上 下
11 / 20

なんかえらい話になってきたな

しおりを挟む
 護衛が元サン侯爵令息の側に行き、短刀を持っている手を捻り上げた。それを合図にするかのように騎士がなだれ込んできた。

 令息たちが騎士に拘束される。

 私はその光景をただただ見ていた、

「ロゼッタ! 助けてくれ~!」

 知らん。

「妃殿下、囮にするような真似をして申し訳ございません。しかし、何か行動を起こさないと捕らえることができないのです」

「大丈夫ですわ。お見事でした。あの者たちはどうなるのですか?」

「平民が妃殿下を罵倒し、危害を加えようとしたのです。もう二度と殿下のお目を汚すことはありますまい。そういうことです」

 そういうことか。

 護衛についていた騎士は私に頭を下げた。

 それにしても令息たちは、ミア嬢に平民には興味がないと言われたから、また貴族に戻ればミア嬢は自分のところに戻ってくると思ったのか?

 そんなことを言われた時点で騙されていたと気がつかないのか?

 愚かだな。

 それほど愛していたのだろうか?

「お嬢様、ミアは男爵令嬢から平民になりましたが、今は裕福な平民をターゲットにしているらしいですよ。侍女ネットワークでは豪商の子息にへばりついているともっぱらの噂です」

 たくましいな。

 まぁ、誰にも迷惑をかけなければそれもいいんじゃない。

 私は馬鹿と婚約破棄できたのだからミア嬢には感謝しなくちゃな。

 平身低頭謝る護衛騎士に護られながら私たちは何ごともなかったように部屋に戻った。

 部屋に入ると侍女たちはすでに待機している。

 やっと湯浴みだ。

 ニコルにドレスを脱がされ、コルセットを外され、髪を解かれた。

 あ~、生き返るわ。

 お湯に入ったあと、マッサージされる。ずっと高いヒールで立ちっぱなしだったので脚がパンパンだ。

 マッサージが痛いわ。

 薄くお化粧をされ、色っぽい夜着を着せられた。

「お嬢様、頑張ってくださいましね」

 ニコルはヘラヘラしながら部屋から出て行った。

 あとはゴリクマ待ちか。


 どれくらいたったのだろう? 私はうたた寝をしていたようだ。

 コンコン

 ノックの音が聞こえる。

「入ってもいいだろうか?」

 テディ様だな。

「はい」

 私が返事をするとテディ様が難しい顔をして寝室に入ってきた。

 しかし、私の姿を見るなり顔を真っ赤にしているようだ。

「ロゼ、何か羽織ってくれないだろうか。目のやり場に困る」

 なんだ。すぐ脱がせるんじゃないんだな。私はガウンを羽織った。

「ロゼ、話を聞いてほしい」
 
 話? なんの話だろう? やっと正妃様の話をしてくれるのだろうか?

「実はロゼに隠していたことがあるんだ」

 テディ様は私の目をしっかり見る。

「弟を人質に取られているんだ」

 人質?

 弟?

 まさか、留学している末のロベルト殿下のことか?

 なんかえらい話になってきたなぁ。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妻の死で思い知らされました。

あとさん♪
恋愛
外交先で妻の突然の訃報を聞いたジュリアン・カレイジャス公爵。 急ぎ帰国した彼が目にしたのは、淡々と葬儀の支度をし弔問客たちの対応をする子どもらの姿だった。 「おまえたちは母親の死を悲しいとは思わないのか⁈」 ジュリアンは知らなかった。 愛妻クリスティアナと子どもたちがどのように生活していたのか。 多忙のジュリアンは気がついていなかったし、見ようともしなかったのだ……。 そしてクリスティアナの本心は——。 ※全十二話。 ※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください ※時代考証とか野暮は言わないお約束 ※『愚かな夫とそれを見限る妻』というコンセプトで書いた第三弾。 第一弾『妻の死を人伝てに聞きました。』 第二弾『そういうとこだぞ』 それぞれ因果関係のない独立したお話です。合わせてお楽しみくださると一興かと。 ※この話は小説家になろうにも投稿しています。

そういうとこだぞ

あとさん♪
恋愛
「そういえば、なぜオフィーリアが出迎えない? オフィーリアはどうした?」  ウィリアムが宮廷で宰相たちと激論を交わし、心身ともに疲れ果ててシャーウッド公爵家に帰ったとき。  いつもなら出迎えるはずの妻がいない。 「公爵閣下。奥さまはご不在です。ここ一週間ほど」 「――は?」  ウィリアムは元老院議員だ。彼が王宮で忙しく働いている間、公爵家を守るのは公爵夫人たるオフィーリアの役目である。主人のウィリアムに断りもなく出かけるとはいかがなものか。それも、息子を連れてなど……。 これは、どこにでもいる普通の貴族夫婦のお話。 彼らの選んだ未来。 ※設定はゆるんゆるん。 ※作者独自のなんちゃってご都合主義異世界だとご了承ください。 ※この話は小説家になろうにも掲載しています。

この婚姻は誰のため?

ひろか
恋愛
「オレがなんのためにアンシェルと結婚したと思ってるんだ!」 その言葉で、この婚姻の意味を知った。 告げた愛も、全て、別の人のためだったことを。

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

愚かな側妃と言われたので、我慢することをやめます

天宮有
恋愛
私アリザは平民から側妃となり、国王ルグドに利用されていた。 王妃のシェムを愛しているルグドは、私を酷使する。 影で城の人達から「愚かな側妃」と蔑まれていることを知り、全てがどうでもよくなっていた。 私は我慢することをやめてルグドを助けず、愚かな側妃として生きます。

婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました

Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。 順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。 特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。 そんなアメリアに対し、オスカーは… とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。

旦那様、愛人を作ってもいいですか?

ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。 「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」 これ、旦那様から、初夜での言葉です。 んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと? ’18/10/21…おまけ小話追加

愛する義兄に憎まれています

ミカン♬
恋愛
自分と婚約予定の義兄が子爵令嬢の恋人を両親に紹介すると聞いたフィーナは、悲しくて辛くて、やがて心は闇に染まっていった。 義兄はフィーナと結婚して侯爵家を継ぐはずだった、なのにフィーナも両親も裏切って真実の愛を貫くと言う。 許せない!そんなフィーナがとった行動は愛する義兄に憎まれるものだった。 2023/12/27 ミモザと義兄の閑話を投稿しました。 ふわっと設定でサクっと終わります。 他サイトにも投稿。

処理中です...