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夜会はじまる
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私たちを乗せた馬車は王宮に到着した。
移動魔法を使えばあっという間に到着する。馬車酔いする人にとっては移動魔法は嬉しいだろう。
でもそんな人は移動魔法酔いしたりするからうまくいかないもんだ。
「フェノバール公爵家の皆様、お待ちしておりました」
案内の人が出迎えにきて、私たちを控え室に案内してくれた。
ここでしばらく待機して呼ばれたら行くみたいだ。
ちゃんとリュカやジェット用のベビーベッドも用意してくれているのが嬉しい。
メイドが部屋に入ってきてお茶を入れてくれた。
「そろそろ時間だな。マイク、外を見てきてくれるか」
リカルド様はマイクにそう告げ、マイクが部屋から出ようとした時、ノックの音とともに声がした。
「フェノバール公爵家の皆様、そろそろよろしいでしょうか。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
その声に私たちは腰を上げた。いよいよだな緊張する。
案内された部屋は今日の夜会会場の小ホールだった。
『フェノバール公爵家皆様』と呼ばれ、リカルド様にエスコートされ中に進む。
国王陛下に挨拶とお祝いをするために私たちは玉座の方に進む。
「王国の輝ける太陽であらせられます国王へご挨拶申し上げます……」
リカルド様は陛下に挨拶をする。
「よく来てくれた。今日は身内だけの夜会だ。気の置けない者しか集っておらぬゆえ、気楽に楽しんでくれるとうれしい」
気の置けない者ばかりか。
リカルド様が王宮に来たので陛下はうれしそうだ。
国王陛下、王妃様、宰相様と奥様、あの方は王妃様の兄のレスミット公爵閣下。お母様の従兄弟だ。そして奥様のベアトリーチェ伯母様。嫡男のロベルト様とその奥様か。
他にも色んな人が来てるな。
どこが身内だけの夜会だ。まんまと乗せられたな。
「ミディアローズ、久しぶりね」
声をかけられた。誰だ? ああ、ベアトリーチェ伯母様か。
「お久しぶりでございます」
とりあえずカーテシーをしておく。
「まさか、あなたがリカルド殿下と結婚するなんてびっくりしたわ。それにフェノバール領があんなに発展するなんて、さすがビアンカの娘ね。跳ねっ返りで貰い手がないってビアンカが泣いていたのが嘘みたいだわ。今度遊びに行ってもいいかしら?」
「もちろんですわ。ぜひおいで下さいませ」
公爵夫人風のアルカイックスマイルをする。
伯母様はきっと私たちと懇意にしている方が得になると思っているのだろう。ザ、貴族だな。しかも軽いマウントだ。
来ている方々と挨拶をするが、やっぱりまだリカルド様を殿下と呼ぶ人が多い。そういう認識なんだな。
気が置けないどころか腹を探りながら喋らなきゃならない。疲れたよ。
「兄上! 義姉上! お久しぶりです」
ん? あ~、アンソニー殿下。久しぶりだな。なんだか大きくなったんじゃない?
「アンソニー久しぶりだな。身体も大きくなったんじゃないか。騎士科はどうだ?」
「はい、毎日しごかれています。卒業したら騎士団に入るつもりです」
騎士団か。王太子にはならないのかな?
「リュカも大きくなりましたね。兄上そっくりで驚きました。そちらはジェットですか? 抱っこしても?」
「あぁ、いいよ。エマ、ジェットをアンソニーに」
エマからアンソニー殿下にジェットが渡された。
「可愛いですね。髪の色は義姉上で瞳は兄上なんですね」
抱っこされているジェットはにこにこしている。
「ジェットはアンソニー殿下が好きみたいですわね」
そう言いながら、私はそろそろジェットを返してもらおうと手を出した。
「あれ、痛めていた腕が痛くない。肩も足も軽い。なんでだろう?」
アンソニー殿下は首を傾げている。
「まぁ、いいか。兄上、話があるんです。日を改めて領地に伺ってもよろしいですか?」
「あぁ、待ってる」
「では、失礼します。夜会をお楽しみ下さいね」
アンソニー殿下はにこやかに微笑みながら消えた。
さすが兄弟。リカルド様とよく似ている。髪色は陛下と同じ栗色で瞳は王妃様と同じ深い青か。
そういえば双子のウィリアム殿下はどんな色だったかな?
そんなことを思っていたら、王妃様に呼ばれた。
「リカルド、ミディア、今日は来てくれてありがとう。王太后様は別の部屋にいるの。やっぱりみんなの前には出たくないんですって。あなたとミディアとリュカとジェットに会いたがっているわ。病気のせいですっかり弱っているの。会ってあげて」
「そうですか。わかりました。ミディア行くよ」
リカルド様はちょっと複雑な表情をしている。
おばあ様にはあまりいい思い出はないと言っていたから会いたくないのかな?
私たちは王妃様に連れられ廊下を進む。なんか緊張してきたな。
いよいよおばあ様と対面の時が来た。
移動魔法を使えばあっという間に到着する。馬車酔いする人にとっては移動魔法は嬉しいだろう。
でもそんな人は移動魔法酔いしたりするからうまくいかないもんだ。
「フェノバール公爵家の皆様、お待ちしておりました」
案内の人が出迎えにきて、私たちを控え室に案内してくれた。
ここでしばらく待機して呼ばれたら行くみたいだ。
ちゃんとリュカやジェット用のベビーベッドも用意してくれているのが嬉しい。
メイドが部屋に入ってきてお茶を入れてくれた。
「そろそろ時間だな。マイク、外を見てきてくれるか」
リカルド様はマイクにそう告げ、マイクが部屋から出ようとした時、ノックの音とともに声がした。
「フェノバール公爵家の皆様、そろそろよろしいでしょうか。ご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
その声に私たちは腰を上げた。いよいよだな緊張する。
案内された部屋は今日の夜会会場の小ホールだった。
『フェノバール公爵家皆様』と呼ばれ、リカルド様にエスコートされ中に進む。
国王陛下に挨拶とお祝いをするために私たちは玉座の方に進む。
「王国の輝ける太陽であらせられます国王へご挨拶申し上げます……」
リカルド様は陛下に挨拶をする。
「よく来てくれた。今日は身内だけの夜会だ。気の置けない者しか集っておらぬゆえ、気楽に楽しんでくれるとうれしい」
気の置けない者ばかりか。
リカルド様が王宮に来たので陛下はうれしそうだ。
国王陛下、王妃様、宰相様と奥様、あの方は王妃様の兄のレスミット公爵閣下。お母様の従兄弟だ。そして奥様のベアトリーチェ伯母様。嫡男のロベルト様とその奥様か。
他にも色んな人が来てるな。
どこが身内だけの夜会だ。まんまと乗せられたな。
「ミディアローズ、久しぶりね」
声をかけられた。誰だ? ああ、ベアトリーチェ伯母様か。
「お久しぶりでございます」
とりあえずカーテシーをしておく。
「まさか、あなたがリカルド殿下と結婚するなんてびっくりしたわ。それにフェノバール領があんなに発展するなんて、さすがビアンカの娘ね。跳ねっ返りで貰い手がないってビアンカが泣いていたのが嘘みたいだわ。今度遊びに行ってもいいかしら?」
「もちろんですわ。ぜひおいで下さいませ」
公爵夫人風のアルカイックスマイルをする。
伯母様はきっと私たちと懇意にしている方が得になると思っているのだろう。ザ、貴族だな。しかも軽いマウントだ。
来ている方々と挨拶をするが、やっぱりまだリカルド様を殿下と呼ぶ人が多い。そういう認識なんだな。
気が置けないどころか腹を探りながら喋らなきゃならない。疲れたよ。
「兄上! 義姉上! お久しぶりです」
ん? あ~、アンソニー殿下。久しぶりだな。なんだか大きくなったんじゃない?
「アンソニー久しぶりだな。身体も大きくなったんじゃないか。騎士科はどうだ?」
「はい、毎日しごかれています。卒業したら騎士団に入るつもりです」
騎士団か。王太子にはならないのかな?
「リュカも大きくなりましたね。兄上そっくりで驚きました。そちらはジェットですか? 抱っこしても?」
「あぁ、いいよ。エマ、ジェットをアンソニーに」
エマからアンソニー殿下にジェットが渡された。
「可愛いですね。髪の色は義姉上で瞳は兄上なんですね」
抱っこされているジェットはにこにこしている。
「ジェットはアンソニー殿下が好きみたいですわね」
そう言いながら、私はそろそろジェットを返してもらおうと手を出した。
「あれ、痛めていた腕が痛くない。肩も足も軽い。なんでだろう?」
アンソニー殿下は首を傾げている。
「まぁ、いいか。兄上、話があるんです。日を改めて領地に伺ってもよろしいですか?」
「あぁ、待ってる」
「では、失礼します。夜会をお楽しみ下さいね」
アンソニー殿下はにこやかに微笑みながら消えた。
さすが兄弟。リカルド様とよく似ている。髪色は陛下と同じ栗色で瞳は王妃様と同じ深い青か。
そういえば双子のウィリアム殿下はどんな色だったかな?
そんなことを思っていたら、王妃様に呼ばれた。
「リカルド、ミディア、今日は来てくれてありがとう。王太后様は別の部屋にいるの。やっぱりみんなの前には出たくないんですって。あなたとミディアとリュカとジェットに会いたがっているわ。病気のせいですっかり弱っているの。会ってあげて」
「そうですか。わかりました。ミディア行くよ」
リカルド様はちょっと複雑な表情をしている。
おばあ様にはあまりいい思い出はないと言っていたから会いたくないのかな?
私たちは王妃様に連れられ廊下を進む。なんか緊張してきたな。
いよいよおばあ様と対面の時が来た。
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