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ジィジがやってきた。

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 すっかり長居してしまった。そろそろフェノバールに戻ろうかとリカルド様と話をしていたら、王妃様から伝書が来た。

 陛下が謝りたいと言っているとのこと。

 リカルド様に言うと「嫌なら会わなくてもいいよ」と言う。

 嫌なことはないんだけどね。

 私は別に国王陛下が嫌いな訳じゃないし、あの時も私が出産まで寝たきりになったのは別に陛下が悪いわけじゃない。私の危機管理能力が足りなかっただけた。

 お父様が断れない人なのは知ってるし、嫌なら私が断ればよかっただけ。それをしなかったせいで2人は罰を受けてしまった。

 なんだか申し訳なかったわ。

「リュカ、パパのジィジに会う?」

 リュカに聞いてみた。

「う~う~」

 わからん。リュカはどうしたいんだろう。

「リカルド様、通訳して下さい」

 リカルド様とリュカは話ができるようだ。王家の秘術か?

「リュカはとりあえず会ってお詫びを受け入れてあげてと言ってるよ。リュカ自体はジィジに思うところはないってさ」

 思うところはない? 

 乳児がそんなことを言うのだろうか?

 まぁ、私も思うところは何もない。

 じゃあ、会うか。

 王妃様にOKと返事を送った。



「ミディアローズ、リュカ、申し訳なかった。人としての配慮が無かった。すまない」

 いやいや、国王陛下に頭を下げてられても困るわ~。

「陛下頭をあげて下さい。陛下が悪いわけではありませんわ。私も悪いのです」

「いや、其方は何も悪く無い。悪いのは私だ」

「いえいえ」

「もう、陛下が悪いということでいいのよ。この人は国の長なんだし、責任を取ればいいの」

 いつのまにかリュカを抱っこした王妃様の鶴の一声で国王陛下が悪いと言うことで収まった。

「王妃~、私も抱っこしてみたい」

 国王がリュカに手を伸ばす。

「抱っこしたいの? リュカどうする? ジィジに抱っこさせてあげる?」

 王妃様は口角をキュッと上げて微笑む。なんだか怖いわ。

「陛下、リュカに抱っこさせて下さいと言ってごらんなさい」

 ひぇ~怖いよ~。

 陛下は慣れているのか、にっこり笑った。

「リュカ、抱っこさせて下さい」

 えっ? 孫に下さいって。

「きゃっきゃ」

 リュカが笑って陛下に手を伸ばす。

 リュカはなかなかの人たらしだとこの時私の中で決定した。

 リュカを抱っこした陛下はご満悦で「可愛いな。可愛いな」を繰り返す。

「王妃、リュカに南の領地をやろう。リュカが成人するまではリカルドが代わりに管理すればいい。」

 いらんし。もう、やっぱりややこしいな。

「ありがたき幸せ。リュカの誕生祝いに南の領地をいただきます」

 あれ、リカルド様もらっちゃうの?

「もらってくれるか。嬉しいなぁ」

 何故か陛下はぐずぐず泣いている。

「うれしかったのよ。いつも何もいらないといわれていたから」

 王妃様は私に耳打ちする。

 リュカは0歳にして領地持ちになってしまった。

 きっと国王陛下はリュカが国王になりたいなんて言った日には、国王の座を明け渡しちゃうんだろうな。

 そういえば、陛下お腹へっこんでない? しろくてぽっちゃりしていたのに小麦色になってちょっと精悍な感じになってる。
 やはり西の辺境の地はきつかったんだな。

 私もちょっと行ったらお腹凹むかな?

 リカルド様を見ると首を振っている。

 ん? リュカもイヤイヤしている。ふたりは私の心が読めるのか?

「リカルド様はひょっとすると私の心が読めるのですか?」

「ミディアの心は読めないけど、顔に出てることはなんとなくわかるよ。西の辺境の地に行けば痩せるかなと思ったんだろ。私は痩せなくても良いと思うよ。まだ授乳もしてるし、無理をしちゃダメだよ」

 リカルド様の言葉にリュカも首を縦にふる。

 今まで過保護なのはリカルド様だけだったのにリュカも参戦するのか?

 ふたりで私を甘やかさないでよ~。




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