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神の采配なのか?

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 ヴェルミーナはアイリーンより多分5歳位年下だったような記憶がある。
 ヴェルミーナのいちばん上の姉のクラウディア様があの国の王弟に嫁いでいて、何度か王弟妃のところに遊びに来ていた。

 クラウディア様はとても良い人で私とも仲良くしてくれていた。
ヴェルミーナがクラウディア様の元に遊びに来た時は一緒にお茶をしたりしていた。

 クラウディア様は私が冤罪で処刑が決まった時も『アイリーンがそんなことをするわけがない。せめて陛下が戻られるまで処刑はまって欲しい』と何度も王太子殿下に面会を申し込んでくれたが門前払いをされたと聞いた。

 回復魔法をしながらふとヴェルミーナの顔を見た。

 ヴェルミーナは私を見つめ涙を流している。

「アイリーン様なのですね?」

「ヴェル……」

「やっぱりそうですわ。昔、かけていただいた回復魔法と同じエネルギーですわ」

 ヴェルミーナは私に抱きついて涙を流している。

 少し落ち着いたのか、顔を上げた。

「転生したのですか?」

「ええ。でも、転生を信じているの?」

「はい。神が復活させると申しておられました」

 神が復活させる? 私を? ヴェルミーナは話を続ける。

「あんな形でアイリーン様を失って神もお怒りでしたもの。アイリーン様が処刑されたあとからあの国は王太子と聖女が処刑されるまで雨が降り止まなかったのです。雨が上がった時、空には虹が出て、必ずアイリーンを復活させるという神託が枢機卿の元に降りたそうです。私達は皆それを楽しみにしておりました」

 王太子殿下と聖女は処刑されたの? 

「アイリーン様、あの後の事はご存知ですか?」

 ヴェルミーナは悪い笑い顔だ。

「あの後? 知らないわ。あの国はあの王太子殿下とあの聖女が結婚して……まともに政ができる訳ないと思っていたけれど処刑されていたのね」

「はい。陛下の留守中に勝手に冤罪でアイリーン様を処刑したせいで、アイリーン様を実の娘のように可愛がっていた国王も王妃様も怒り狂い、ひとり息子であった王太子殿下を廃嫡にし、王弟であった私の義兄が次の国王になりました。あの聖女はあまりにも貪欲で邪な性格だったようです。自分の欲を満たす為に、邪魔だったアイリーン様に無実の罪を着せ、処刑させたので神が怒り聖女の力を取り上げてしまったそうです。あの聖女に誑かされ、悪事に加担した貴族の男達は皆、平民に落とされました。そして、王太子殿下と聖女はアイリーン様を陥れ殺害した罪で処刑されました。それ以来、真の聖女はアイリーン様であったと、あの国ではアイリーン様の像を作り、聖女アイリーン像として皆の心の支えになっておりますのよ」

 ふふふと笑うヴェルミーナの話に私はびっくりしてしまった。

「この年になって再びアイリーン様にお会いできるなんて、神に感謝しなければなりませんわね。ワーグナー家の令嬢と姉の息子が結婚して、今はあの国の国王と王妃になっていますのよ」

 弟の娘なのだろうか? まぁ、丸く治って良かった。
 あの王太子殿下と聖女が国王と王妃になっていたら国は崩壊していただろう。

「アイリ殿、お祖母様、転生とはどういうことだ?」
 ジークヴァルトが目を丸くしたままで私達を見ている。

 ジークヴァルトのことをすっかり忘れていた。

 私はアイリ・ワーグナーの時代の話と岩倉愛莉になってからの話をジークヴァルトに話した。

 ここでヴェルミーナと会うことも神の采配なのだろうか。

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