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25話 母発見
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ゲオルグか移動魔法で戻ってきたのは、次の日の早朝だった。
母のローザリアは西の辺境の地で発見された。ローザリアは国境にある監視塔の最上階にたったひとりでいたらしい。
特に危害を加えられたような様子もなく、王宮から消えた時のままだったという。
ラートガーやリュディガーの時と同じだ。
ゲオルグの話では、ローザリアを移動魔法で王宮に戻したあと、ラインハルトが送り込んだクラウベルクの魔導士達が、ローザリアには守護の魔法をかけた。そして王宮全体にも結界を強く張った。
「陛下が次は自分だと頭を抱えておいでです。犯人に目的はいったい何なのでしょうね?」
ゲオルグは首を捻っている。
次は自分だと頭を抱えているなんてアーベルは全く何をしていのだ。本来なら先頭に立って犯人探しをしなければならないのではないのか? 弟のアーベルはもう少しマシだった気がするのだが、父のアーベルは本当にもうお父様(今はお祖父様)にそっくり過ぎて情けなくなる。
ローザリアにプロポーズした時に「私が守ります」と言ったのは誰だ?
全く守ってない。
私は頭の中でアーベルをディスっていた。
「遊んでいるのではないか?」
気配もないのに急にラインハルトの声がしたので驚いた。
「殿下、いたのですか?」
ゲオルグが声を掛けるとラインハルトはふっと笑った。
「普段から気配は消しているからね。犯人は面白がっているのかもしれない。エデルだけが狙われていると思い込んでいて、エデルがいなくなったあと、また警備が緩くなったバウムガルテンに対して挑発しているような気がする」
確かにそれはあるかも。
私はゲオルグの顔を見た。
「それでお母様はどんな様子なのですか?」
ゲオルグは小さく頷く。
「妃殿下はしっかりされています。魔導士達から守護魔法をかけてもらったので安心されたようです。エデル様には心配いらないと伝えてと頼まれました」
それなら大丈夫か。ローザリアがそう言うのなら安心だ。そにしても犯人の目的は何なのだろう?
「今、残留魔力から犯人を探しているので、なんらかのことがわかると思います。それにダウムの影達も調べているので、そちらの方からも何か出るかもしれません。今は待ちましょう」
ゲオルグの言葉に皆が頷いた。
◇◇◇
ハウルと一緒に学校に行くと、エルネスティーネが飛んできた。
「エデル! 聞いたわ」
エルネスティーネは神妙な顔をしているように見える。
「ティーネ、内密な話なのに何で知っている?」
エルネスティーネの肩に手を置いたハウルは彼女を睨みつけた。
「私を誰だと思っているの。ダウムの娘よ」
いやいや、胸を張られても。
エルネスティーネは遮音魔法をかける。
「うちが独自で掴んだネタがあるの。ギルベルト陛下には報告済みだけど、今度の件はうちの魔法省が絡んでるみたいなの」
「魔法省がか?」
ハウルは目を見開いている。
確かに社会見学で行った時の魔法省は瘴気のようなものかあった。それか?
「詳しい話は授業が終わってから聞きましょう。ライ殿下が今、裏をとっているわ。確認ができたら話をしてくれるみたいよ」
エルネスティーネの言葉にハウルは眉根を寄せた。
「全く兄上はエデルのことになると素早いな」
「まぁ、あんたに勝ち目はないわね」
エルネスティーネは口角を上げるとハウルはふっと笑った。
「勝ち目とかそんなんじゃないよ。私は兄上を応援することにしたんだ。エデルの義弟も悪くないだろう」
えっ? いや、そんなこと言われても。私はまだ決めてないのに。
ーキンコンカンコン
予鈴が鳴ったと同時にエルネスティーネが私の腕を掴んだ。
「とにかく授業にいきましょう。ハウはあっち。放課後またね」
私達は魔法科の校舎に向かって駆け出した。
母のローザリアは西の辺境の地で発見された。ローザリアは国境にある監視塔の最上階にたったひとりでいたらしい。
特に危害を加えられたような様子もなく、王宮から消えた時のままだったという。
ラートガーやリュディガーの時と同じだ。
ゲオルグの話では、ローザリアを移動魔法で王宮に戻したあと、ラインハルトが送り込んだクラウベルクの魔導士達が、ローザリアには守護の魔法をかけた。そして王宮全体にも結界を強く張った。
「陛下が次は自分だと頭を抱えておいでです。犯人に目的はいったい何なのでしょうね?」
ゲオルグは首を捻っている。
次は自分だと頭を抱えているなんてアーベルは全く何をしていのだ。本来なら先頭に立って犯人探しをしなければならないのではないのか? 弟のアーベルはもう少しマシだった気がするのだが、父のアーベルは本当にもうお父様(今はお祖父様)にそっくり過ぎて情けなくなる。
ローザリアにプロポーズした時に「私が守ります」と言ったのは誰だ?
全く守ってない。
私は頭の中でアーベルをディスっていた。
「遊んでいるのではないか?」
気配もないのに急にラインハルトの声がしたので驚いた。
「殿下、いたのですか?」
ゲオルグが声を掛けるとラインハルトはふっと笑った。
「普段から気配は消しているからね。犯人は面白がっているのかもしれない。エデルだけが狙われていると思い込んでいて、エデルがいなくなったあと、また警備が緩くなったバウムガルテンに対して挑発しているような気がする」
確かにそれはあるかも。
私はゲオルグの顔を見た。
「それでお母様はどんな様子なのですか?」
ゲオルグは小さく頷く。
「妃殿下はしっかりされています。魔導士達から守護魔法をかけてもらったので安心されたようです。エデル様には心配いらないと伝えてと頼まれました」
それなら大丈夫か。ローザリアがそう言うのなら安心だ。そにしても犯人の目的は何なのだろう?
「今、残留魔力から犯人を探しているので、なんらかのことがわかると思います。それにダウムの影達も調べているので、そちらの方からも何か出るかもしれません。今は待ちましょう」
ゲオルグの言葉に皆が頷いた。
◇◇◇
ハウルと一緒に学校に行くと、エルネスティーネが飛んできた。
「エデル! 聞いたわ」
エルネスティーネは神妙な顔をしているように見える。
「ティーネ、内密な話なのに何で知っている?」
エルネスティーネの肩に手を置いたハウルは彼女を睨みつけた。
「私を誰だと思っているの。ダウムの娘よ」
いやいや、胸を張られても。
エルネスティーネは遮音魔法をかける。
「うちが独自で掴んだネタがあるの。ギルベルト陛下には報告済みだけど、今度の件はうちの魔法省が絡んでるみたいなの」
「魔法省がか?」
ハウルは目を見開いている。
確かに社会見学で行った時の魔法省は瘴気のようなものかあった。それか?
「詳しい話は授業が終わってから聞きましょう。ライ殿下が今、裏をとっているわ。確認ができたら話をしてくれるみたいよ」
エルネスティーネの言葉にハウルは眉根を寄せた。
「全く兄上はエデルのことになると素早いな」
「まぁ、あんたに勝ち目はないわね」
エルネスティーネは口角を上げるとハウルはふっと笑った。
「勝ち目とかそんなんじゃないよ。私は兄上を応援することにしたんだ。エデルの義弟も悪くないだろう」
えっ? いや、そんなこと言われても。私はまだ決めてないのに。
ーキンコンカンコン
予鈴が鳴ったと同時にエルネスティーネが私の腕を掴んだ。
「とにかく授業にいきましょう。ハウはあっち。放課後またね」
私達は魔法科の校舎に向かって駆け出した。
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