2 / 20
側妃?
しおりを挟む
お父様から呼ばれた。
ろくな話じゃないだろうな。
あ~めんどくさい。
仕方がないのでお父様の執務室の扉を叩いた。
「ロゼッタです」
「入れ」
お父様の返事がしたので扉を開け中に入った。
お父様は何やら難しい顔をしている。
「お話とは何でしょうか?」
「はぁ~っ」
話をする前からため息をつくな!
「実はな、王家からお前に王太子の側妃にならないかと打診があった」
「側妃ですか?」
「そうだ、王太子殿下の側妃だ。王太子妃と結婚して2年になるがまだ子を成さないので側妃を娶ることになったそうだ」
王太子といえば、2年前に友好国の王女と結婚したはずだ。
王女は身体が弱く、公務にほとんど顔を出さないと聞いたことがある。確かに夜会などでも王女の姿は見たことがない。
「それでなぜ私なのですか? 公爵令嬢が側妃だなんて聞いたことがありませんわ」
「まぁ、普通はないわな。しかし、お前は婚約を破棄された傷者令嬢。もう、貰い手はない。老人の後添いになるか、訳ありの者しか娶ってくれないだろう」
確かにそうだな。傷者令嬢なんて誰も娶りたくないだろう。
「しかも、おとなしく婚約破棄されていれば良かったものの、あの場であの者たちをやり込めて叩きのめしたであろう。正しいのには間違いないが、怖いとみんなに認識されてしまったのだ」
「冤罪で貶められるよりは、怖がられた方がましでしょう。慰謝料もがっぽりいただけましたし」
私は悪役令嬢っぼくニヒっと笑った。
「確かに冤罪だと証明できたし、慰謝料は沢山入ってきたから、嫁になど行かなくても構わないのだが、王家からの申込みでは断ることはできないのだ」
「打診ですわよね?」
「打診でも、命令みたいなものだ」
上手いこと言って厄介払いをするつもりなのだろう。
「お父様、正妃がいる以上、側妃は子供さえ産めばあとは何もしなくてよろしいですわよね?」
「まぁ、そうだな」
これ、ラッキーかも?
好きでもない男と閨をともにするのはいやだけど、王太子殿下には小さい頃遊んでもらったこともあるし、生理的に我慢できないわけじゃない。
変なじじぃの後妻になるなら王太子の側妃ありかも?
とりあえずひとり子供を産めばあとは無罪放免。好きなことをしても文句は言われないだろう。
良い! 側妃良いわ!
「お父様、側妃になりますわ」
「えっ? 正気か?」
「正気ですわ。縁続きになればブロムヘキシン公爵家にもよろしいでしょう?」
お父様は娘の慰謝料で大儲けし、その上王家とも縁続きになる。
万々歳だろう。
側妃なら気楽そうだしなぁ。
今更公爵令嬢のプライドなんてないし、貰い手がないから側妃になったなんて言われてもどーってことはない。
なってやろうじゃないの側妃。
いやぁ、なんだか面白くなってきたかも?
ろくな話じゃないだろうな。
あ~めんどくさい。
仕方がないのでお父様の執務室の扉を叩いた。
「ロゼッタです」
「入れ」
お父様の返事がしたので扉を開け中に入った。
お父様は何やら難しい顔をしている。
「お話とは何でしょうか?」
「はぁ~っ」
話をする前からため息をつくな!
「実はな、王家からお前に王太子の側妃にならないかと打診があった」
「側妃ですか?」
「そうだ、王太子殿下の側妃だ。王太子妃と結婚して2年になるがまだ子を成さないので側妃を娶ることになったそうだ」
王太子といえば、2年前に友好国の王女と結婚したはずだ。
王女は身体が弱く、公務にほとんど顔を出さないと聞いたことがある。確かに夜会などでも王女の姿は見たことがない。
「それでなぜ私なのですか? 公爵令嬢が側妃だなんて聞いたことがありませんわ」
「まぁ、普通はないわな。しかし、お前は婚約を破棄された傷者令嬢。もう、貰い手はない。老人の後添いになるか、訳ありの者しか娶ってくれないだろう」
確かにそうだな。傷者令嬢なんて誰も娶りたくないだろう。
「しかも、おとなしく婚約破棄されていれば良かったものの、あの場であの者たちをやり込めて叩きのめしたであろう。正しいのには間違いないが、怖いとみんなに認識されてしまったのだ」
「冤罪で貶められるよりは、怖がられた方がましでしょう。慰謝料もがっぽりいただけましたし」
私は悪役令嬢っぼくニヒっと笑った。
「確かに冤罪だと証明できたし、慰謝料は沢山入ってきたから、嫁になど行かなくても構わないのだが、王家からの申込みでは断ることはできないのだ」
「打診ですわよね?」
「打診でも、命令みたいなものだ」
上手いこと言って厄介払いをするつもりなのだろう。
「お父様、正妃がいる以上、側妃は子供さえ産めばあとは何もしなくてよろしいですわよね?」
「まぁ、そうだな」
これ、ラッキーかも?
好きでもない男と閨をともにするのはいやだけど、王太子殿下には小さい頃遊んでもらったこともあるし、生理的に我慢できないわけじゃない。
変なじじぃの後妻になるなら王太子の側妃ありかも?
とりあえずひとり子供を産めばあとは無罪放免。好きなことをしても文句は言われないだろう。
良い! 側妃良いわ!
「お父様、側妃になりますわ」
「えっ? 正気か?」
「正気ですわ。縁続きになればブロムヘキシン公爵家にもよろしいでしょう?」
お父様は娘の慰謝料で大儲けし、その上王家とも縁続きになる。
万々歳だろう。
側妃なら気楽そうだしなぁ。
今更公爵令嬢のプライドなんてないし、貰い手がないから側妃になったなんて言われてもどーってことはない。
なってやろうじゃないの側妃。
いやぁ、なんだか面白くなってきたかも?
90
お気に入りに追加
2,334
あなたにおすすめの小説
婚約者に好きな人がいると言われました
みみぢあん
恋愛
子爵家令嬢のアンリエッタは、婚約者のエミールに『好きな人がいる』と告白された。 アンリエッタが婚約者エミールに抗議すると… アンリエッタの幼馴染みバラスター公爵家のイザークとの関係を疑われ、逆に責められる。 疑いをはらそうと説明しても、信じようとしない婚約者に怒りを感じ、『幼馴染みのイザークが婚約者なら良かったのに』と、口をすべらせてしまう。 そこからさらにこじれ… アンリエッタと婚約者の問題は、幼馴染みのイザークまで巻き込むさわぎとなり――――――
🌸お話につごうの良い、ゆるゆる設定です。どうかご容赦を(・´з`・)
【完結】溺愛婚約者の裏の顔 ~そろそろ婚約破棄してくれませんか~
瀬里
恋愛
(なろうの異世界恋愛ジャンルで日刊7位頂きました)
ニナには、幼い頃からの婚約者がいる。
3歳年下のティーノ様だ。
本人に「お前が行き遅れになった頃に終わりだ」と宣言されるような、典型的な「婚約破棄前提の格差婚約」だ。
行き遅れになる前に何とか婚約破棄できないかと頑張ってはみるが、うまくいかず、最近ではもうそれもいいか、と半ばあきらめている。
なぜなら、現在16歳のティーノ様は、匂いたつような色香と初々しさとを併せ持つ、美青年へと成長してしまったのだ。おまけに人前では、誰もがうらやむような溺愛ぶりだ。それが偽物だったとしても、こんな風に夢を見させてもらえる体験なんて、そうそうできやしない。
もちろん人前でだけで、裏ではひどいものだけど。
そんな中、第三王女殿下が、ティーノ様をお気に召したらしいという噂が飛び込んできて、あきらめかけていた婚約破棄がかなうかもしれないと、ニナは行動を起こすことにするのだが――。
全7話の短編です 完結確約です。
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な心の侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気と見なして疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う心穏やかな人生を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
婚約破棄を、あなたのために
月山 歩
恋愛
私はあなたが好きだけど、あなたは彼女が好きなのね。だから、婚約破棄してあげる。そうして、別れたはずが、彼は騎士となり、領主になると、褒章は私を妻にと望んだ。どうして私?彼女のことはもういいの?それともこれは、あなたの人生を台無しにした私への復讐なの?
さよなら 大好きな人
小夏 礼
恋愛
女神の娘かもしれない紫の瞳を持つアーリアは、第2王子の婚約者だった。
政略結婚だが、それでもアーリアは第2王子のことが好きだった。
彼にふさわしい女性になるために努力するほど。
しかし、アーリアのそんな気持ちは、
ある日、第2王子によって踏み躙られることになる……
※本編は悲恋です。
※裏話や番外編を読むと本編のイメージが変わりますので、悲恋のままが良い方はご注意ください。
※本編2(+0.5)、裏話1、番外編2の計5(+0.5)話です。
公爵令嬢は愛に生きたい
拓海のり
恋愛
公爵令嬢シビラは王太子エルンストの婚約者であった。しかし学園に男爵家の養女アメリアが編入して来てエルンストの興味はアメリアに移る。
一万字位の短編です。他サイトにも投稿しています。
婚約解消をしたら、隣国で素敵な出会いがありました。
しあ
恋愛
「私との婚約を解消して欲しい」
婚約者のエーリッヒ様からそう言われたので、あっさり承諾をした。
あまりにもあっさり承諾したので、困惑するエーリッヒ様を置いて、私は家族と隣国へ旅行へ出かけた。
幼い頃から第1王子の婚約者という事で暇なく過ごしていたので、家族旅行なんて楽しみだ。
それに、いった旅行先で以前会った男性とも再会できた。
その方が観光案内をして下さると言うので、お願いしようと思います。
今から婚約者に会いに行きます。〜私は運命の相手ではないから
毛蟹葵葉
恋愛
婚約者が王立学園の卒業を間近に控えていたある日。
ポーリーンのところに、婚約者の恋人だと名乗る女性がやってきた。
彼女は別れろ。と、一方的に迫り。
最後には暴言を吐いた。
「ああ、本当に嫌だわ。こんな田舎。肥溜めの臭いがするみたい。……貴女からも漂ってるわよ」
洗練された都会に住む自分の方がトリスタンにふさわしい。と、言わんばかりに彼女は微笑んだ。
「ねえ、卒業パーティーには来ないでね。恥をかくのは貴女よ。婚約破棄されてもまだ間に合うでしょう?早く相手を見つけたら?」
彼女が去ると、ポーリーンはある事を考えた。
ちゃんと、別れ話をしようと。
ポーリーンはこっそりと屋敷から抜け出して、婚約者のところへと向かった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる