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帰るよ。絶対

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 私とゲオルグが回復魔法をかけたばかりに王宮は大変なことになっていた。

「殿下、本気なのですか?」

「はい。本気です。元々、私より兄上の方が優秀だし、兄上が元に戻った以上、私と王太子を交代するべきでしょう?」

 レオナード殿下は力強くそう言う。

「アロイス殿下はどう言っているの?」

 アロイス殿下は元に戻りたいのだろうか?

「兄上は王太子に戻るつもりはないと拒否されている。でもそれは私に遠慮しているのだと思うのだ」

「エミーは何と?」

 私の問いに殿下は難しい顔をした。

「エミーは今のままがいいと言う……でも、エミーにとっても兄上の方が……」

 馬鹿じゃないの! 良いわけないわ。エミーとアロイス殿下は元々仲が良かったわけではないものね。

「たとえ薬のせいで正気ではなかったとしても、エミーは傷ついたのですよ。傷はそう簡単には治りません」

「ゲオルグの魔法なら?」

「無理です」

 即答した。そりゃゲオルグの魔法なら癒せるかもしれないが、レオナード殿下とエミーはお互いに思い合っている。それを引き裂くのはダメだろう。

「私は反対ですわ」

 そう言って部屋を出た。


「ねぇ、ジークはどう思う?」

 ジークヴァルトは難しい顔をしている。

「私はレオナード殿下のままでいいと思う。しかし、アロイス殿下を推す声もあるのは事実だ」

 推す声? どこの世界も同じだな。レオナード殿下では甘い汁が吸えない貴族達がアロイス殿下を押すのか? あわよくば我が娘を嫁に……みたいな感じで。

「聖女殿とアロイス殿下が結婚して次期国王、王妃にと言う声もある」

「はぁ~!! 無いわ! 無い無い。何で私よ! 何言ってるの! 私は帰るのよ」

 驚きのあまり大きな声が出た。ジークヴァルトは困った顔をしている。

「アイリ殿、もし元の世界に戻れなかったとしたら、アロイス殿下と結婚して王族になるのもいいかもしれないが……」

「嫌よ! 王族なんて絶対に嫌。もしも帰れなかったら田舎で治療院でもするわ」

 全くジークヴァルトは急に何をいうのだろう。

「じゃあ、ブランケンハイムに来ないか。田舎だし、みんな大歓迎だ」

「ブランケンハイムならいいわね。帰れなかったらジーク、私の面倒見てくれるかしら?」

「御意!」

 御意って何? ちょっと前のドクターなんとかってドラマみたいじゃない。

「でも帰るわよ。ゲオルグのお尻叩かなくちゃね」

 その前にそろそろ結界を張る魔法が使えるようになったみんなを連れてブランケンハイムに行かなきゃね。

 それが終わったら国全体に結界を張ろう。やることやってさっさと帰りたいわ。
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