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おまけ
人生が変わったなぁ。(ロイス・トワレード視点)
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5年前、私は我が国の第3王子だったロベルト殿下と一緒にシンバレッド王国に留学していた。
留学は楽しかった。毎日色んなことがあった。
しかし、私はかの国の王女に目をつけられてしまった。
王女はキンバリー帝国の第2王子の婚約者だった。申し訳ないが、王女には全く興味がない。
ロベルト殿下は私を逃してくれようとした。
「ロイス、明日国から迎えが来ることになった。エレオノーラが外観を変える魔法をかけるから絶対にわからないはずだ」
エレオノーラ様はキンバリー帝国の皇女だ。ロベルトとは留学先のアカデミーで知り合い恋に落ちた。
エレオノーラ様の兄上の婚約者が王女で偶然ロベルト殿下と一緒にいた私を見て見染めたらしい。
はっきり言って迷惑だ。私はただの侯爵の子息。キンバリー帝国の皇子の婚約者のシンバレッド王国の王女となんか絡みたくない。
私には婚約者もいる。勘弁してほしい。
私は明日の朝。エレオノーラ様の魔法で姿を変え、商団の荷馬車に乗り逃げるつもりだった。
なのに、ロベルト殿下と打ち合わせが終わり、部屋に帰ろうと廊下を歩いていた時に王女の影に捕まってしまった。
そこから先は記憶が曖昧だ。
私が行方不明になったと大騒ぎになり、私を探していたロベルト殿下やエレオノーラ様、シンバレッド王国の国王に見つかった時は、私は媚薬を盛られ、王女と盛っていたらしい。
王女は正気だったので、王女の犯行だとすぐにわかり、捕らえられたそうだ。シンバレッドの国の者だけなら揉み消すのであろうが、目撃したのは、キンバリー帝国の皇女とカモスタット王国の王子、キンバリー帝国に報告しなくてはならなくなった。
後は国と国との話し合いらしい。
私は中和剤を投与されたが、副作用で1週間苦しんだ。もう懲り懲りだ。
ロベルト殿下がエレオノーラ様と病室にやってきた。
「ロイス、私がのんびりしていたために酷い目にあわせてしまって申し訳なかった。エレオノーラに忘却の魔法をかけてもらったので、身体も心も楽になっていると思うがどうかな?」
あ~、そういうことか。
だから急に楽になったんだな。媚薬を盛られたあとの記憶が曖昧なのもそのせいか。
できればもっと早くかけてほしかったな。
まぁ、純潔は失ったようだが、私は男だから別に構わない。
それにしても、なぜ私がそんなに執着されたのか不思議で仕方がない。
私はマックス殿下のように美男子ではない。並だ。
「お前が反応しなかったからみたいだ。ほかの男はあの王女に声をかけられたらみんなついていったらしいぞ」
ロベルト殿下はそう言うが、それって逆ハーレムってやつか?
婚約者は大国の王族なのに貞操は別にいいのか?
私はシンバレッド王国からどっさり慰謝料をもらった。
そしてキンバリー帝国からも口止め料をたんまりもらった。
私はそのお金で医療の盛んなフレーナリー王国に留学し、医療を学んだ。
普通なら私のような並の見た目の男は言い寄られることもない。
フレーナリー国ではただひたすら勉強した。
そして卒業し、医師になり、カモスタット王国に戻ったら、国民はみんな例の王女が王太子殿下の正妃だったことを忘れていた。
「キンバリー帝国がロゼが正妃になった祝いに記憶を消したんだよ。そんな魔法を使う怖い国と揉めたら大変だな。私はおとなしく口をつぐんどくよ」
王太子殿下ははははと笑っている。
この人はロゼッタ様が幸せならばオールOKだからな。
「私も口止め料をたんまりもらった時に記憶から消えました」
私も適当なことを言って笑っておいた。
しかし、人生なんてどう転ぶかわからない。
あの時、媚薬を盛られなければ、今頃は普通に文官にでもなっていただろう。
まさか、医師になるとはなぁ。
媚薬の中和剤の副作用でかなりしんどかったから、私みたいな人を助けたいと思った。学費もあったし。
感謝とは言わないが、死者に鞭打つつもりはない。
今は王宮医師をしている。プライベートでは子供の頃からの婚約者と結婚して幸せに暮らしている。
あの記憶も年と共に風化していくんだろうな。
【了】
*これにて全て終了です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次はリュカとヴィーナのお話を書こうと思ってます。
壮大さはなく、緩い感じのラブコメのつもりですので、読んでやってもいいよとおっしゃってくださる方はお待ちくださいませ。(明日1話いけるかな?)
ではまたお会いする日を楽しみにしております。
留学は楽しかった。毎日色んなことがあった。
しかし、私はかの国の王女に目をつけられてしまった。
王女はキンバリー帝国の第2王子の婚約者だった。申し訳ないが、王女には全く興味がない。
ロベルト殿下は私を逃してくれようとした。
「ロイス、明日国から迎えが来ることになった。エレオノーラが外観を変える魔法をかけるから絶対にわからないはずだ」
エレオノーラ様はキンバリー帝国の皇女だ。ロベルトとは留学先のアカデミーで知り合い恋に落ちた。
エレオノーラ様の兄上の婚約者が王女で偶然ロベルト殿下と一緒にいた私を見て見染めたらしい。
はっきり言って迷惑だ。私はただの侯爵の子息。キンバリー帝国の皇子の婚約者のシンバレッド王国の王女となんか絡みたくない。
私には婚約者もいる。勘弁してほしい。
私は明日の朝。エレオノーラ様の魔法で姿を変え、商団の荷馬車に乗り逃げるつもりだった。
なのに、ロベルト殿下と打ち合わせが終わり、部屋に帰ろうと廊下を歩いていた時に王女の影に捕まってしまった。
そこから先は記憶が曖昧だ。
私が行方不明になったと大騒ぎになり、私を探していたロベルト殿下やエレオノーラ様、シンバレッド王国の国王に見つかった時は、私は媚薬を盛られ、王女と盛っていたらしい。
王女は正気だったので、王女の犯行だとすぐにわかり、捕らえられたそうだ。シンバレッドの国の者だけなら揉み消すのであろうが、目撃したのは、キンバリー帝国の皇女とカモスタット王国の王子、キンバリー帝国に報告しなくてはならなくなった。
後は国と国との話し合いらしい。
私は中和剤を投与されたが、副作用で1週間苦しんだ。もう懲り懲りだ。
ロベルト殿下がエレオノーラ様と病室にやってきた。
「ロイス、私がのんびりしていたために酷い目にあわせてしまって申し訳なかった。エレオノーラに忘却の魔法をかけてもらったので、身体も心も楽になっていると思うがどうかな?」
あ~、そういうことか。
だから急に楽になったんだな。媚薬を盛られたあとの記憶が曖昧なのもそのせいか。
できればもっと早くかけてほしかったな。
まぁ、純潔は失ったようだが、私は男だから別に構わない。
それにしても、なぜ私がそんなに執着されたのか不思議で仕方がない。
私はマックス殿下のように美男子ではない。並だ。
「お前が反応しなかったからみたいだ。ほかの男はあの王女に声をかけられたらみんなついていったらしいぞ」
ロベルト殿下はそう言うが、それって逆ハーレムってやつか?
婚約者は大国の王族なのに貞操は別にいいのか?
私はシンバレッド王国からどっさり慰謝料をもらった。
そしてキンバリー帝国からも口止め料をたんまりもらった。
私はそのお金で医療の盛んなフレーナリー王国に留学し、医療を学んだ。
普通なら私のような並の見た目の男は言い寄られることもない。
フレーナリー国ではただひたすら勉強した。
そして卒業し、医師になり、カモスタット王国に戻ったら、国民はみんな例の王女が王太子殿下の正妃だったことを忘れていた。
「キンバリー帝国がロゼが正妃になった祝いに記憶を消したんだよ。そんな魔法を使う怖い国と揉めたら大変だな。私はおとなしく口をつぐんどくよ」
王太子殿下ははははと笑っている。
この人はロゼッタ様が幸せならばオールOKだからな。
「私も口止め料をたんまりもらった時に記憶から消えました」
私も適当なことを言って笑っておいた。
しかし、人生なんてどう転ぶかわからない。
あの時、媚薬を盛られなければ、今頃は普通に文官にでもなっていただろう。
まさか、医師になるとはなぁ。
媚薬の中和剤の副作用でかなりしんどかったから、私みたいな人を助けたいと思った。学費もあったし。
感謝とは言わないが、死者に鞭打つつもりはない。
今は王宮医師をしている。プライベートでは子供の頃からの婚約者と結婚して幸せに暮らしている。
あの記憶も年と共に風化していくんだろうな。
【了】
*これにて全て終了です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
次はリュカとヴィーナのお話を書こうと思ってます。
壮大さはなく、緩い感じのラブコメのつもりですので、読んでやってもいいよとおっしゃってくださる方はお待ちくださいませ。(明日1話いけるかな?)
ではまたお会いする日を楽しみにしております。
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