【完結】転生の次は召喚ですか? 私は聖女なんかじゃありません。いい加減にして下さい!

金峯蓮華

文字の大きさ
上 下
13 / 34

感謝されちゃいました

しおりを挟む
 私達はブランケンハイム邸に戻った。

 ちょっと年をとったジークヴァルトみたいなクマさん系の男性と細身でスタイル抜群の美魔女が出迎えてくれた。

「聖女殿、この度は息子達ばかりでなく、我が領地の怪我人や病人を治してくれて感謝する。本当にありがとう」

 大きなクマさんは私の手を握り号泣中。クマさん達は泣き虫なのだろうか?

 隣にいた美魔女も目をうるうるさせながら私を見つめる。

「聖女様は我がブランケンハイム家の恩人。我がブランケンハイム家は末代まで聖女様にお仕えいたします」

 いやいや、いらんて。末代までって言われても、私日本に帰るんだし。

「母上、アイリ殿が困っております。アイリ殿は我が主人。私はアイリ殿に生涯を捧げる覚悟でおります」

「当たり前です。ブランケンハイムの人間は聖女様の盾にならなくてはなりません」

 いやいやだから重いって。この重い母子なんとかして~。

 殿下は隣でクスクス笑っている。

「アイリ殿、ブランケンハイム家は皆熱いのでな。諦めてくれ」

「はー」

 私はアルカイックスマイルで曖昧な返事をした。

 屋敷の周りにはものすごい数の人がいて、私はみんなからものすごい歓待をうけた。

 みんな野菜や果物や魚や肉を手に持っている。お供えか? しかもほとんどの人が号泣している。

 そっか、さっきクマママが言っていたわね。回復魔法か。みんなに喜んでもらえてよかったわ。

「アイリ殿、皆あなた様に感謝しています」

 ジークヴァルトはまた私の前で跪く。

「ジークが提案したからだわ。私はジークが言ってくれなければこの人達に回復魔法をかけることはなかったもの。感謝なら私ではなくジークにしていただきたいわ」

「そ、そんなことはありません。私などなんの力も……」

 ジークヴァルトは赤い顔になった。照れているのかしら?
 
 とにかく、ジークヴァルトの手柄にしておこう。ここにいる騎士全員に騎士の誓いなんてされたら大変だ。

 しかし、前世に生きていた世界では回復魔法は当たり前に使われていた。そんなに感謝されても困る。

 まぁ、魔法の無い日本でこんなことやったらマスコミに追い回されて大変だろうが、この国はまだ魔法があるし、マスコミはないからよかった。

「聖女殿」

 後ろから呼ばれて振り向くと豹系の弟が立っていた。確かリュディガーだったかな。

「先程はありがとうございました。またこの手が使えるなんて夢のようです。もう戦いに参加できないと腐っていましたが、聖女殿のおかげで再び騎士として戦うことができます」

 もう、戦い好きなんだな。私は誰も戦わせたくない。

「リュディガー卿、命は落としてはいけませんよ。怪我なら私がいる間はいくらでも治せますが、でも、亡くなった人を生きかえらすことはできません。死なないでね」

 戦うことだけが騎士の仕事ではない。早く魔獣や魔物が入り込まないようにしないといけない。


 ブランケンハイム家のランチはかなりのボリュームだったがとても美味しかった。

 クマママはこれを食べてあんなにスリムだなんてびっくりだ。今度来た時にゆっくり美魔女の秘訣を聞こう。

 領地の皆さんから沢山もらったお土産はマジックボックスに入れた。王宮に戻ってからみんなで食べるとしよう。

 さぁ、そろそろお城に戻りましょうか。

 みんなに再会を約束し、私達は光に包まれ粒子となり消えた。



しおりを挟む
感想 21

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います

榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。 なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね? 【ご報告】 書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m 発売日等は現在調整中です。

転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです

青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく 公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった 足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で…… エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた 修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく…… 4/20ようやく誤字チェックが完了しました もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m いったん終了します 思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑) 平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと 気が向いたら書きますね

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

雪解けの白い結婚 〜触れることもないし触れないでほしい……からの純愛!?〜

川奈あさ
恋愛
セレンは前世で夫と友人から酷い裏切りを受けたレスられ・不倫サレ妻だった。 前世の深い傷は、転生先の心にも残ったまま。 恋人も友人も一人もいないけれど、大好きな魔法具の開発をしながらそれなりに楽しい仕事人生を送っていたセレンは、祖父のために結婚相手を探すことになる。 だけど凍り付いた表情は、舞踏会で恐れられるだけで……。 そんな時に出会った壁の花仲間かつ高嶺の花でもあるレインに契約結婚を持ちかけられる。 「私は貴女に触れることもないし、私にも触れないでほしい」 レインの条件はひとつ、触らないこと、触ることを求めないこと。 実はレインは女性に触れられると、身体にひどいアレルギー症状が出てしまうのだった。 女性アレルギーのスノープリンス侯爵 × 誰かを愛することが怖いブリザード令嬢。 過去に深い傷を抱えて、人を愛することが怖い。 二人がゆっくり夫婦になっていくお話です。

乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?

シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。 ……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。

さよなら、皆さん。今宵、私はここを出ていきます

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【復讐の為、今夜私は偽の家族と婚約者に別れを告げる―】 私は伯爵令嬢フィーネ・アドラー。優しい両親と18歳になったら結婚する予定の婚約者がいた。しかし、幸せな生活は両親の突然の死により、もろくも崩れ去る。私の後見人になると言って城に上がり込んできた叔父夫婦とその娘。私は彼らによって全てを奪われてしまった。愛する婚約者までも。 もうこれ以上は限界だった。復讐する為、私は今夜皆に別れを告げる決意をした―。 ※マークは残酷シーン有り ※(他サイトでも投稿中)

聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思うので、第二の人生を始めたい! P.S.逆ハーがついてきました。

三月べに
恋愛
 聖女の座を奪われてしまったけど、私が真の聖女だと思う。だって、高校時代まで若返っているのだもの。  帰れないだって? じゃあ、このまま第二の人生スタートしよう!  衣食住を確保してもらっている城で、魔法の勉強をしていたら、あらら?  何故、逆ハーが出来上がったの?

処理中です...