21 / 34
帰るよ。絶対
しおりを挟む
私とゲオルグが回復魔法をかけたばかりに王宮は大変なことになっていた。
「殿下、本気なのですか?」
「はい。本気です。元々、私より兄上の方が優秀だし、兄上が元に戻った以上、私と王太子を交代するべきでしょう?」
レオナード殿下は力強くそう言う。
「アロイス殿下はどう言っているの?」
アロイス殿下は元に戻りたいのだろうか?
「兄上は王太子に戻るつもりはないと拒否されている。でもそれは私に遠慮しているのだと思うのだ」
「エミーは何と?」
私の問いに殿下は難しい顔をした。
「エミーは今のままがいいと言う……でも、エミーにとっても兄上の方が……」
馬鹿じゃないの! 良いわけないわ。エミーとアロイス殿下は元々仲が良かったわけではないものね。
「たとえ薬のせいで正気ではなかったとしても、エミーは傷ついたのですよ。傷はそう簡単には治りません」
「ゲオルグの魔法なら?」
「無理です」
即答した。そりゃゲオルグの魔法なら癒せるかもしれないが、レオナード殿下とエミーはお互いに思い合っている。それを引き裂くのはダメだろう。
「私は反対ですわ」
そう言って部屋を出た。
「ねぇ、ジークはどう思う?」
ジークヴァルトは難しい顔をしている。
「私はレオナード殿下のままでいいと思う。しかし、アロイス殿下を推す声もあるのは事実だ」
推す声? どこの世界も同じだな。レオナード殿下では甘い汁が吸えない貴族達がアロイス殿下を押すのか? あわよくば我が娘を嫁に……みたいな感じで。
「聖女殿とアロイス殿下が結婚して次期国王、王妃にと言う声もある」
「はぁ~!! 無いわ! 無い無い。何で私よ! 何言ってるの! 私は帰るのよ」
驚きのあまり大きな声が出た。ジークヴァルトは困った顔をしている。
「アイリ殿、もし元の世界に戻れなかったとしたら、アロイス殿下と結婚して王族になるのもいいかもしれないが……」
「嫌よ! 王族なんて絶対に嫌。もしも帰れなかったら田舎で治療院でもするわ」
全くジークヴァルトは急に何をいうのだろう。
「じゃあ、ブランケンハイムに来ないか。田舎だし、みんな大歓迎だ」
「ブランケンハイムならいいわね。帰れなかったらジーク、私の面倒見てくれるかしら?」
「御意!」
御意って何? ちょっと前のドクターなんとかってドラマみたいじゃない。
「でも帰るわよ。ゲオルグのお尻叩かなくちゃね」
その前にそろそろ結界を張る魔法が使えるようになったみんなを連れてブランケンハイムに行かなきゃね。
それが終わったら国全体に結界を張ろう。やることやってさっさと帰りたいわ。
「殿下、本気なのですか?」
「はい。本気です。元々、私より兄上の方が優秀だし、兄上が元に戻った以上、私と王太子を交代するべきでしょう?」
レオナード殿下は力強くそう言う。
「アロイス殿下はどう言っているの?」
アロイス殿下は元に戻りたいのだろうか?
「兄上は王太子に戻るつもりはないと拒否されている。でもそれは私に遠慮しているのだと思うのだ」
「エミーは何と?」
私の問いに殿下は難しい顔をした。
「エミーは今のままがいいと言う……でも、エミーにとっても兄上の方が……」
馬鹿じゃないの! 良いわけないわ。エミーとアロイス殿下は元々仲が良かったわけではないものね。
「たとえ薬のせいで正気ではなかったとしても、エミーは傷ついたのですよ。傷はそう簡単には治りません」
「ゲオルグの魔法なら?」
「無理です」
即答した。そりゃゲオルグの魔法なら癒せるかもしれないが、レオナード殿下とエミーはお互いに思い合っている。それを引き裂くのはダメだろう。
「私は反対ですわ」
そう言って部屋を出た。
「ねぇ、ジークはどう思う?」
ジークヴァルトは難しい顔をしている。
「私はレオナード殿下のままでいいと思う。しかし、アロイス殿下を推す声もあるのは事実だ」
推す声? どこの世界も同じだな。レオナード殿下では甘い汁が吸えない貴族達がアロイス殿下を押すのか? あわよくば我が娘を嫁に……みたいな感じで。
「聖女殿とアロイス殿下が結婚して次期国王、王妃にと言う声もある」
「はぁ~!! 無いわ! 無い無い。何で私よ! 何言ってるの! 私は帰るのよ」
驚きのあまり大きな声が出た。ジークヴァルトは困った顔をしている。
「アイリ殿、もし元の世界に戻れなかったとしたら、アロイス殿下と結婚して王族になるのもいいかもしれないが……」
「嫌よ! 王族なんて絶対に嫌。もしも帰れなかったら田舎で治療院でもするわ」
全くジークヴァルトは急に何をいうのだろう。
「じゃあ、ブランケンハイムに来ないか。田舎だし、みんな大歓迎だ」
「ブランケンハイムならいいわね。帰れなかったらジーク、私の面倒見てくれるかしら?」
「御意!」
御意って何? ちょっと前のドクターなんとかってドラマみたいじゃない。
「でも帰るわよ。ゲオルグのお尻叩かなくちゃね」
その前にそろそろ結界を張る魔法が使えるようになったみんなを連れてブランケンハイムに行かなきゃね。
それが終わったら国全体に結界を張ろう。やることやってさっさと帰りたいわ。
5
お気に入りに追加
730
あなたにおすすめの小説
侯爵令嬢リリアンは(自称)悪役令嬢である事に気付いていないw
さこの
恋愛
「喜べリリアン! 第一王子の婚約者候補におまえが挙がったぞ!」
ある日お兄様とサロンでお茶をしていたらお父様が突撃して来た。
「良かったな! お前はフレデリック殿下のことを慕っていただろう?」
いえ! 慕っていません!
このままでは父親と意見の相違があるまま婚約者にされてしまう。
どうしようと考えて出した答えが【悪役令嬢に私はなる!】だった。
しかしリリアンは【悪役令嬢】と言う存在の解釈の仕方が……
*設定は緩いです
【完結】愛され令嬢は、死に戻りに気付かない
かまり
恋愛
公爵令嬢エレナは、婚約者の王子と聖女に嵌められて処刑され、死に戻るが、
それを夢だと思い込んだエレナは考えなしに2度目を始めてしまう。
しかし、なぜかループ前とは違うことが起きるため、エレナはやはり夢だったと確信していたが、
結局2度目も王子と聖女に嵌められる最後を迎えてしまった。
3度目の死に戻りでエレナは聖女に勝てるのか?
聖女と婚約しようとした王子の目に、涙が見えた気がしたのはなぜなのか?
そもそも、なぜ死に戻ることになったのか?
そして、エレナを助けたいと思っているのは誰なのか…
色んな謎に包まれながらも、王子と幸せになるために諦めない、
そんなエレナの逆転勝利物語。
雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜
川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。
前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。
恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。
だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。
そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。
「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」
レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。
実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。
女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。
過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。
二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。
【完結】前世を思い出したら価値観も運命も変わりました
暁山 からす
恋愛
完結しました。
読んでいただいてありがとうございました。
ーーーーーーーーーーーー
公爵令嬢のマリッサにはピートという婚約者がいた。
マリッサは自身の容姿に自信がなくて、美男子であるピートに引目を感じてピートの言うことはなんでも受け入れてきた。
そして学園卒業間近になったある日、マリッサの親友の男爵令嬢アンナがピートの子供を宿したのでマリッサと結婚後にアンナを第二夫人に迎えるように言ってきて‥‥。
今までのマリッサならば、そんな馬鹿げた話も受け入れただろうけど、前世を思したマリッサは‥‥?
ーーーーーーーーーーーー
設定はゆるいです
ヨーロッパ風ファンタジーぽい世界
完結まで毎日更新
全13話
必要ないと判断したのはそちらでしょう?
風見ゆうみ
恋愛
守護の聖女であるわたし、リンファ・テラエル伯爵令嬢は、ある日、婚約者である、アウトン国のサウロン陛下から婚約破棄を告げられる。
陛下は癒やしの聖女と呼ばれているチーチルと恋仲だったため、彼女と結婚したかったのだ。
陛下に未練などないわたしは、婚約破棄を認め、自分の家族の元へ帰る事に決めた。
わたしが旅立ってから、静かになっていた魔物の動きがアウトン国の周りでだけ活発になり、わたしを呼び戻そうと焦る陛下達。
一方、その頃のわたしは祖国の幼なじみである第二王子と再会し、そこで聖獣を名乗る犬と出会う。
※8月25日完結予定です。
※作者独自の異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
悪役令嬢は王子の溺愛を終わらせない~ヒロイン遭遇で婚約破棄されたくないので、彼と国外に脱出します~
可児 うさこ
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生した。第二王子の婚約者として溺愛されて暮らしていたが、ヒロインが登場。第二王子はヒロインと幼なじみで、シナリオでは真っ先に攻略されてしまう。婚約破棄されて幸せを手放したくない私は、彼に言った。「ハネムーン(国外脱出)したいです」。私の願いなら何でも叶えてくれる彼は、すぐに手際を整えてくれた。幸せなハネムーンを楽しんでいると、ヒロインの影が追ってきて……※ハッピーエンドです※
シナリオ通り追放されて早死にしましたが幸せでした
黒姫
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢に転生しました。神様によると、婚約者の王太子に断罪されて極北の修道院に幽閉され、30歳を前にして死んでしまう設定は変えられないそうです。さて、それでも幸せになるにはどうしたら良いでしょうか?(2/16 完結。カテゴリーを恋愛に変更しました。)
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる