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ミディアは忙しい

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 フェノバール領の病院開院の件でチャーリー先生に相談した。

「いいと思うぞ。学校は人にもよるけど3年から6年くらいかかるし、その間に準備すればいいんじゃないか。学校に行きたい者を募集して、面接して本当にやる気のある者をいかせればいいな。学校の手配は私がしよう」

 さすがチャーリー先生話が早い。向こうには寮もあるみたいなので住むところの心配もない。

 魔法医師や魔法看護師になりたい人がいるといいな。


 私は相変わらずおばあさまに会った時に困らないようにプチ王子妃教育を受けているが、最近はなんとなく私と熟女たちのただのお茶会になりつつある。

 熟女たちの目当てはジェットだ。王妃様がジェットに顔を触ってもらったらシワが消えただのリフトアップしただのと言い出し、お母様やルビー姉様、エレノア姉様、アリシア様までやってくる。
 まぁ、お菓子やらおもちゃや絵本などを持ってきてくれるのでいいのだが、身内以外には内緒でと口止めは忘れない。

「ジェットの魔法ってなんなの?」

 アーサー様に聞いてみた。

「多分回復魔法の濃いやつでしょうね。それにしても女性は怖いです。ミディア様やうちのルチアも熟女になる頃にはあの方たちみたいに貪欲になるんですかね。痛たたたたた」

「誰が貪欲ですって!」

 あ~あ、ルビー姉様に耳を引っ張られてるわ。

「そうそう、フェノバール領で今度は魔法医療の奨学生の募集をやるそうだわね」

「さすが早耳ですわね。まだはっきり決まったわけではないのですが、希望者を募って面接し、何人かを戻ったらフェノバールの病院で働くという条件で隣国の学校に行く費用を出そうかと考えているの」

「それ、みんなでやらない? フェノバールだけじゃなく、うちのセレナール家やエレノアのとこのカナリア家、ランドセン家もだし、マイスタン家やエバミール家も一緒に、フェノバール公爵派の家門で合同でやらない?」

 フェノバール公爵派? そんな派閥初めて聞いたよ。

「私の一存ではお返事できないのでリカルド様に相談してみるわ。確かにそれだとお金もたくさん集まりますわね」

「事務局を作って、きちんとやりましょう。企画書作るわ」

 ルビー姉様のりのりだな。

「魔法医療は魅力的なんだけど、先生や看護師が隣国からなかなかでないのよ。時々手伝いにきてくれる程度なの。最初から条件付きで奨学生にすれば必ずそれぞれの領地に1人が2人はいてもらえるものね」

 確かにそうだな。

「なんでフェノバールが言い出すまで気がつかなかったのかしら。やっぱりミディアの発想力は凄いわ」

 いやいやただの思いつきだ。

 それよりも私は、いよいよおばあ様に会う日が近くなってきてドキドキしている。

 一応王家の歴史や国の領地の地図、特産物、貴族名簿くらいは頭に叩きこんだ。頑張って暗記したよ。

 国王陛下のお誕生日プレゼントはフェノバール領の蚕さんたちが頑張って作った生地をアスコットタイにして刺繍をいれてみた。
 リカルド様は「刺繍なんてしてやらなくていい」と羨ましそうだったので、ジレに刺繍をしてみたらめちゃくちゃ喜んでくれた。
 リカルド様はほんとにやきもち焼きで子供っぽいところがある。
 子供たちともなぜか張り合っているしね。

 まぁ、それも微笑ましいんだけどね。

 なんだかんだ言ってもフェノバール領は平和だわ。
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