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南の領地
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南の領地は王家の直轄地で王家以外は知り得ない土地だった。国のどこにあるのか誰も知らない。もし、見つけたとしても悪意を持つ人は入れない結界が張りめぐらされているらしいし、魔法で絶対に見つからないようにしているらしい。
国民は貴族も平民も南の領地の存在すら知らない
南の領地に住んでいる人は皆、王家の使用人だ。王家の保養の為の領地で、ゲスな言い方をすれば全くお金を生み出さない領地だった。
私達は乳児のリュカと産後の私のために作られた、ふかふかの椅子の馬車に乗った。もちろん馬車でなんか行かない。どこにあるのかわからないので行けない。
馬車ごとアーサー様の魔法で飛ぶ。
この馬車には、リカルド様、私、リュカ、乳母兼侍女のメアリーが乗っている。護衛のマシューさんと従者のマイクは御者席に座っている。
私達が留守の間はフェノバール領はセバスとハンナ、アーサー様とルシアさんに任せている。
「では、飛ばしますよ。気をつけて行ってらっしゃいませ」
アーサー様が呪文を唱えると目の前の景色が歪んだ。
「お待ちしておりました」
壮年のしゅっとした男性がにこやかな表情っで
馬車の扉を開けた。
「スチュアート久しぶりだな。妻のミディアローズと息子のリュカだ」
「奥様とお坊ちゃまでございますか? 初めてお目にかかります。この屋敷の執事のスチュアートでございます。リカルド坊ちゃまがお元気になられたのは奥様のおかげだと聞き及んでおります。奥様ありがとうございます。スチュアートは嬉しゅうございます」
スチュアートさんは号泣している。
「まぁまぁ、うれしいのはわかりますがいい加減になさいませ。リカルド坊ちゃま、奥様、リュカ坊ちゃま、おかえりなさいませ」
「ケリー、久しいな。元気にしていたか」
リカルド様はケリーさんに懐かしそうに声をかける。
「ミディア、スチュアートはセバスの弟で、ケリーはハンナの妹なんだ。結婚してからこの南の領地を任されてるんだよ」
えっ? そうなの? そう言えば似てる気がする。
「スチュアートさん、ケリーさん、ミディアローズです。よろしくお願いします」
「奥様、さんなといりません。どうぞ呼び捨てにして下さい」
「では、私のこともミディアと呼んでください。奥様なんて慣れないので気持ち悪いです」
いまだに奥様はなれない。フェノバールではほとんどがミディアだ。チャーリー先生だけはなぜか奥方と呼ぶけどね。
「そうだな。私のことも坊ちゃまはやめてくれないか。もう30を越えてるおじさんに坊ちゃまはないよ」
リカルド様は苦笑している。
「では、そういたしますね。ひとまずお部屋で着替えなどなされますか? ゆっくりされてから温泉を楽しんで下さいませ」
そうそう温泉だ! 温泉楽しみだな。
案内された部屋は主賓室だった。
広いベットルームとサロンのような部屋がある。
「リカルド様とミディア様はこちらをお使い下さいませ。リュカ坊ちゃまは乳母のメアリーと一緒に隣のお部屋を使って下さいね」
「あっ、リュカは私達と一緒でいいのよ」
「いえいえそういうわけにはまいりません。新婚旅行ですのよ。おふたりでゆっくりして下さいませ」
いやいや、いつ新婚旅行になったんだ? リュカに手を伸ばそうとしたが左右に首を振る。
「リュカはふたりでどうぞと言ってるよ」
いや、言ってないだろう?
リカルド様はリュカと念話で話しているそうだがほんとかな?
「着替えたら海に行ってみないか?」
海?
「ミディアは海を見たことがないだろう?」
そうだ私は海に行ってみたかったのだ。
チョロい私はリカルド様に海に行こうと言われてすっかり舞い上がってしまった。
とりあえず着替えてお昼ご飯を食べることになった。
海が近いだけあって、魚介類も沢山出てくる。フェノバール領のシェフの料理もとても美味しいけど、ここの料理も美味しい。とにかく新鮮だわ。
生でお魚を食べたのは初めてだし、海老の殻で出汁をとったスープもとても美味しい。
「公爵閣下、奥様、お口に合いましたでしょうか?」
シェフが挨拶に来てくれた。
「美味しかったです。滞在中の料理が楽しみです」
リカルド様が答えた。私も微笑みながら頷いた。
「リカルド様、ミディア様、食事の後は海に行かれてはどうですか? 海遊びをされては?」
ケリーがニコニコしながら言う。海に温泉か~。いいなぁ~。
私は海に行くためにラフなドレスに着替えた。
リカルド様はシャツにトラウザーズという簡単な姿だ。
海に足をつければいいよとリカルド様がいうのでストッキングは履かなかった。
初めて見る海は広くて青くて清々しくてまるでリカルド様みたいだった。
私は興奮してドレスの裾を持ち上げ走り出し海に足を入れた。
うわ~気持ちいい。
砂浜の暑さと水の冷たさが混ざり合いなんとも言えない気持ちよさだ。
海には波があり寄せては返す。
リカルド様は砂浜に置いたデッキチェアに腰掛け、遊ぶ私を見ている。
私はあまりの気持ちよさにぼんやりしていて大きな波に気が付かなかった。
リカルド様が何か言いながらデッキチェアから立ち上がり慌てて走ってきた。
ザブ~ン!!
ひゃあ~!
大きな波に足を取られ転んでしまった。
「ミディア! 大丈夫か!」
走ってきたリカルド様が私を起こしてくれた。
「大丈夫です。ぼんやりしちゃった」
「怪我がなくてよかった。しかし酷いな」
確かに酷い。
顔はなんとか助かったがあとは濡れ鼠状態。
「ごめんなさい。はしゃぎすぎました」
私が凹んでいるとリカルド様は優しく微笑む。
「このまま、温泉に行こうか?」
「温泉ですか?」
「うん、海に入って冷えてしまっただろう?」
入ったわけではなくて、転んで浸かってしまっただけだ。
「よし、そうしよう……」
小さく呟いてから、リカルド様は私を抱き上げた。
「リカルド様、服が汚れますよ」
「汚れてもいいよ。一緒に風呂に入ろう。ここの屋敷の部屋にある風呂は皆温泉を引いているとさっき言っただろ? 自然に湧き出ているお湯は気持ちいいよ」
そういえば、そんなことを言っていたな。本当にお湯が泉のように湧き出ているのだろうか?
屋敷に戻ると、使用人たちが大きなタオルを持ち待っていてくれた。
何故私が濡れ鼠で戻ると知っているのか?
そのタオルで私を包んで部屋まで運ぶ。廊下が汚れないようにだろうか。
部屋に入るとリカルド様は奥まで進み扉を開ける。
温泉とやらはここにあるのか?
そこはベンチのような椅子と台や棚、タオルがたくさんある。
私はそこでベシャベシャになったドレスを脱がされた。
簡易なドレスなんですぐに脱げる。
恥ずかしいんですけど。いきなり真っ昼間に服を脱がされるなんて。
モジモジしていたらいつのまにかリカルド様も服着てない。
相変わらずの細マッチョだ。目のやり場に困っちゃうな。
「早く入ろう風邪引くよ」
リカルド様は再び私を抱き上げた。
いや、歩けますって。
リュカがお腹にいる時から、やたらめったらお姫様抱っこされている。リカルド様はこれが普通と思っているみたいで怖い。
扉を開けると……温泉? 広い、めっちゃ広い。
いつも湯浴みしているバスタブとは雲泥の差だ。
リカルド様に身体にお湯をかけられた。温泉って入る前に身体にお湯をかけるのか。
抱っこされたままお湯につかる。
うわ~、何これ気持ちいい。
「リカルド様、温泉気持ちいいですね」
「泳いじゃダメだよ」
「はい」
泳ごうとしたのがバレたようだ。
すっかり温まって眠くなってきた。
リカルド様はお湯から出て髪と身体を洗っている。
美形細マッチョのヌードを昼間から見ている私ってどうよ。
私も髪洗いたいけど、お湯から出るの恥ずかしいしな。
「ミディア、髪と身体洗ってあげるよ」
へ?
いやいや、いいです。自分でやります。
「自分でやります」
「できないだろう」
そういえばいつもメアリーに髪を洗ってもらっているので自分では洗えない。
「見よう見まねでなんとかなりま……」
最後まで言い終わらないうちにまた抱き上げられてお湯から出されて、椅子に座らされた。
リカルド様は手際良く私の髪を洗い出す。
リカルド様に髪を洗ってもらうのは気持ちよくて大好きなんだけど、この格好はいかがなものか?
胸もお腹も丸見えで恥ずかしい。
手際よく洗った髪をタオルで巻上げる。そして今度は身体を洗い始めた。
「リカルド様、身体はひとりで洗えます」
「ついでだから。砂がついてたらダメだろ? ちゃんと洗っておこう」
いやいや、もうすでにお湯で流してるから浸かってるし、砂はついてないだろう。
リカルド様は前に回ってきた。
泡立てた泡を手にいっぱい持ち、私の身体の上に落とす。
泡だらけにされた私。まな板の上の鯉だ。私は隅々まで洗われた。
また温泉に浸かった私はうとうとしてしまった。
気がつくとなぜか寝台の上にいる。うとうとしてたからお昼寝かな? 髪も身体もすっかり乾いている。魔法で乾かしてくれたのね。
ん? 服は? 服着てないんですけど?
「せっかく温泉に入って、身体があたたまったし、子作りしようか」
ん?
隣にいる色っぽい顔をしたリカルド様がそんなことを言う。
「ダメです。まだ日が高いし」
「大丈夫。気にしないで」
いや、気にするよ!
みんなもいるんだよ。子作りはまた今度にしよ。せめて夜にしよ。
「ミディア、愛してる」
リカルド様は私の唇に熱い唇を押しつけてきた。
両手で胸を押して身体を離そうとしたがいとも簡単に大きな手で両手首を掴まれ頭の上に押しつけられた。
こうなったら、もう逃げられないな。諦めよう。
それから子作りは延々と続き、寝台から起き上がることができなくなった私は次の日のランチも寝台で食べる羽目になった。
リュカ丸一日ほったらかしてごめんよ~。
怒るならパパを怒ってね。
もう、リカルド様もちょっとくらい手加減してよ。みんなの前に顔出すの恥ずかしいじゃない。
国民は貴族も平民も南の領地の存在すら知らない
南の領地に住んでいる人は皆、王家の使用人だ。王家の保養の為の領地で、ゲスな言い方をすれば全くお金を生み出さない領地だった。
私達は乳児のリュカと産後の私のために作られた、ふかふかの椅子の馬車に乗った。もちろん馬車でなんか行かない。どこにあるのかわからないので行けない。
馬車ごとアーサー様の魔法で飛ぶ。
この馬車には、リカルド様、私、リュカ、乳母兼侍女のメアリーが乗っている。護衛のマシューさんと従者のマイクは御者席に座っている。
私達が留守の間はフェノバール領はセバスとハンナ、アーサー様とルシアさんに任せている。
「では、飛ばしますよ。気をつけて行ってらっしゃいませ」
アーサー様が呪文を唱えると目の前の景色が歪んだ。
「お待ちしておりました」
壮年のしゅっとした男性がにこやかな表情っで
馬車の扉を開けた。
「スチュアート久しぶりだな。妻のミディアローズと息子のリュカだ」
「奥様とお坊ちゃまでございますか? 初めてお目にかかります。この屋敷の執事のスチュアートでございます。リカルド坊ちゃまがお元気になられたのは奥様のおかげだと聞き及んでおります。奥様ありがとうございます。スチュアートは嬉しゅうございます」
スチュアートさんは号泣している。
「まぁまぁ、うれしいのはわかりますがいい加減になさいませ。リカルド坊ちゃま、奥様、リュカ坊ちゃま、おかえりなさいませ」
「ケリー、久しいな。元気にしていたか」
リカルド様はケリーさんに懐かしそうに声をかける。
「ミディア、スチュアートはセバスの弟で、ケリーはハンナの妹なんだ。結婚してからこの南の領地を任されてるんだよ」
えっ? そうなの? そう言えば似てる気がする。
「スチュアートさん、ケリーさん、ミディアローズです。よろしくお願いします」
「奥様、さんなといりません。どうぞ呼び捨てにして下さい」
「では、私のこともミディアと呼んでください。奥様なんて慣れないので気持ち悪いです」
いまだに奥様はなれない。フェノバールではほとんどがミディアだ。チャーリー先生だけはなぜか奥方と呼ぶけどね。
「そうだな。私のことも坊ちゃまはやめてくれないか。もう30を越えてるおじさんに坊ちゃまはないよ」
リカルド様は苦笑している。
「では、そういたしますね。ひとまずお部屋で着替えなどなされますか? ゆっくりされてから温泉を楽しんで下さいませ」
そうそう温泉だ! 温泉楽しみだな。
案内された部屋は主賓室だった。
広いベットルームとサロンのような部屋がある。
「リカルド様とミディア様はこちらをお使い下さいませ。リュカ坊ちゃまは乳母のメアリーと一緒に隣のお部屋を使って下さいね」
「あっ、リュカは私達と一緒でいいのよ」
「いえいえそういうわけにはまいりません。新婚旅行ですのよ。おふたりでゆっくりして下さいませ」
いやいや、いつ新婚旅行になったんだ? リュカに手を伸ばそうとしたが左右に首を振る。
「リュカはふたりでどうぞと言ってるよ」
いや、言ってないだろう?
リカルド様はリュカと念話で話しているそうだがほんとかな?
「着替えたら海に行ってみないか?」
海?
「ミディアは海を見たことがないだろう?」
そうだ私は海に行ってみたかったのだ。
チョロい私はリカルド様に海に行こうと言われてすっかり舞い上がってしまった。
とりあえず着替えてお昼ご飯を食べることになった。
海が近いだけあって、魚介類も沢山出てくる。フェノバール領のシェフの料理もとても美味しいけど、ここの料理も美味しい。とにかく新鮮だわ。
生でお魚を食べたのは初めてだし、海老の殻で出汁をとったスープもとても美味しい。
「公爵閣下、奥様、お口に合いましたでしょうか?」
シェフが挨拶に来てくれた。
「美味しかったです。滞在中の料理が楽しみです」
リカルド様が答えた。私も微笑みながら頷いた。
「リカルド様、ミディア様、食事の後は海に行かれてはどうですか? 海遊びをされては?」
ケリーがニコニコしながら言う。海に温泉か~。いいなぁ~。
私は海に行くためにラフなドレスに着替えた。
リカルド様はシャツにトラウザーズという簡単な姿だ。
海に足をつければいいよとリカルド様がいうのでストッキングは履かなかった。
初めて見る海は広くて青くて清々しくてまるでリカルド様みたいだった。
私は興奮してドレスの裾を持ち上げ走り出し海に足を入れた。
うわ~気持ちいい。
砂浜の暑さと水の冷たさが混ざり合いなんとも言えない気持ちよさだ。
海には波があり寄せては返す。
リカルド様は砂浜に置いたデッキチェアに腰掛け、遊ぶ私を見ている。
私はあまりの気持ちよさにぼんやりしていて大きな波に気が付かなかった。
リカルド様が何か言いながらデッキチェアから立ち上がり慌てて走ってきた。
ザブ~ン!!
ひゃあ~!
大きな波に足を取られ転んでしまった。
「ミディア! 大丈夫か!」
走ってきたリカルド様が私を起こしてくれた。
「大丈夫です。ぼんやりしちゃった」
「怪我がなくてよかった。しかし酷いな」
確かに酷い。
顔はなんとか助かったがあとは濡れ鼠状態。
「ごめんなさい。はしゃぎすぎました」
私が凹んでいるとリカルド様は優しく微笑む。
「このまま、温泉に行こうか?」
「温泉ですか?」
「うん、海に入って冷えてしまっただろう?」
入ったわけではなくて、転んで浸かってしまっただけだ。
「よし、そうしよう……」
小さく呟いてから、リカルド様は私を抱き上げた。
「リカルド様、服が汚れますよ」
「汚れてもいいよ。一緒に風呂に入ろう。ここの屋敷の部屋にある風呂は皆温泉を引いているとさっき言っただろ? 自然に湧き出ているお湯は気持ちいいよ」
そういえば、そんなことを言っていたな。本当にお湯が泉のように湧き出ているのだろうか?
屋敷に戻ると、使用人たちが大きなタオルを持ち待っていてくれた。
何故私が濡れ鼠で戻ると知っているのか?
そのタオルで私を包んで部屋まで運ぶ。廊下が汚れないようにだろうか。
部屋に入るとリカルド様は奥まで進み扉を開ける。
温泉とやらはここにあるのか?
そこはベンチのような椅子と台や棚、タオルがたくさんある。
私はそこでベシャベシャになったドレスを脱がされた。
簡易なドレスなんですぐに脱げる。
恥ずかしいんですけど。いきなり真っ昼間に服を脱がされるなんて。
モジモジしていたらいつのまにかリカルド様も服着てない。
相変わらずの細マッチョだ。目のやり場に困っちゃうな。
「早く入ろう風邪引くよ」
リカルド様は再び私を抱き上げた。
いや、歩けますって。
リュカがお腹にいる時から、やたらめったらお姫様抱っこされている。リカルド様はこれが普通と思っているみたいで怖い。
扉を開けると……温泉? 広い、めっちゃ広い。
いつも湯浴みしているバスタブとは雲泥の差だ。
リカルド様に身体にお湯をかけられた。温泉って入る前に身体にお湯をかけるのか。
抱っこされたままお湯につかる。
うわ~、何これ気持ちいい。
「リカルド様、温泉気持ちいいですね」
「泳いじゃダメだよ」
「はい」
泳ごうとしたのがバレたようだ。
すっかり温まって眠くなってきた。
リカルド様はお湯から出て髪と身体を洗っている。
美形細マッチョのヌードを昼間から見ている私ってどうよ。
私も髪洗いたいけど、お湯から出るの恥ずかしいしな。
「ミディア、髪と身体洗ってあげるよ」
へ?
いやいや、いいです。自分でやります。
「自分でやります」
「できないだろう」
そういえばいつもメアリーに髪を洗ってもらっているので自分では洗えない。
「見よう見まねでなんとかなりま……」
最後まで言い終わらないうちにまた抱き上げられてお湯から出されて、椅子に座らされた。
リカルド様は手際良く私の髪を洗い出す。
リカルド様に髪を洗ってもらうのは気持ちよくて大好きなんだけど、この格好はいかがなものか?
胸もお腹も丸見えで恥ずかしい。
手際よく洗った髪をタオルで巻上げる。そして今度は身体を洗い始めた。
「リカルド様、身体はひとりで洗えます」
「ついでだから。砂がついてたらダメだろ? ちゃんと洗っておこう」
いやいや、もうすでにお湯で流してるから浸かってるし、砂はついてないだろう。
リカルド様は前に回ってきた。
泡立てた泡を手にいっぱい持ち、私の身体の上に落とす。
泡だらけにされた私。まな板の上の鯉だ。私は隅々まで洗われた。
また温泉に浸かった私はうとうとしてしまった。
気がつくとなぜか寝台の上にいる。うとうとしてたからお昼寝かな? 髪も身体もすっかり乾いている。魔法で乾かしてくれたのね。
ん? 服は? 服着てないんですけど?
「せっかく温泉に入って、身体があたたまったし、子作りしようか」
ん?
隣にいる色っぽい顔をしたリカルド様がそんなことを言う。
「ダメです。まだ日が高いし」
「大丈夫。気にしないで」
いや、気にするよ!
みんなもいるんだよ。子作りはまた今度にしよ。せめて夜にしよ。
「ミディア、愛してる」
リカルド様は私の唇に熱い唇を押しつけてきた。
両手で胸を押して身体を離そうとしたがいとも簡単に大きな手で両手首を掴まれ頭の上に押しつけられた。
こうなったら、もう逃げられないな。諦めよう。
それから子作りは延々と続き、寝台から起き上がることができなくなった私は次の日のランチも寝台で食べる羽目になった。
リュカ丸一日ほったらかしてごめんよ~。
怒るならパパを怒ってね。
もう、リカルド様もちょっとくらい手加減してよ。みんなの前に顔出すの恥ずかしいじゃない。
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