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ゆっくりした後は

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 濃い夜を過ごした次の日、コケコッコを聞いてから眠りについた私は気がつくと再びリカルド様に組み敷かれていた。

 リカルド様どれだけ体力あるんだ?

 さすが聖剣の最後の弟子、『王家の鋼』と二つ名を持つだけある。

 私は回復魔法がなければ、きっと再起不能になっていたことだろう。

 リカルド様は私の髪を撫でて頬にキスを落とした。

「ミディアはゆっくり寝てればいいよ。鍛錬に行ってくるから。メイドには入らないように言っておくからね」

 やっぱり体力ありすぎだわ。昨夜寝たのかしら?
 まぁ、いいや。私はもう少し寝よう。リュカ、ジェット、体力のない母をし許せよ。

「ミディア、おはよう。そろそろ起きられる? ランチの用意ができてるよ」

 へ? ランチ? あっ、そうだ。昨夜王宮に泊まったんだ。

「起きます!」

 ヤベ、ガッツリ寝てしまったわ。

「支度はどうする? 私がしようか? それともハンナがエマに来てもらう?」

「ハンナかエマでお願いします」

「了解。呼んでくるね」

 リカルド様はご機嫌な様子で扉を開ける部屋の外に出た。

 危ない危ない。リカルド様に支度なんてお願いしたら、また組み敷かれるかもしれない。あの人は油断も隙もないんだから。

 少ししてハンナが入ってきた。

「ミディア様、大丈夫ですか?」

「なんとか……」

「リカルド様にも困ったもんですね。もうお子様がふたりもいらっしゃるのに。私から少しお控えになるように申しておきますね」

 ありがたいが恥ずかしい。

「今日はこちらのドレスにしましょう」

 ハンナは襟の詰まった清楚な感じのドレス持ってきた。

 あれほど言ったのに見えるところにつけたな。
 私は半目になった。

 支度が終わり迎えにきたリカルド様のエスコートでダイニングに行くとみんなが揃っていた。

 もちろん生温かい目をしている。

「おばあ様、おはようございます。お待たせしてすみません」

「おはよう。身体は大丈夫? 辛くない?」

 おばあ様、そんなこと聞かないで。恥ずかしいよ~。

「ごめんなさい。そんなこと聞いちゃダメよね。長年引きこもっていたからデリカシーが欠如しちゃってるみたいだわ」

 おばあ様は扇で口元を隠し笑っている。

「大丈夫です。昨夜はリュカとジェットがお世話になりました。賢くしていましたか?」

「ええ、有意義な時間だった。やることも整理されたし。私はランチを食べたら西の辺境の地に行ってくるわ」

「西の辺境の地ですか?」

「ええ、ヘンドリックにちょっと話があるの」

 おばあ様は精力的に動き出すんだな。

「リュカとジェットに用がある時はフェノバールに行くから、今まで通り、毎日楽しく過ごしてね」

「はい。ありがとうございます」

 ランチが運ばれてきた。お~、さすが王宮。豪華だ。

 お腹いっぱい食べた。リュカやジェットにも離乳食を用意してくれている。

 至れり尽くせりだ。私はお腹いっぱいになるくらい食べた。

「ミディアは身体のために沢山食べなさい。そうね。栄養学を学んでいるものを遣わすわ。料理長と相談してメニューを決めるように伝え伝えておくわね」

 おばあ様はまた昨日のようにウインクをした。

 なんでそこまで私の身体を気にしてくれるのか?

 あ~、リカルド様のせいか?

 栄養学、興味あるな。私も教えてもらおう。

「まー」
 ジェットが手を出す。抱っこしてほしいのかな?

 私はおばあ様からジェットを受け取った。

 なんだか温かくて気持ちいい。癒さられるなぁ~。
 起きたばかりなのにまた眠くなってきたよ。

 帰り際、国王陛下は「せっかく誕生日だったのに、リュカもジェットも母上に取られて、ちっとも遊べなかったなぁ。でも、母上が元気になっていてびっくりした。余程いい医者にめぐりあえたのだな」と言っていた。

 陛下だけ蚊帳の外だった。昨日の夜会の主役だったのに。

「陛下は取り巻きさんたちと楽しくやっていたから気にしなくていいのよ」

 王妃様が耳元で囁いた。


 さぁ、フェノバールに帰ろう。それにしても不思議で濃い日だったな。

「次はフェノバールで会いましょう」

 おばあ様と王妃様、国王陛下に見送られ、私たちは移動魔法でフェノバールに戻った。

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