たから結婚なんてしたくなかった。
今は結婚してよかったと思っている。やりたいことはみんなやらせてもらった。結婚した相手がよかったのだろう。
リカルド様でよかった。
本当にそう思う。
きっと私は世界でいちばん幸せな女だと思う。
リカルド様と子供たちには感謝しかない。
こんな私なのに愛してくれてありがとう。
私もみんなをずっと愛しているからね。
+*+*+*+*+*+*+*+*
この5年後、国王陛下が引退した。
次の国王になったのはフィオナだった。
フィオナは物心ついた頃から「じょうおうしゃまになりゅの」と言っていたので、有限実行だった。
もちろんマティは王配として、フィオナとこの国を支えた。
そしてそのまた5年後、この国は王家は残しつつ、議会で政治を行うようになった。
貴族、平民関係なく、選挙で民が選んだ者たちが政治を行う。
皆から選ばれ初代プレジデントになったのはリュカだった。
その姿を見て、役目を終えた王太后は静かに息を引き取った。
ノルスバン王国はノルスバン国になった。
初代プレジデントとなったリュカは仲間と共にノルスバン国を発展させた。
ミディアローズは70歳で最愛の夫リカルドや子供たち、孫たち、ひ孫たちに見守られながらこの世を去った。
リカルドはミディアローズを看取り、後のことを全て片付けてから後を追うように亡くなった。
リュカに「墓はミディアと一緒にしてくれ、来世でも必ずミディアと結婚して、またお前たちの父親と母親になるからな。今度はもっとのんびりした生活がしたいな。もう、国を改革するような生活は懲り懲りだ」と言い残したそうだ。
ミディアローズとリカルドの事はそのあと小説となり、魅了の魔法で人生を狂わされた王子を立ち直らせ、どん底から再び日の当たる世界に引っ張り上げた妻の愛の物語として国民に親しまれている。
フェノバール領にあるふたりの墓には、縁結びや家族円満、仕事の成功などにご利益があると言いつたえられ、お参りする人たちが後を絶たない。
ミディアローズとリカルドはきっと今頃、転生して、また巡り合い愛し合っていることだろう。
またミディアローズは愛が重いリカルドに迫られ「なんで私なの?勘弁してほしいわ」と言っているのかもしれない。
了
*これでミディアローズとリカルドのお話は終了です。
短編のラブコメのつもりで書き始めたお話が最後にはえらい大きな話になってしまいました。
書ききれなかったこともたくさんあるので、子供たちの恋バナはまた別の機会に書けるといいなと思っております。
こんなに長いお話を書いたのは初めてですが、最後まで頑張れたのは応援して下さった皆様のおかげです。沢山を感想をいただけたのも励みになりました。
皆様のおかげで途中HOT女性向けで1位、人気で2位になることができ、いったい何が起こったのだろうと狼狽えましたが、本当に嬉しかったです。
これからも緩く楽しいお話を書いていきたいと思っております。
また読んでいただけるとうれしいです。
本当に楽しい2ヶ月間でした。
皆様、拙い私のお話を読んでいただきましてありがとうございました。感謝してます。
金峯蓮華
フェノバールで10年前にはじめた社会保障制度がうまくいって、領民の生活も安定している。アーサー様とルイス親子とシャルが作る便利な魔道具のお陰で皆、楽になり、余暇を楽しむ余裕も出てきた。
魔法医療の医者や看護師も増え、学校も開校した。他の領地から学びにくる人も増えた。
ナニーやガヴァネス、チューターの専門家を育てる学校も開講した。
そして身体を整えるための運動や栄養の専門家を育てる学校も作った。
学費を払うのが苦しい人は社会保障制度で集めたお金や貴族方が奨学生制度に出資してくれたお金を借りて通うこともできる。
平民も貴族も関係なく学べる場所、働く場所も出来てきた。
今はそれを国規模でやりはじめているが、しかし、領地によって色々だ。フェノバール領のようにやりたいところもあるが、そうでないところもある。ノルスバン王国はそんなに大きな国ではないが、各領主の考えもまちまちでなかなか足並みは揃わない。
それをなんとか一枚岩にするためにおばあ様や王妃様、リカルド様、アンソニーが古い考えの貴族たちと話をしている。国王陛下も時々参加している。
新しい改革の中心は我が家の子供たちだ。神様直属なので容赦なく変えていく。
子供たちも色々変化があった。
リュカとヴィーナは去年結婚し、ふたりで一緒におばあ様の補佐をしている。補佐と言いつつ、本当はリュカが参謀なのだが。
リュカは国王にはならずフェノバール公爵を継ぐそうだ。理由は「王都や王宮みたいなややこしいところに大事なヴィーナを住ませるわけにはいかない」だそうだ。
リュカはさすがリカルド様の息子だけあって、愛が重い。ヴィーナに逃げられないかと心配だが、逃げても見つけて連れ戻されるだろう。
ワタシトオナジ。
子供は国が落ちついてからでいいそうだ。まだヴィーナは16歳だし慌てることはない。私も20歳からバンバン産んだものね。
ジェットは大司教に就任した。神様からのご神託を国の民に伝えている。そして魔法医療の学校で生徒に回復魔法を教えている。
その傍らおばあ様の手足になり、あちこち飛び回っている。
いつか従兄妹で聖女のデーアと結婚してくれたらいいなと思っているが、どちらも結婚には興味がないらしい。結婚しなくても最期の時まで一緒にいてくれる人がいるならまぁそれはそれでいいのかもしれないとも思う。
シャルは国の文官のトップになり、毎日書類と格闘している。
宰相のオーウェン様との論戦は王宮名物らしい。もちろん魔道具製作は続けていて、王都にも魔道具製作の技術者を育てる学校をアーサー様や息子のルイスとともに作った。
シャルを引っ張ってくれるしっかり者のリリともうすぐ結婚する。きっとふたりは最強の夫婦となるだろう。リリはフェノバール商会の次期会頭(多分)としてバリバリ働いてくれている。2人がいればフェノバール領もこの国もまだまだ発展できると思う。
リーゼはエリアス君と結婚した。この国の表と裏の両方の攻撃と守りを一手に引き受けている。
騎士や軍人、影、諜報部員を作り上げている。
もちろん先頭に立ち戦いにも行く。聖剣・国の鋼である。
4人とおばあ様たちがこの国を改革してきた。もう、貴族が、平民が、という垣根が取れる日もすぐそこまできている。
そうそう、フィオナはマティと一緒にクリストファー様が王配をしているエスタゾラム王国に留学している。
あの国は代々女子の長子が王になる国で我が国の友好国だ。
マティはリーゼの弟子なのでかなり強いし、しっかりしている。
フィオナは勉強が好きなのであの国であのふたりは色々吸収しているだろう。
私は相変わらず同じような毎日を過ごしている。
このフェノバール領にきてから30年になる。
まさかこんな人生になるなんてあの時は全く想像してなかった。
貴族の令嬢は結婚したら家の中に閉じ込められ何もできなくなると思い込んでいた。たから結婚なんてしたくなかった。
今は結婚してよかったと思っている。やりたいことはみんなやらせてもらった。結婚した相手がよかったのだろう。
リカルド様でよかった。
本当にそう思う。
きっと私は世界でいちばん幸せな女だと思う。
リカルド様と子供たちには感謝しかない。
こんな私なのに愛してくれてありがとう。
私もみんなをずっと愛しているからね。
+*+*+*+*+*+*+*+*
この5年後、国王陛下が引退した。
次の国王になったのはフィオナだった。
フィオナは物心ついた頃から「じょうおうしゃまになりゅの」と言っていたので、有限実行だった。
もちろんマティは王配として、フィオナとこの国を支えた。
そしてそのまた5年後、この国は王家は残しつつ、議会で政治を行うようになった。
貴族、平民関係なく、選挙で民が選んだ者たちが政治を行う。
皆から選ばれ初代プレジデントになったのはリュカだった。
その姿を見て、役目を終えた王太后は静かに息を引き取った。
ノルスバン王国はノルスバン国になった。
初代プレジデントとなったリュカは仲間と共にノルスバン国を発展させた。
ミディアローズは70歳で最愛の夫リカルドや子供たち、孫たち、ひ孫たちに見守られながらこの世を去った。
リカルドはミディアローズを看取り、後のことを全て片付けてから後を追うように亡くなった。
リュカに「墓はミディアと一緒にしてくれ、来世でも必ずミディアと結婚して、またお前たちの父親と母親になるからな。今度はもっとのんびりした生活がしたいな。もう、国を改革するような生活は懲り懲りだ」と言い残したそうだ。
ミディアローズとリカルドの事はそのあと小説となり、魅了の魔法で人生を狂わされた王子を立ち直らせ、どん底から再び日の当たる世界に引っ張り上げた妻の愛の物語として国民に親しまれている。
フェノバール領にあるふたりの墓には、縁結びや家族円満、仕事の成功などにご利益があると言いつたえられ、お参りする人たちが後を絶たない。
ミディアローズとリカルドはきっと今頃、転生して、また巡り合い愛し合っていることだろう。
またミディアローズは愛が重いリカルドに迫られ「なんで私なの?勘弁してほしいわ」と言っているのかもしれない。
了
*これでミディアローズとリカルドのお話は終了です。
短編のラブコメのつもりで書き始めたお話が最後にはえらい大きな話になってしまいました。
書ききれなかったこともたくさんあるので、子供たちの恋バナはまた別の機会に書けるといいなと思っております。
こんなに長いお話を書いたのは初めてですが、最後まで頑張れたのは応援して下さった皆様のおかげです。沢山を感想をいただけたのも励みになりました。
皆様のおかげで途中HOT女性向けで1位、人気で2位になることができ、いったい何が起こったのだろうと狼狽えましたが、本当に嬉しかったです。
これからも緩く楽しいお話を書いていきたいと思っております。
また読んでいただけるとうれしいです。
本当に楽しい2ヶ月間でした。
皆様、拙い私のお話を読んでいただきましてありがとうございました。感謝してます。
金峯蓮華
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