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側妃?

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 お父様から呼ばれた。

 ろくな話じゃないだろうな。

 あ~めんどくさい。

 仕方がないのでお父様の執務室の扉を叩いた。

「ロゼッタです」

「入れ」

 お父様の返事がしたので扉を開け中に入った。

 お父様は何やら難しい顔をしている。

「お話とは何でしょうか?」

「はぁ~っ」

 話をする前からため息をつくな!

「実はな、王家からお前に王太子の側妃にならないかと打診があった」

「側妃ですか?」

「そうだ、王太子殿下の側妃だ。王太子妃と結婚して2年になるがまだ子を成さないので側妃を娶ることになったそうだ」

 王太子といえば、2年前に友好国の王女と結婚したはずだ。
 王女は身体が弱く、公務にほとんど顔を出さないと聞いたことがある。確かに夜会などでも王女の姿は見たことがない。

「それでなぜ私なのですか? 公爵令嬢が側妃だなんて聞いたことがありませんわ」

「まぁ、普通はないわな。しかし、お前は婚約を破棄された傷者令嬢。もう、貰い手はない。老人の後添いになるか、訳ありの者しか娶ってくれないだろう」

確かにそうだな。傷者令嬢なんて誰も娶りたくないだろう。

「しかも、おとなしく婚約破棄されていれば良かったものの、あの場であの者たちをやり込めて叩きのめしたであろう。正しいのには間違いないが、怖いとみんなに認識されてしまったのだ」

「冤罪で貶められるよりは、怖がられた方がましでしょう。慰謝料もがっぽりいただけましたし」

 私は悪役令嬢っぼくニヒっと笑った。

「確かに冤罪だと証明できたし、慰謝料は沢山入ってきたから、嫁になど行かなくても構わないのだが、王家からの申込みでは断ることはできないのだ」

「打診ですわよね?」

「打診でも、命令みたいなものだ」

 上手いこと言って厄介払いをするつもりなのだろう。

「お父様、正妃がいる以上、側妃は子供さえ産めばあとは何もしなくてよろしいですわよね?」

「まぁ、そうだな」

 これ、ラッキーかも?

 好きでもない男と閨をともにするのはいやだけど、王太子殿下には小さい頃遊んでもらったこともあるし、生理的に我慢できないわけじゃない。

 変なじじぃの後妻になるなら王太子の側妃ありかも?

 とりあえずひとり子供を産めばあとは無罪放免。好きなことをしても文句は言われないだろう。

 良い! 側妃良いわ!

「お父様、側妃になりますわ」

「えっ? 正気か?」

「正気ですわ。縁続きになればブロムヘキシン公爵家にもよろしいでしょう?」

 お父様は娘の慰謝料で大儲けし、その上王家とも縁続きになる。

 万々歳だろう。

 側妃なら気楽そうだしなぁ。

 今更公爵令嬢のプライドなんてないし、貰い手がないから側妃になったなんて言われてもどーってことはない。

 なってやろうじゃないの側妃。

 いやぁ、なんだか面白くなってきたかも?
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