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【閑話】贖罪(アーサー視点)
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「今頃、リカルドたちはどうしてるかな? ミディアローズ様はどう思っているだろうか?」
「オーウェン様、何が知ってるんですか?」
表面的には和解してはいるが、私はこの男があまり好きじゃない。
なんか胡散臭くて信用できない。
こいつは王家の諜報部員なんだから情報を集めるためにここにいる。その隠れ蓑としてフェノバール商会の商団を使っている。
あの日チャーリー先生に呼ばれて診療所に行くとこいつがいた。
そして、私は全てを聞いた。
こいつは魅了の魔法にかかっていなかった。
しかし、こいつもあの女が魅了の魔法を使っていることがわかったのはあの卒業パーティーの後だったらしい。
本当か? 本当はもっと前から分かっていたが何かきっかけがないと捕らえられたない。だからあの女を泳がしていたのではないのか?
まぁ、魔道士のくせに魅了の魔法を見抜けなかった私が何を言っても負け犬の遠吠えだ。
ただ、もっと早くわかっていて、手を打てていれば、リカルド様は長いこと後遺症で苦しむことはなかったんじゃないか?
ジャックさんと婚約者には違う未来があったんじゃないかと思う。
リカルド様は未だにジャックさんのことを気にしていて、移動魔法で西の辺境の地に行ったりしている。西の辺境の地はジャックさんの父親で元騎士団長だったモダフィニル侯爵が責任者になった。ジャックさんも酒を辞めまじめになっているらしい。元々まっすぐな人だ。酒と女に溺れなければ大丈夫だろう。大丈夫であってほしい。
「陛下の褒美は復権だよ。フェノバール公爵からノルスバン王国の王太子に戻すんだ」
「なんだそれ?」
「家臣として嬉しくないのかよ」
「嬉しいわけないだろう。やっとここまできて楽になったのに、今度は国の改革をやらせるつもりか?」
腹立たしい。我が国は平和だが、まだまだ良くないところは色々ある。フェノバール領を立派に立て直したリカルド様とミディア様の手腕が欲しいのか?
「悪い話じゃないと思うぜ。リカルドはあんなことがあって失脚したけどミディア様を娶り強い味方を得て今じゃ賢領主だ。貴族たちもリカルドを担ぎたがっている。今、次期国王の席は空いたままだ。国王も元々人気や人望のあったリカルドを復権させて王家の人気を不動にしたいようだしな」
なんだそれ。人気取りかよ。
「それにミディア様が王妃になったらこの国は変わるぞ。リカルドは国王の器だ。こんな田舎の領主にしておいていいのか!」
こいつはリカルド様を国王にしたいのか。
「あんた、リカルド様を国王にしたいのか?」
「あぁ、俺はリカルドを国王にしたい。俺が間抜けだったばかりにリカルドは失脚した。まさか魅了の魔法だったなんてもっと早く気がついていれば……」
リカルド様を返り咲かせる事がこいつの贖罪なのか?
「それがあんたの贖罪なのか」
「贖罪か。そんなもんじゃねーよ。俺はリカルドに国王としてこの国を動かしてもらいたいだけさ」
こいつもリカルド様の信奉者なのか?
しかし、リカルド様はこのフェノバール領になくてはならない人だ。私はどうすれば良いのだろう。
こいつにはこいつの思いがあったんだな。私はこいつをただの諜報部員だと思っていたのに。
とにかくリカルド様と話をしよう。断るのか受け入れるのかはリカルド様の思う通りでいいと思う。私はリカルド様に従うだけだから。
私は一旦自分の屋敷に戻ろうと玄関から外に出ようとしたら、突然馬車が姿を現した。
「アーサー様、ただいま。もう帰ってきちゃったの」
ミディア様が馬車の窓から顔を出しへへへと困ったように笑っている。
隣に座るリカルド様は難しい顔をして腕組みをしている。
国王の褒美が気に入らなくて帰ってきたな。
さぁ、どうする?
「オーウェン様、何が知ってるんですか?」
表面的には和解してはいるが、私はこの男があまり好きじゃない。
なんか胡散臭くて信用できない。
こいつは王家の諜報部員なんだから情報を集めるためにここにいる。その隠れ蓑としてフェノバール商会の商団を使っている。
あの日チャーリー先生に呼ばれて診療所に行くとこいつがいた。
そして、私は全てを聞いた。
こいつは魅了の魔法にかかっていなかった。
しかし、こいつもあの女が魅了の魔法を使っていることがわかったのはあの卒業パーティーの後だったらしい。
本当か? 本当はもっと前から分かっていたが何かきっかけがないと捕らえられたない。だからあの女を泳がしていたのではないのか?
まぁ、魔道士のくせに魅了の魔法を見抜けなかった私が何を言っても負け犬の遠吠えだ。
ただ、もっと早くわかっていて、手を打てていれば、リカルド様は長いこと後遺症で苦しむことはなかったんじゃないか?
ジャックさんと婚約者には違う未来があったんじゃないかと思う。
リカルド様は未だにジャックさんのことを気にしていて、移動魔法で西の辺境の地に行ったりしている。西の辺境の地はジャックさんの父親で元騎士団長だったモダフィニル侯爵が責任者になった。ジャックさんも酒を辞めまじめになっているらしい。元々まっすぐな人だ。酒と女に溺れなければ大丈夫だろう。大丈夫であってほしい。
「陛下の褒美は復権だよ。フェノバール公爵からノルスバン王国の王太子に戻すんだ」
「なんだそれ?」
「家臣として嬉しくないのかよ」
「嬉しいわけないだろう。やっとここまできて楽になったのに、今度は国の改革をやらせるつもりか?」
腹立たしい。我が国は平和だが、まだまだ良くないところは色々ある。フェノバール領を立派に立て直したリカルド様とミディア様の手腕が欲しいのか?
「悪い話じゃないと思うぜ。リカルドはあんなことがあって失脚したけどミディア様を娶り強い味方を得て今じゃ賢領主だ。貴族たちもリカルドを担ぎたがっている。今、次期国王の席は空いたままだ。国王も元々人気や人望のあったリカルドを復権させて王家の人気を不動にしたいようだしな」
なんだそれ。人気取りかよ。
「それにミディア様が王妃になったらこの国は変わるぞ。リカルドは国王の器だ。こんな田舎の領主にしておいていいのか!」
こいつはリカルド様を国王にしたいのか。
「あんた、リカルド様を国王にしたいのか?」
「あぁ、俺はリカルドを国王にしたい。俺が間抜けだったばかりにリカルドは失脚した。まさか魅了の魔法だったなんてもっと早く気がついていれば……」
リカルド様を返り咲かせる事がこいつの贖罪なのか?
「それがあんたの贖罪なのか」
「贖罪か。そんなもんじゃねーよ。俺はリカルドに国王としてこの国を動かしてもらいたいだけさ」
こいつもリカルド様の信奉者なのか?
しかし、リカルド様はこのフェノバール領になくてはならない人だ。私はどうすれば良いのだろう。
こいつにはこいつの思いがあったんだな。私はこいつをただの諜報部員だと思っていたのに。
とにかくリカルド様と話をしよう。断るのか受け入れるのかはリカルド様の思う通りでいいと思う。私はリカルド様に従うだけだから。
私は一旦自分の屋敷に戻ろうと玄関から外に出ようとしたら、突然馬車が姿を現した。
「アーサー様、ただいま。もう帰ってきちゃったの」
ミディア様が馬車の窓から顔を出しへへへと困ったように笑っている。
隣に座るリカルド様は難しい顔をして腕組みをしている。
国王の褒美が気に入らなくて帰ってきたな。
さぁ、どうする?
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