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【閑話】決意(国王陛下視点2)
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「俺はここに来てからしばらくして、魔獣に襲われて大怪我をした。体は動かない、目も見えない。その時にリカルドはずっとこんな感じだったのかと思ったんだ。あいつが苦しんでいるそんな時に俺はあいつが俺を助けにこないとあいつを恨んでいた。その時のあいつは俺がどうなったかなんて知らないはずだ。それなのにあいつに見捨てられたなんて思っていた自分がどれほど甘ったれていたかわかって情けなかったよ」
「リカルドは意識が戻った時、皆がどうなったか気にしていた。お前が廃籍されて平民になったと聞いた時は探しに行くと言って起きあがろうとしていた。まぁ、動く事はできなかったので、従者に探して欲しいと頼んでいたがな。お前は本当は良い奴なんだ。誤解されやすいだけだと言っていたのを聞いたことがある」
本当にこいつは良い奴なのか? まぁリカルドでも見誤ることもあるんじゃないか? 私には良いやつには思えないが。
そう思ってふと隣で座る男に目をやると涙を流している。
「どうした?」
「風で目に埃が入ったのさ」
埃か。
「俺は病院に入院した。その時に隣国から魔法医師や、魔法看護師が来ていてな、こんな俺にも毎日治療をしてくれた。その時、時々俺に治療をしてくれる看護師の声が昔の婚約者とよく似ていたんで、俺はつい看護師にいろんな話をした。昔の婚約者にも酷いことを沢山したので謝りたい。リカルドにも謝りたいと。看護師に手紙を書けと言われたので、退院してから俺は昔、迷惑をかけた人や不義理をしている人たちに手紙を書いて詫びた。スルーされるとばかり思っていたが、意外と皆返事をくれた。リカルドは詫びることなど何もない、自分が力不足で申し訳なかった。いつでも戻ってきてほしいと返事をくれたよ」
リカルドらしいな。リカルドは面倒見がよく慈悲深い。
「フェノバールに戻るのか?」
「いや、俺はここにいる。心を入れ替えてここで俺のやるべきことをする。もうリカルドに後始末をしてもらうわけにはいかない。魔獣にやられた時に俺は死んだ。今の俺はやり直しの俺だ。リカルドや昔の婚約者に胸を張って会える俺になりたい。おっさんもここで自分と向き合えよ。ほんでやり直せ。リカルドやみんなに尊敬されるおっさんになれよ」
そう言うと立ち上がった。
「ほんじゃあ、行くわ。もう会うことも無いと思う。おっさん、もうリカルドを自由にしてやってくれよ、あいつはおっさんの為にがんばっただろう。もう、自分の為に、あのキツい嫁さんの為にがんばらせてやってくれよ」
後ろ向きで右手を私に振り歩き出した。
「そうだ、言い忘れてた。ここ敵さんから丸見えなんだぜ。おっさんが敵を発見する頃には敵もおっさんを発見しているから、おっさん即死だと思うわ。身を低くして隠れながら見張れよ」
はははと笑いながら山を降りていった。
いやいや、こんなところで死ぬのは嫌だ。私はとりあえず腹這いに寝そべった。
戻ったら無人で敵の襲来を監視できる様な魔道具を作り、あちこちに装着させよう。国境だけでなく、屋敷につけてもいい、それがあったら賊が入ってきたらすぐにわかる。
そして私もリカルドに詫びよう。
王妃や宰相にも詫びよう。
モダフィニル辺境伯にも詫びよう。
退位するまでは国王としてちゃんと職務を全うしよう。
退位してからも南の領地でのんびりなんてしないで次の国王をサポートできる私になろう。
50歳だけれど、やり直したい。
やり直す。まだまだやり直せる。
私は強く決意をした。
「リカルドは意識が戻った時、皆がどうなったか気にしていた。お前が廃籍されて平民になったと聞いた時は探しに行くと言って起きあがろうとしていた。まぁ、動く事はできなかったので、従者に探して欲しいと頼んでいたがな。お前は本当は良い奴なんだ。誤解されやすいだけだと言っていたのを聞いたことがある」
本当にこいつは良い奴なのか? まぁリカルドでも見誤ることもあるんじゃないか? 私には良いやつには思えないが。
そう思ってふと隣で座る男に目をやると涙を流している。
「どうした?」
「風で目に埃が入ったのさ」
埃か。
「俺は病院に入院した。その時に隣国から魔法医師や、魔法看護師が来ていてな、こんな俺にも毎日治療をしてくれた。その時、時々俺に治療をしてくれる看護師の声が昔の婚約者とよく似ていたんで、俺はつい看護師にいろんな話をした。昔の婚約者にも酷いことを沢山したので謝りたい。リカルドにも謝りたいと。看護師に手紙を書けと言われたので、退院してから俺は昔、迷惑をかけた人や不義理をしている人たちに手紙を書いて詫びた。スルーされるとばかり思っていたが、意外と皆返事をくれた。リカルドは詫びることなど何もない、自分が力不足で申し訳なかった。いつでも戻ってきてほしいと返事をくれたよ」
リカルドらしいな。リカルドは面倒見がよく慈悲深い。
「フェノバールに戻るのか?」
「いや、俺はここにいる。心を入れ替えてここで俺のやるべきことをする。もうリカルドに後始末をしてもらうわけにはいかない。魔獣にやられた時に俺は死んだ。今の俺はやり直しの俺だ。リカルドや昔の婚約者に胸を張って会える俺になりたい。おっさんもここで自分と向き合えよ。ほんでやり直せ。リカルドやみんなに尊敬されるおっさんになれよ」
そう言うと立ち上がった。
「ほんじゃあ、行くわ。もう会うことも無いと思う。おっさん、もうリカルドを自由にしてやってくれよ、あいつはおっさんの為にがんばっただろう。もう、自分の為に、あのキツい嫁さんの為にがんばらせてやってくれよ」
後ろ向きで右手を私に振り歩き出した。
「そうだ、言い忘れてた。ここ敵さんから丸見えなんだぜ。おっさんが敵を発見する頃には敵もおっさんを発見しているから、おっさん即死だと思うわ。身を低くして隠れながら見張れよ」
はははと笑いながら山を降りていった。
いやいや、こんなところで死ぬのは嫌だ。私はとりあえず腹這いに寝そべった。
戻ったら無人で敵の襲来を監視できる様な魔道具を作り、あちこちに装着させよう。国境だけでなく、屋敷につけてもいい、それがあったら賊が入ってきたらすぐにわかる。
そして私もリカルドに詫びよう。
王妃や宰相にも詫びよう。
モダフィニル辺境伯にも詫びよう。
退位するまでは国王としてちゃんと職務を全うしよう。
退位してからも南の領地でのんびりなんてしないで次の国王をサポートできる私になろう。
50歳だけれど、やり直したい。
やり直す。まだまだやり直せる。
私は強く決意をした。
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