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婚姻式の夜
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*途中から俯瞰視点になります*
玄関ホールで騒いでいたのは私の元婚約者の元スマット公爵令息、元ナリス伯爵令息、元サン侯爵令息だったらしい。
廃籍され、平民になった途端に男爵令嬢のミア嬢から切られたらしい。
「ごめんなさいね~。私平民には興味ないの」
真実の愛ってそんなもんなのか?
ちょうど夜会に私と私のお父様とそれぞれのお父様が来ているので、なんとか私とお父様からそれぞれの父親に元に戻すように言ってもらおうと押しかけてきたらしい。
「ロゼッタを出せ! あいつのせいで私たちはこんな目にあったんだ。あいつに私たちは悪くないと言わせる!」
そう叫んでいたそうだ。
マックス様とキース様が追い出し、王家からそれぞれの家に抗議書が送られるそうだ。そうなると復籍は難しいだろうな。
それにしても、あの3人は、復籍したらまたミア嬢と仲良くできると思ったのだろうか?
テディ様は国王陛下とシンバレッド王国の王太子殿下と話があるからと言って席を外している。
私はそろそろ初夜の準備とやらで部屋に戻るらしい。
今日は朝から疲れた。できれば初夜はやめてほしいな。
私は王妃様に声をかけてひと足に部屋に戻ることにした。
「王妃様、今日はありがとうございました。お先に失礼いたします」
「そうね。テディはまだ話をしているのね。今日は人の出入りが多かったから部屋まで護衛をつけるわ」
護衛か。大丈夫だけど、せっかくだしそうしてもらおう。
「ありがとうございます」
私がそう言うと王妃様は侍女を呼び、護衛をつけてくれた。
私とニコルは部屋に向かっていた。
「お嬢様、今日はお疲れ様でした。今からがっつり磨きますよ! 今日は大事な初夜ですからね」
ニコルよ、なぜそんなに張り切っている?
あれ? 私の部屋ってこんなところだったかな?
今日は初夜だから違う部屋なのかしら?
先頭を歩く護衛について行っていたのだけれど、何から違和感を感じた。
「お嬢様、なんだか変じゃなりませんか?」
ニコルが小声で話しかける。
「そうね、何がおかしいわね」
護衛が急に立ち止まる。
「この辺でいいんじゃないか」
ん? なんだ?
私たちの周りを男たちが取り囲む。
こいつら、どうやって中に入ったんだ?
「お前のせいで私たちはミアに嫌われたんだ。お前の親父に私たちを復籍するようにそれぞれの家に頼んでくれないか?」
私の目の前にあわられた元婚約者のスマット公爵令息が言う。
「そうだよ。どうしてくれるんだ。ミアに嫌われてしまったよ」
ナリス伯爵令息か。
「復籍させろよ。断ったら殺す」
サン侯爵令息は短刀を持っている。
「真実の愛でしたら、平民にはなっても愛するのではないのですか? 爵位がなければ嫌いになるなんて、そんなもの真実の愛とは申しませんわ!」
私は3人を威嚇するように睨みつけた。
護衛もグルなんだろう。
とにかくなんとかしなくては。どうしたものか。
私はニコルと顔を見合わせた。
―俯瞰視点―
その頃、別室では、国王とテディがシンバレッド王国の王太子と内密な話をしていた。
「王太子殿下、ロゼッタに本当のことを話すわけにはいきませんか? 他言はしないと約束致しましたが、このまま何も話さないまま過ごすのは無理です。ロゼッタは信用できる者です。どうかお願いします」
テディは頭を下げた。
王太子は難しい顔をしている。
国王も王太子に頭を下げた。
「ロゼッタには絶対、他言せぬように申し付ける。もしも約束を破った時には私が腹を切る」
「私も腹を切ります。お願いします」
ふたりの威圧に押された王太子は口を開いた。
「ふたりとも頭を上げてください。わかりました。信じます。しかし、絶対ロゼッタ妃以外には他言しないようにして下さい。もしも約束を破った時は軍隊をこの国に送ります。お互いの国の平和のためにも約束はお忘れなきように」
シンバレッド王国の王太子は手を差し出した。
テディはその手を握る。
カモスタット王国の国王も上から2人の手を握る。
ここに3人の約束は再び固く結ばれた。
玄関ホールで騒いでいたのは私の元婚約者の元スマット公爵令息、元ナリス伯爵令息、元サン侯爵令息だったらしい。
廃籍され、平民になった途端に男爵令嬢のミア嬢から切られたらしい。
「ごめんなさいね~。私平民には興味ないの」
真実の愛ってそんなもんなのか?
ちょうど夜会に私と私のお父様とそれぞれのお父様が来ているので、なんとか私とお父様からそれぞれの父親に元に戻すように言ってもらおうと押しかけてきたらしい。
「ロゼッタを出せ! あいつのせいで私たちはこんな目にあったんだ。あいつに私たちは悪くないと言わせる!」
そう叫んでいたそうだ。
マックス様とキース様が追い出し、王家からそれぞれの家に抗議書が送られるそうだ。そうなると復籍は難しいだろうな。
それにしても、あの3人は、復籍したらまたミア嬢と仲良くできると思ったのだろうか?
テディ様は国王陛下とシンバレッド王国の王太子殿下と話があるからと言って席を外している。
私はそろそろ初夜の準備とやらで部屋に戻るらしい。
今日は朝から疲れた。できれば初夜はやめてほしいな。
私は王妃様に声をかけてひと足に部屋に戻ることにした。
「王妃様、今日はありがとうございました。お先に失礼いたします」
「そうね。テディはまだ話をしているのね。今日は人の出入りが多かったから部屋まで護衛をつけるわ」
護衛か。大丈夫だけど、せっかくだしそうしてもらおう。
「ありがとうございます」
私がそう言うと王妃様は侍女を呼び、護衛をつけてくれた。
私とニコルは部屋に向かっていた。
「お嬢様、今日はお疲れ様でした。今からがっつり磨きますよ! 今日は大事な初夜ですからね」
ニコルよ、なぜそんなに張り切っている?
あれ? 私の部屋ってこんなところだったかな?
今日は初夜だから違う部屋なのかしら?
先頭を歩く護衛について行っていたのだけれど、何から違和感を感じた。
「お嬢様、なんだか変じゃなりませんか?」
ニコルが小声で話しかける。
「そうね、何がおかしいわね」
護衛が急に立ち止まる。
「この辺でいいんじゃないか」
ん? なんだ?
私たちの周りを男たちが取り囲む。
こいつら、どうやって中に入ったんだ?
「お前のせいで私たちはミアに嫌われたんだ。お前の親父に私たちを復籍するようにそれぞれの家に頼んでくれないか?」
私の目の前にあわられた元婚約者のスマット公爵令息が言う。
「そうだよ。どうしてくれるんだ。ミアに嫌われてしまったよ」
ナリス伯爵令息か。
「復籍させろよ。断ったら殺す」
サン侯爵令息は短刀を持っている。
「真実の愛でしたら、平民にはなっても愛するのではないのですか? 爵位がなければ嫌いになるなんて、そんなもの真実の愛とは申しませんわ!」
私は3人を威嚇するように睨みつけた。
護衛もグルなんだろう。
とにかくなんとかしなくては。どうしたものか。
私はニコルと顔を見合わせた。
―俯瞰視点―
その頃、別室では、国王とテディがシンバレッド王国の王太子と内密な話をしていた。
「王太子殿下、ロゼッタに本当のことを話すわけにはいきませんか? 他言はしないと約束致しましたが、このまま何も話さないまま過ごすのは無理です。ロゼッタは信用できる者です。どうかお願いします」
テディは頭を下げた。
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国王も王太子に頭を下げた。
「ロゼッタには絶対、他言せぬように申し付ける。もしも約束を破った時には私が腹を切る」
「私も腹を切ります。お願いします」
ふたりの威圧に押された王太子は口を開いた。
「ふたりとも頭を上げてください。わかりました。信じます。しかし、絶対ロゼッタ妃以外には他言しないようにして下さい。もしも約束を破った時は軍隊をこの国に送ります。お互いの国の平和のためにも約束はお忘れなきように」
シンバレッド王国の王太子は手を差し出した。
テディはその手を握る。
カモスタット王国の国王も上から2人の手を握る。
ここに3人の約束は再び固く結ばれた。
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