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たぬきさんやきつねさんたち
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王妃様のお茶会は王宮の中庭で開催された。
私もリーゼとフィオナを連れて参加している。
久しぶりに魑魅魍魎の中に来たようだ。やはり貴族が集まるお茶会や夜会は隙を見せられない。
私は公爵夫人でしかも夫は成り行きで国王代理のような仕事をしているし、息子のリュカは次期国王だと噂されているので、擦り寄ってくるたぬきさんやきつねさんが沢山いる。
今日、なぜ私たちがこのお茶会に呼ばれたかというと、リーゼにたぬきさんやきつねさんを見せるためらしい。
リーゼは時々王宮に来ているが、大抵アンソニー様の近衛騎士団と一緒にいるので、悪意のある人たちと一緒になることはないし、住んでいるフェノバール領は平和だ。12歳になったし、そろそろ貴族のいやらしい裏表の部分を見せて、嫌悪することを覚えさせるそうだ。
リーゼだけではやらかしそうなので、リーゼが怒ったらフィオナで癒そうとフィオナも連れてきた。
しかし、リーゼどころか私が怒りそうだ。
昔、私に「ランドセン家の跳ねっ返り、もう終わった元王太子くらいしかもらい手がなかったのね」と言っていた奴らもいる。
「淑女学校の時は仲良くさせてもらっていましたわね」なんて言いながら擦り寄ってきやがっていつの話だ! 仲良くなんてした覚えはない。気持ち悪い香水の匂いをふりまきやがってイライラしてきたなぁ~。
「ママ、笑顔が怖いよ。フィオナをじぃじとこから連れ戻そうか? でもフィオナじゃ無理そうだな。ジェット兄様呼ぼうか」
フィオナはさっきから国王陛下が抱っこされてにこにこしている。リーゼに言われてちょっと我にかえった。
「ごめんなさいね。相変わらず気持ち悪いなぁと思ったら、怖い笑顔になっちゃったわね。気を取り直して何か甘いものでも食べましょう」
リーゼにそう言ってスイーツを取りに行った。
「ミディアローズ様、お久しぶりですわね」
やった~! 味方が来た。
「アンジェリーナ様、ご無沙汰しております」
私たちは嘘くさいアルカイックスマイルで微笑みあう。
アンジェリーナ様はオーウェン様の奥様で現宰相夫人だ。そしてあのドラール家の女主人。
王家の影や諜報機関を牛耳る人なのだ。
忙しいオーウェン様に代わってドラール家を取り仕切っている。
今日は私たちを守るために王妃様に呼ばれていた。
アンジェリーナ様と知り合ったのは、フェノバール商会を立ち上げた頃でオーウェン様の奥様と紹介された。
まだその頃の私はドラール公爵家がそんな家門だと全く知らなかったから、オーウェン様はあの事件の罰で家を出され商会の仕事をしていたと信じていたので、結婚して幸せなんだと喜んでいた。
真実を知った時はやっぱり王家とか貴族って怖いなぁ~と思った。
アンジェリーナ様は私より、10歳年上だし、なんと言っても公爵家の嫁だ。それに幼い頃から影として鍛えられているので半端なく強い。その上美人で独特の華やかさと威圧感がある。私のひよこ時代、熟女軍団とともにいつも私を守ってくれた。今でも信頼しているお姉様なのだ。
「隣国から戻ってきたエリアスを連れてきたの。エリアスがぐずって遅くなってしまったわ」
アンジェリーナ様は精悍な少年の腕を掴んで私たちの前に押し出した。
「エリアス挨拶しなさい」
「エリアス・ドラールです」
なんとも愛想のない挨拶だ。
「エリアスはリーゼちゃんと同じ12歳だからお友達になれたら嬉しいわ。長いこと隣国にいたからまだこの国に詳しくないの。リーゼちゃん教えてくれるかしら」
リーゼを見ると嬉しそうにしている。
「はい。私でよければお友達になりましょう」
ドラール家が隣国に行っていたと言うのは影として諜報員として生きていくために修行していたという事だ。隣国に行くとは隠語みたいなもんた。
修行に耐え、認められれば戻ってきて、任務に就く。認められなければ消される。
エリアスは認められたのだな。ドラール家の嫡男になったわけか。で与えられた任務がリーゼ付きになることか。まだ小さいのに大変だなと私は思った。
「ママ、エリアスに薔薇を見せたいわ。行ってきてもいい?」
「もちろんよ。でも気をつけてね」
「は~い、エリアス様行きましょう」
リーゼはエリアスの手を引いて駆けていった。
「気に入ってくれたみたいね」
アンジェリーナ様は胡散臭く微笑む。
「リーゼが好きになっちゃうかも?」
「だったら、ドラールに嫁いでもらおうかしら。王妃様に反対されるかしらね」
扇で口元を隠してふふふと笑う。
確かにドラール家ならいいかも? でもあくまでふたりが愛し合っての結婚だったらの話。任務で結婚するならリーゼもエリアスも可哀想だ。
「これはエリアスの任務?」
誰にも聞こえないくらいの小さな声で聞いてみた
「フェノバール家のご令嬢やご子息に近づいてあわよくばを狙っているご婦人たちと一緒にしないでくださる~」
うわぁ~、アンジェリーナ様すげ~。周りのたぬきさんやきつねさんたちに聞こえるように言ってるよ。
「子供と仲良くさせてフェノバール家に取り入ろうと企てでいる人も多いみたいですわよ。ミディア様も気をつくて下さいましね」
これ絶対聞こえるように言ってるな。
「そうなの! 気がつかなかったですわ。気をつけなきゃねいけませんわね」
私も話を合わせて大袈裟に驚いたふりをしておいた。
私もリーゼとフィオナを連れて参加している。
久しぶりに魑魅魍魎の中に来たようだ。やはり貴族が集まるお茶会や夜会は隙を見せられない。
私は公爵夫人でしかも夫は成り行きで国王代理のような仕事をしているし、息子のリュカは次期国王だと噂されているので、擦り寄ってくるたぬきさんやきつねさんが沢山いる。
今日、なぜ私たちがこのお茶会に呼ばれたかというと、リーゼにたぬきさんやきつねさんを見せるためらしい。
リーゼは時々王宮に来ているが、大抵アンソニー様の近衛騎士団と一緒にいるので、悪意のある人たちと一緒になることはないし、住んでいるフェノバール領は平和だ。12歳になったし、そろそろ貴族のいやらしい裏表の部分を見せて、嫌悪することを覚えさせるそうだ。
リーゼだけではやらかしそうなので、リーゼが怒ったらフィオナで癒そうとフィオナも連れてきた。
しかし、リーゼどころか私が怒りそうだ。
昔、私に「ランドセン家の跳ねっ返り、もう終わった元王太子くらいしかもらい手がなかったのね」と言っていた奴らもいる。
「淑女学校の時は仲良くさせてもらっていましたわね」なんて言いながら擦り寄ってきやがっていつの話だ! 仲良くなんてした覚えはない。気持ち悪い香水の匂いをふりまきやがってイライラしてきたなぁ~。
「ママ、笑顔が怖いよ。フィオナをじぃじとこから連れ戻そうか? でもフィオナじゃ無理そうだな。ジェット兄様呼ぼうか」
フィオナはさっきから国王陛下が抱っこされてにこにこしている。リーゼに言われてちょっと我にかえった。
「ごめんなさいね。相変わらず気持ち悪いなぁと思ったら、怖い笑顔になっちゃったわね。気を取り直して何か甘いものでも食べましょう」
リーゼにそう言ってスイーツを取りに行った。
「ミディアローズ様、お久しぶりですわね」
やった~! 味方が来た。
「アンジェリーナ様、ご無沙汰しております」
私たちは嘘くさいアルカイックスマイルで微笑みあう。
アンジェリーナ様はオーウェン様の奥様で現宰相夫人だ。そしてあのドラール家の女主人。
王家の影や諜報機関を牛耳る人なのだ。
忙しいオーウェン様に代わってドラール家を取り仕切っている。
今日は私たちを守るために王妃様に呼ばれていた。
アンジェリーナ様と知り合ったのは、フェノバール商会を立ち上げた頃でオーウェン様の奥様と紹介された。
まだその頃の私はドラール公爵家がそんな家門だと全く知らなかったから、オーウェン様はあの事件の罰で家を出され商会の仕事をしていたと信じていたので、結婚して幸せなんだと喜んでいた。
真実を知った時はやっぱり王家とか貴族って怖いなぁ~と思った。
アンジェリーナ様は私より、10歳年上だし、なんと言っても公爵家の嫁だ。それに幼い頃から影として鍛えられているので半端なく強い。その上美人で独特の華やかさと威圧感がある。私のひよこ時代、熟女軍団とともにいつも私を守ってくれた。今でも信頼しているお姉様なのだ。
「隣国から戻ってきたエリアスを連れてきたの。エリアスがぐずって遅くなってしまったわ」
アンジェリーナ様は精悍な少年の腕を掴んで私たちの前に押し出した。
「エリアス挨拶しなさい」
「エリアス・ドラールです」
なんとも愛想のない挨拶だ。
「エリアスはリーゼちゃんと同じ12歳だからお友達になれたら嬉しいわ。長いこと隣国にいたからまだこの国に詳しくないの。リーゼちゃん教えてくれるかしら」
リーゼを見ると嬉しそうにしている。
「はい。私でよければお友達になりましょう」
ドラール家が隣国に行っていたと言うのは影として諜報員として生きていくために修行していたという事だ。隣国に行くとは隠語みたいなもんた。
修行に耐え、認められれば戻ってきて、任務に就く。認められなければ消される。
エリアスは認められたのだな。ドラール家の嫡男になったわけか。で与えられた任務がリーゼ付きになることか。まだ小さいのに大変だなと私は思った。
「ママ、エリアスに薔薇を見せたいわ。行ってきてもいい?」
「もちろんよ。でも気をつけてね」
「は~い、エリアス様行きましょう」
リーゼはエリアスの手を引いて駆けていった。
「気に入ってくれたみたいね」
アンジェリーナ様は胡散臭く微笑む。
「リーゼが好きになっちゃうかも?」
「だったら、ドラールに嫁いでもらおうかしら。王妃様に反対されるかしらね」
扇で口元を隠してふふふと笑う。
確かにドラール家ならいいかも? でもあくまでふたりが愛し合っての結婚だったらの話。任務で結婚するならリーゼもエリアスも可哀想だ。
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