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9話 クラウベルク王国に到着しました
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私達が到着したのはクラウベルク王国の王宮内、王家のプライベートゾーンにあるギルベルト陛下のサロンだった。
到着の時間を知らせていたので出迎えるために待っていてくれたらしい。
私の記憶より、少し歳をとった感じのギルベルト陛下とあの頃より綺麗になったヴェルミーナが微笑んでいる。
ギルベルト陛下が膝を降り両手を広げている。
「エデル、おかえり。待っていたよ」
「エデル、本当にエデルなの? あなたが暗殺されたと聞いた時は涙が止まらなかったわ。こうやってまた生まれ変わってここに来てくれたなんて夢みたい」
ヴェルミーナはギルベルト殿下を押しのけて私を抱きしめた。
「私が本当に生まれ変わりだとわかるのですか?」
「当たり前じゃない。私達はクラウベルク人よ。生まれつき魔力が強いの。あなたがエデルの生まれ変わりでエデルの記憶を持っているなんて一目見ればわかるわ。バウムガルテンでは記憶があることを隠していたみたいだけれど、私達には通用しないわよ」
ヴェルミーナは私にウインクをした。
さすが、魔法大国のクラウベルク人は凄い。魔力でそんなことも見抜けるのだな。
「バウムガルテンでは、記憶もなく、全くの別人と思ってもらう方が生活しやすいと思い、そうしていたのです」
ヴェルミーナはくすりと笑った。
「そうね。あなたが前世の記憶があるとわかったら、アーベル陛下はまたあなたを女王にしようとするわね。公務も丸投げにされたら困っちゃうものね」
さすがヴェルミーナ。よくわかっている。
「はい。ですので私が前世の記憶があることはここだけの秘密でお願いします」
「わかったわ。でもプライベートな時はそんなかしこまった話し方はしないで昔のように話してね」
「ヴェル、ありがとう。また会えて嬉しいわ」
「エデルと同じ話し方だわ。姿は小さいエデルだけど中身はあのエデルなのね」
ヴェルミーナは興奮して私の顔を触りまくる。
「ヴェル、それくらいにしてあげなさい。エデルは中身はあのエデルだが、器はまだ子供なんだ。うちのラインハルトより年下なんだよ」
ギルベルト陛下はヴェルミーナを見てクスクスと笑っている。
「子供がいるのですか?」
「あぁ、嫡男のラインハルト。今は9歳だ。その下にもうひとり男児がいる。ハウル7歳だ。そしてその下がアロイス4歳だ」
私よりひとつ上とひとつ下か、そして4歳下か。
ギルベルト陛下は私の耳元に口を寄せ、小声で囁いた。
「ラインハルトはライムントの生まれ変わりだ。ただ今のところ前世の記憶はない。エデルに会ったら思い出すかもしれないな」
ライムントが生まれ変わっている。私はギルベルト陛下の言葉に心臓をきゅっと掴まれたような気がした。
「ねぇ、ギル、ライとエデルを結婚させるのはどうかしら? どちらも王族だし、問題ないわよね?」
ヴェルミーナはややこしいことを言いだした。
「それは願ってもないことだが、そのことはふたりに任そう」
ヴェルミーナは私を抱きしめたまま離そうとしない。
「ヴェル、そろそろ離してやりなさい。エデルが窮屈そうだ」
「嫌よ。離したら、エデルがまたどこかに行っちゃいそうだもの。もう絶対離さないわ」
ここには超過保護がいたな。私は苦笑いをするしかなかった。
「エデル、部屋に案内するわ。その後ふたりでお茶しましょうね」
ヴェルミーナは楽しそうにしている。
「ヴェル、あんまりくっつくと嫌われるぞ」
ギルベルト陛下はそう言いながら楽しそうだ。
「はいはい。わかったわ。じゃあエデル行きましょうね」
ヴェルミーナは私の手を取り、部屋の外に出た。
王宮のプライベートゾーンなのに部屋の外には護衛騎士が待機している。どうせ影もいっぱいいるのだろう。
「エデルの部屋は前と同じよ。隣はメアリーとルドルフの部屋、これも前と同じ。反対側の隣はゲオルグの部屋、向かいは護衛のトムとジェリーの部屋よ」
ヴェルミーナはふふふと笑う。
「私ね、娘が欲しかったのだけれど、生まれたのは息子ばっかりでしょう。だからエデルがこの国にいる間は溺愛しちゃうわよ」
親友からの溺愛か~。なんだか変な感じだわね。
案内された部屋は前世のエデルガルトがこの国に留学していた時と同じ部屋だった。落ち着いた感じでベッドルームとサロンの二間続きの部屋だ。浴室やお手洗いもある。前と同じで侍女や護衛の部屋も隣にある。
ルドルフ、メアリー、ゲオルグ。そしてトーマスとジェフリーも一緒に来ているので側にいてもらえると安心だし何かと便利だ。
「良いお部屋をありがとう。すごく嬉しいわ」
「良かった。前よりちょっと可愛くしたの。荷物はさっきからメアリー達が片付けてくれていたから、もうクローゼットに入っているわ。メアリーやルドルフともまた会えて本当に嬉しいわ」
「そうね。前に留学していた時もメアリーとルドルフが一緒だったものね」
ヴェルミーナは私達を本当に歓迎してくれているようだ。
私は少し楽なドレスに着替えてから、ベルミーナの部屋のサロンでお茶をすることになった。
ヴェルミーナは沢山お菓子を用意してくれている。
「身体は8歳だからお菓子がいいかと思って用意したのだけれど、飲みものお茶でいいかしら? 果実水もあるけど……」
「ありがとう。お茶で大丈夫よ」
侍女がお茶をいれてくれた。
ヴェルミーナの侍女は実家からついてきている。留学時代も何度も会っているので良く知っているカレンだ。もちろんメアリーとも仲が良い。私の事情もわかっているのでスムーズだ。
本来なら8歳の子供が王太子妃とタメ口で話すなんてあり得ない。外では気をつけないといけない。
「でも、本当に生まれ変わったのね。しかも前の記憶が全部あるなんて凄いわね。亡くなる前に神様にお願いとかしたの?」
ヴェルミーナは不思議そうに私に聞く。
「うん、生き返らせろとは言ったんだけどね。まさか生まれ変わるとはね。しかもアーベルとローザの娘よ」
私はため息をついた。
ヴェルミーナはマカロンを頬張りクスッと笑う。
「神様も心配だったんじゃない? アーベル陛下はなんだか頼りないじゃない。ライも死んじゃったし」
「もう、ほんとに男はだめね」
マカロンを頬張り、私は大きなため息をついた。
以前の私は魔法は使えることは使えたがそれほど魔力は強くなかった。我が国は貴族が生活魔法を使うことができるくらいでクラウベルク王国程魔法が発達していない。それゆえに強い魔力を持っている者もあまりいなかった。
ところが生まれ変わった私は色々な属性の魔法を使うことができる。魔力もかなりの量らしい。ゲオルグが鑑定の魔法で私を鑑定し、それがわかったのだ。だからこそ、クラウベルク王国で腕を上げたい。
クラウベルク王国で新しい魔法を学ぶために留学したが、もうひとつの目的は私を狙っている犯人探しでもある。私を亡き者にして喜ぶのはライムントに懸想していた令嬢の可能性もある。
なかなか我が国で見つからないので目先を変えてみることにした。まぁ、犯人にぶち当たらなくとも、楽しい留学生活がおくれればそれはそれでいいのではないかと思う。
少しは今のエデルガルトの生活も楽しみたい。
私はまだ8歳なのだ。
8歳の生活は自国にいてはなかなかできない。
ここでも微妙だが、まだ自国よりはマシだろう。
「ねぇ、エデル、同世代の友達はいるの?」
ベルミーナは三つ目のマカロンを頬張ったらあと、私に聞いた。
「いないわ。自国では執務が忙しくて遊ぶ暇なんかないもの。それに世間の8歳と話が合わないと思うわ」
「なんだか勿体無いわね。せっかく生まれ変わったのだし、交流してみては? 今度息子達と同世代の子供達を集めてお茶会をするの。エデルも是非出てよ」
「お妃様候補を集めるの?」
「そう言うわけでもないんだけどね」
なにやら含みのある言い方だ。
ヴェルミーナは王子ばかり3人いる。今は妊娠中らしいが、魔法で鑑定したらまた王子だと言われたようだ。娘が欲しかったベルミーナは、早く息子達の婚約者を決めて可愛がりたかったようだが、私が来たので、可愛がるターゲットを私にしたという。
だから婚約者はまだ決めなくてもよくなったらしい。
「そうね。参加してみようかな。同世代の子供達と話してみるのも面白そうだわね」
「きっと何か閃いちゃうかも? ふふふ。その前にうちの息子達にも会ってね。あとで紹介するわ」
いたずらっ子のような口調でウインクをした。
到着の時間を知らせていたので出迎えるために待っていてくれたらしい。
私の記憶より、少し歳をとった感じのギルベルト陛下とあの頃より綺麗になったヴェルミーナが微笑んでいる。
ギルベルト陛下が膝を降り両手を広げている。
「エデル、おかえり。待っていたよ」
「エデル、本当にエデルなの? あなたが暗殺されたと聞いた時は涙が止まらなかったわ。こうやってまた生まれ変わってここに来てくれたなんて夢みたい」
ヴェルミーナはギルベルト殿下を押しのけて私を抱きしめた。
「私が本当に生まれ変わりだとわかるのですか?」
「当たり前じゃない。私達はクラウベルク人よ。生まれつき魔力が強いの。あなたがエデルの生まれ変わりでエデルの記憶を持っているなんて一目見ればわかるわ。バウムガルテンでは記憶があることを隠していたみたいだけれど、私達には通用しないわよ」
ヴェルミーナは私にウインクをした。
さすが、魔法大国のクラウベルク人は凄い。魔力でそんなことも見抜けるのだな。
「バウムガルテンでは、記憶もなく、全くの別人と思ってもらう方が生活しやすいと思い、そうしていたのです」
ヴェルミーナはくすりと笑った。
「そうね。あなたが前世の記憶があるとわかったら、アーベル陛下はまたあなたを女王にしようとするわね。公務も丸投げにされたら困っちゃうものね」
さすがヴェルミーナ。よくわかっている。
「はい。ですので私が前世の記憶があることはここだけの秘密でお願いします」
「わかったわ。でもプライベートな時はそんなかしこまった話し方はしないで昔のように話してね」
「ヴェル、ありがとう。また会えて嬉しいわ」
「エデルと同じ話し方だわ。姿は小さいエデルだけど中身はあのエデルなのね」
ヴェルミーナは興奮して私の顔を触りまくる。
「ヴェル、それくらいにしてあげなさい。エデルは中身はあのエデルだが、器はまだ子供なんだ。うちのラインハルトより年下なんだよ」
ギルベルト陛下はヴェルミーナを見てクスクスと笑っている。
「子供がいるのですか?」
「あぁ、嫡男のラインハルト。今は9歳だ。その下にもうひとり男児がいる。ハウル7歳だ。そしてその下がアロイス4歳だ」
私よりひとつ上とひとつ下か、そして4歳下か。
ギルベルト陛下は私の耳元に口を寄せ、小声で囁いた。
「ラインハルトはライムントの生まれ変わりだ。ただ今のところ前世の記憶はない。エデルに会ったら思い出すかもしれないな」
ライムントが生まれ変わっている。私はギルベルト陛下の言葉に心臓をきゅっと掴まれたような気がした。
「ねぇ、ギル、ライとエデルを結婚させるのはどうかしら? どちらも王族だし、問題ないわよね?」
ヴェルミーナはややこしいことを言いだした。
「それは願ってもないことだが、そのことはふたりに任そう」
ヴェルミーナは私を抱きしめたまま離そうとしない。
「ヴェル、そろそろ離してやりなさい。エデルが窮屈そうだ」
「嫌よ。離したら、エデルがまたどこかに行っちゃいそうだもの。もう絶対離さないわ」
ここには超過保護がいたな。私は苦笑いをするしかなかった。
「エデル、部屋に案内するわ。その後ふたりでお茶しましょうね」
ヴェルミーナは楽しそうにしている。
「ヴェル、あんまりくっつくと嫌われるぞ」
ギルベルト陛下はそう言いながら楽しそうだ。
「はいはい。わかったわ。じゃあエデル行きましょうね」
ヴェルミーナは私の手を取り、部屋の外に出た。
王宮のプライベートゾーンなのに部屋の外には護衛騎士が待機している。どうせ影もいっぱいいるのだろう。
「エデルの部屋は前と同じよ。隣はメアリーとルドルフの部屋、これも前と同じ。反対側の隣はゲオルグの部屋、向かいは護衛のトムとジェリーの部屋よ」
ヴェルミーナはふふふと笑う。
「私ね、娘が欲しかったのだけれど、生まれたのは息子ばっかりでしょう。だからエデルがこの国にいる間は溺愛しちゃうわよ」
親友からの溺愛か~。なんだか変な感じだわね。
案内された部屋は前世のエデルガルトがこの国に留学していた時と同じ部屋だった。落ち着いた感じでベッドルームとサロンの二間続きの部屋だ。浴室やお手洗いもある。前と同じで侍女や護衛の部屋も隣にある。
ルドルフ、メアリー、ゲオルグ。そしてトーマスとジェフリーも一緒に来ているので側にいてもらえると安心だし何かと便利だ。
「良いお部屋をありがとう。すごく嬉しいわ」
「良かった。前よりちょっと可愛くしたの。荷物はさっきからメアリー達が片付けてくれていたから、もうクローゼットに入っているわ。メアリーやルドルフともまた会えて本当に嬉しいわ」
「そうね。前に留学していた時もメアリーとルドルフが一緒だったものね」
ヴェルミーナは私達を本当に歓迎してくれているようだ。
私は少し楽なドレスに着替えてから、ベルミーナの部屋のサロンでお茶をすることになった。
ヴェルミーナは沢山お菓子を用意してくれている。
「身体は8歳だからお菓子がいいかと思って用意したのだけれど、飲みものお茶でいいかしら? 果実水もあるけど……」
「ありがとう。お茶で大丈夫よ」
侍女がお茶をいれてくれた。
ヴェルミーナの侍女は実家からついてきている。留学時代も何度も会っているので良く知っているカレンだ。もちろんメアリーとも仲が良い。私の事情もわかっているのでスムーズだ。
本来なら8歳の子供が王太子妃とタメ口で話すなんてあり得ない。外では気をつけないといけない。
「でも、本当に生まれ変わったのね。しかも前の記憶が全部あるなんて凄いわね。亡くなる前に神様にお願いとかしたの?」
ヴェルミーナは不思議そうに私に聞く。
「うん、生き返らせろとは言ったんだけどね。まさか生まれ変わるとはね。しかもアーベルとローザの娘よ」
私はため息をついた。
ヴェルミーナはマカロンを頬張りクスッと笑う。
「神様も心配だったんじゃない? アーベル陛下はなんだか頼りないじゃない。ライも死んじゃったし」
「もう、ほんとに男はだめね」
マカロンを頬張り、私は大きなため息をついた。
以前の私は魔法は使えることは使えたがそれほど魔力は強くなかった。我が国は貴族が生活魔法を使うことができるくらいでクラウベルク王国程魔法が発達していない。それゆえに強い魔力を持っている者もあまりいなかった。
ところが生まれ変わった私は色々な属性の魔法を使うことができる。魔力もかなりの量らしい。ゲオルグが鑑定の魔法で私を鑑定し、それがわかったのだ。だからこそ、クラウベルク王国で腕を上げたい。
クラウベルク王国で新しい魔法を学ぶために留学したが、もうひとつの目的は私を狙っている犯人探しでもある。私を亡き者にして喜ぶのはライムントに懸想していた令嬢の可能性もある。
なかなか我が国で見つからないので目先を変えてみることにした。まぁ、犯人にぶち当たらなくとも、楽しい留学生活がおくれればそれはそれでいいのではないかと思う。
少しは今のエデルガルトの生活も楽しみたい。
私はまだ8歳なのだ。
8歳の生活は自国にいてはなかなかできない。
ここでも微妙だが、まだ自国よりはマシだろう。
「ねぇ、エデル、同世代の友達はいるの?」
ベルミーナは三つ目のマカロンを頬張ったらあと、私に聞いた。
「いないわ。自国では執務が忙しくて遊ぶ暇なんかないもの。それに世間の8歳と話が合わないと思うわ」
「なんだか勿体無いわね。せっかく生まれ変わったのだし、交流してみては? 今度息子達と同世代の子供達を集めてお茶会をするの。エデルも是非出てよ」
「お妃様候補を集めるの?」
「そう言うわけでもないんだけどね」
なにやら含みのある言い方だ。
ヴェルミーナは王子ばかり3人いる。今は妊娠中らしいが、魔法で鑑定したらまた王子だと言われたようだ。娘が欲しかったベルミーナは、早く息子達の婚約者を決めて可愛がりたかったようだが、私が来たので、可愛がるターゲットを私にしたという。
だから婚約者はまだ決めなくてもよくなったらしい。
「そうね。参加してみようかな。同世代の子供達と話してみるのも面白そうだわね」
「きっと何か閃いちゃうかも? ふふふ。その前にうちの息子達にも会ってね。あとで紹介するわ」
いたずらっ子のような口調でウインクをした。
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