65 / 160
連載
ゆっくりした後は
しおりを挟む
濃い夜を過ごした次の日、コケコッコを聞いてから眠りについた私は気がつくと再びリカルド様に組み敷かれていた。
リカルド様どれだけ体力あるんだ?
さすが聖剣の最後の弟子、『王家の鋼』と二つ名を持つだけある。
私は回復魔法がなければ、きっと再起不能になっていたことだろう。
リカルド様は私の髪を撫でて頬にキスを落とした。
「ミディアはゆっくり寝てればいいよ。鍛錬に行ってくるから。メイドには入らないように言っておくからね」
やっぱり体力ありすぎだわ。昨夜寝たのかしら?
まぁ、いいや。私はもう少し寝よう。リュカ、ジェット、体力のない母をし許せよ。
「ミディア、おはよう。そろそろ起きられる? ランチの用意ができてるよ」
へ? ランチ? あっ、そうだ。昨夜王宮に泊まったんだ。
「起きます!」
ヤベ、ガッツリ寝てしまったわ。
「支度はどうする? 私がしようか? それともハンナがエマに来てもらう?」
「ハンナかエマでお願いします」
「了解。呼んでくるね」
リカルド様はご機嫌な様子で扉を開ける部屋の外に出た。
危ない危ない。リカルド様に支度なんてお願いしたら、また組み敷かれるかもしれない。あの人は油断も隙もないんだから。
少ししてハンナが入ってきた。
「ミディア様、大丈夫ですか?」
「なんとか……」
「リカルド様にも困ったもんですね。もうお子様がふたりもいらっしゃるのに。私から少しお控えになるように申しておきますね」
ありがたいが恥ずかしい。
「今日はこちらのドレスにしましょう」
ハンナは襟の詰まった清楚な感じのドレス持ってきた。
あれほど言ったのに見えるところにつけたな。
私は半目になった。
支度が終わり迎えにきたリカルド様のエスコートでダイニングに行くとみんなが揃っていた。
もちろん生温かい目をしている。
「おばあ様、おはようございます。お待たせしてすみません」
「おはよう。身体は大丈夫? 辛くない?」
おばあ様、そんなこと聞かないで。恥ずかしいよ~。
「ごめんなさい。そんなこと聞いちゃダメよね。長年引きこもっていたからデリカシーが欠如しちゃってるみたいだわ」
おばあ様は扇で口元を隠し笑っている。
「大丈夫です。昨夜はリュカとジェットがお世話になりました。賢くしていましたか?」
「ええ、有意義な時間だった。やることも整理されたし。私はランチを食べたら西の辺境の地に行ってくるわ」
「西の辺境の地ですか?」
「ええ、ヘンドリックにちょっと話があるの」
おばあ様は精力的に動き出すんだな。
「リュカとジェットに用がある時はフェノバールに行くから、今まで通り、毎日楽しく過ごしてね」
「はい。ありがとうございます」
ランチが運ばれてきた。お~、さすが王宮。豪華だ。
お腹いっぱい食べた。リュカやジェットにも離乳食を用意してくれている。
至れり尽くせりだ。私はお腹いっぱいになるくらい食べた。
「ミディアは身体のために沢山食べなさい。そうね。栄養学を学んでいるものを遣わすわ。料理長と相談してメニューを決めるように伝え伝えておくわね」
おばあ様はまた昨日のようにウインクをした。
なんでそこまで私の身体を気にしてくれるのか?
あ~、リカルド様のせいか?
栄養学、興味あるな。私も教えてもらおう。
「まー」
ジェットが手を出す。抱っこしてほしいのかな?
私はおばあ様からジェットを受け取った。
なんだか温かくて気持ちいい。癒さられるなぁ~。
起きたばかりなのにまた眠くなってきたよ。
帰り際、国王陛下は「せっかく誕生日だったのに、リュカもジェットも母上に取られて、ちっとも遊べなかったなぁ。でも、母上が元気になっていてびっくりした。余程いい医者にめぐりあえたのだな」と言っていた。
陛下だけ蚊帳の外だった。昨日の夜会の主役だったのに。
「陛下は取り巻きさんたちと楽しくやっていたから気にしなくていいのよ」
王妃様が耳元で囁いた。
さぁ、フェノバールに帰ろう。それにしても不思議で濃い日だったな。
「次はフェノバールで会いましょう」
おばあ様と王妃様、国王陛下に見送られ、私たちは移動魔法でフェノバールに戻った。
リカルド様どれだけ体力あるんだ?
さすが聖剣の最後の弟子、『王家の鋼』と二つ名を持つだけある。
私は回復魔法がなければ、きっと再起不能になっていたことだろう。
リカルド様は私の髪を撫でて頬にキスを落とした。
「ミディアはゆっくり寝てればいいよ。鍛錬に行ってくるから。メイドには入らないように言っておくからね」
やっぱり体力ありすぎだわ。昨夜寝たのかしら?
まぁ、いいや。私はもう少し寝よう。リュカ、ジェット、体力のない母をし許せよ。
「ミディア、おはよう。そろそろ起きられる? ランチの用意ができてるよ」
へ? ランチ? あっ、そうだ。昨夜王宮に泊まったんだ。
「起きます!」
ヤベ、ガッツリ寝てしまったわ。
「支度はどうする? 私がしようか? それともハンナがエマに来てもらう?」
「ハンナかエマでお願いします」
「了解。呼んでくるね」
リカルド様はご機嫌な様子で扉を開ける部屋の外に出た。
危ない危ない。リカルド様に支度なんてお願いしたら、また組み敷かれるかもしれない。あの人は油断も隙もないんだから。
少ししてハンナが入ってきた。
「ミディア様、大丈夫ですか?」
「なんとか……」
「リカルド様にも困ったもんですね。もうお子様がふたりもいらっしゃるのに。私から少しお控えになるように申しておきますね」
ありがたいが恥ずかしい。
「今日はこちらのドレスにしましょう」
ハンナは襟の詰まった清楚な感じのドレス持ってきた。
あれほど言ったのに見えるところにつけたな。
私は半目になった。
支度が終わり迎えにきたリカルド様のエスコートでダイニングに行くとみんなが揃っていた。
もちろん生温かい目をしている。
「おばあ様、おはようございます。お待たせしてすみません」
「おはよう。身体は大丈夫? 辛くない?」
おばあ様、そんなこと聞かないで。恥ずかしいよ~。
「ごめんなさい。そんなこと聞いちゃダメよね。長年引きこもっていたからデリカシーが欠如しちゃってるみたいだわ」
おばあ様は扇で口元を隠し笑っている。
「大丈夫です。昨夜はリュカとジェットがお世話になりました。賢くしていましたか?」
「ええ、有意義な時間だった。やることも整理されたし。私はランチを食べたら西の辺境の地に行ってくるわ」
「西の辺境の地ですか?」
「ええ、ヘンドリックにちょっと話があるの」
おばあ様は精力的に動き出すんだな。
「リュカとジェットに用がある時はフェノバールに行くから、今まで通り、毎日楽しく過ごしてね」
「はい。ありがとうございます」
ランチが運ばれてきた。お~、さすが王宮。豪華だ。
お腹いっぱい食べた。リュカやジェットにも離乳食を用意してくれている。
至れり尽くせりだ。私はお腹いっぱいになるくらい食べた。
「ミディアは身体のために沢山食べなさい。そうね。栄養学を学んでいるものを遣わすわ。料理長と相談してメニューを決めるように伝え伝えておくわね」
おばあ様はまた昨日のようにウインクをした。
なんでそこまで私の身体を気にしてくれるのか?
あ~、リカルド様のせいか?
栄養学、興味あるな。私も教えてもらおう。
「まー」
ジェットが手を出す。抱っこしてほしいのかな?
私はおばあ様からジェットを受け取った。
なんだか温かくて気持ちいい。癒さられるなぁ~。
起きたばかりなのにまた眠くなってきたよ。
帰り際、国王陛下は「せっかく誕生日だったのに、リュカもジェットも母上に取られて、ちっとも遊べなかったなぁ。でも、母上が元気になっていてびっくりした。余程いい医者にめぐりあえたのだな」と言っていた。
陛下だけ蚊帳の外だった。昨日の夜会の主役だったのに。
「陛下は取り巻きさんたちと楽しくやっていたから気にしなくていいのよ」
王妃様が耳元で囁いた。
さぁ、フェノバールに帰ろう。それにしても不思議で濃い日だったな。
「次はフェノバールで会いましょう」
おばあ様と王妃様、国王陛下に見送られ、私たちは移動魔法でフェノバールに戻った。
62
お気に入りに追加
6,859
あなたにおすすめの小説
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
愛してほしかった
こな
恋愛
「側室でもいいか」最愛の人にそう問われ、頷くしかなかった。
心はすり減り、期待を持つことを止めた。
──なのに、今更どういうおつもりですか?
※設定ふんわり
※何でも大丈夫な方向け
※合わない方は即ブラウザバックしてください
※指示、暴言を含むコメント、読後の苦情などはお控えください
婚約者が実は私を嫌っていたので、全て忘れる事にしました
Kouei
恋愛
私セイシェル・メルハーフェンは、
あこがれていたルパート・プレトリア伯爵令息と婚約できて幸せだった。
ルパート様も私に歩み寄ろうとして下さっている。
けれど私は聞いてしまった。ルパート様の本音を。
『我慢するしかない』
『彼女といると疲れる』
私はルパート様に嫌われていたの?
本当は厭わしく思っていたの?
だから私は決めました。
あなたを忘れようと…
※この作品は、他投稿サイトにも公開しています。
探さないでください。旦那様は私がお嫌いでしょう?
雪塚 ゆず
恋愛
結婚してから早一年。
最強の魔術師と呼ばれる旦那様と結婚しましたが、まったく私を愛してくれません。
ある日、女性とのやりとりであろう手紙まで見つけてしまいました。
もう限界です。
探さないでください、と書いて、私は家を飛び出しました。
【完結】冤罪で殺された王太子の婚約者は100年後に生まれ変わりました。今世では愛し愛される相手を見つけたいと思っています。
金峯蓮華
恋愛
どうやら私は階段から突き落とされ落下する間に前世の記憶を思い出していたらしい。
前世は冤罪を着せられて殺害されたのだった。それにしても酷い。その後あの国はどうなったのだろう?
私の願い通り滅びたのだろうか?
前世で冤罪を着せられ殺害された王太子の婚約者だった令嬢が生まれ変わった今世で愛し愛される相手とめぐりあい幸せになるお話。
緩い世界観の緩いお話しです。
ご都合主義です。
*タイトル変更しました。すみません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。