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アルプラゾラム王国編
密会……というほどでもないけど
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「ミオリア、リーンハルトのことはどう思う?」
突然クリス様に聞かれた。
「そうですね。正直に言うと何とも思っていないです。以前は素敵だと思ったこともありましたが、今は何とも……。私のことを好いてくれているようですが、今は私はやりたい事があって、誰かを好きだと思う余裕がありません」
「好きだと思う余裕か。どんな時でも誰かを好きになることはある。そんな風いうのならリーンハルトにチャンスはないな」
「申し訳ありません」
私は頭を下げた。
「ミオリアが謝ることなど何もない。実はな、義兄上……リーンハルトの父親の身体の具合いが良くないようなんだ」
モーバー公爵が? リーンハルト様は知っているのだろうか?
「姉上は君とリーンを結婚させてうちの跡取りにしたいようなんだが、義兄上はやはり嫡男に継がせたいみたいなんだ。リーンは、小さい頃からモーバー家の跡継ぎとして、次期宰相として教育を受け育てられてきた。ミオリアがリーンと結婚してモーバー公爵夫人になってくれるならと義兄上はリスミー家に打診したらしいのだが、ミオリアは結婚して家に入ることは難しいし、リスミー家としてはミオリアにはアローゼン家を継ぐので、できれば婿に入ってくれる魔導士を希望していると言われたそうだ」
はぁ? 婿をとってアローゼン家を継ぐ? いやいや、それは希望であって決定ではないでしょう。
どいつもこいつも勝手なことを言いやがって!
私はイラッとしてしまった。
「みんな勝手ですね」
「そうだね。ほんとにそう思うよ。でも貴族なんてそんなものだ」
クリス様はため息をついた。
「ミオリアはどうしたい?」
「私は……ノルバスク家を継ぐのは、なしです。アローゼン家を継ぐのはあるかもしれません。アローゼン家は医療と魔法の家です。私がこれから魔法医療を学んで魔法医者になってアローゼン家を継ぐ可能性はあります」
アローゼン家は母の実家だし、医療の家だ。継ぐことは嫌ではない。
「ただ。見知らぬ魔導士を婿にというのは勘弁してほしいです。別に私が結婚しなくても、カミルの子供や他の親戚のやるべく者がやればいいと思います」
血を重視するのか力を重視するのかにもよるが、私の子供にこだわることはない。
「なるほど、ではリーンが入婿になる可能性はないか」
「はい。リーン様は宰相になられるお方です。アローゼン家が望む婿にはなれません」
クリス様は急に笑い出した。
「ミオリア、はっきりものを言うようになったな。まだここに来た頃はそうじゃなかった。ミランダやフェノバール公爵夫人の影響だな」
「そうかもしれません。目指すところがきまったからでしょう」
本当に適材適所だと思う。リーン様は自分の生きる道がある。それは私とは交わらない。
「リーンはレミニールに帰らせる。姉上にもミオリアのことは諦めてもらう。ノルバスク家はリーンハルトの弟に養子に入ってもらう。はじめからそのつもりであいつも納得しているしな」
リーンハルト様は退路を絶たれたわけね。
「あとはミオリアが誰かと婚約でもしてくれればありがたいが、愛し愛されたいんだよな?」
「はい」
「リーンハルトはなんとかするから大丈夫だ。最悪、魔法で記憶操作をすればいいしな」
記憶操作?
クリス様、なんだか怖いことを言っているわ。
とにかくリーンハルト様はレミニール王国に戻って元の日常に戻るのね。私もそれがいいと思う。
これでスッキリする……といいな。
*セリフ多めですみません。
突然クリス様に聞かれた。
「そうですね。正直に言うと何とも思っていないです。以前は素敵だと思ったこともありましたが、今は何とも……。私のことを好いてくれているようですが、今は私はやりたい事があって、誰かを好きだと思う余裕がありません」
「好きだと思う余裕か。どんな時でも誰かを好きになることはある。そんな風いうのならリーンハルトにチャンスはないな」
「申し訳ありません」
私は頭を下げた。
「ミオリアが謝ることなど何もない。実はな、義兄上……リーンハルトの父親の身体の具合いが良くないようなんだ」
モーバー公爵が? リーンハルト様は知っているのだろうか?
「姉上は君とリーンを結婚させてうちの跡取りにしたいようなんだが、義兄上はやはり嫡男に継がせたいみたいなんだ。リーンは、小さい頃からモーバー家の跡継ぎとして、次期宰相として教育を受け育てられてきた。ミオリアがリーンと結婚してモーバー公爵夫人になってくれるならと義兄上はリスミー家に打診したらしいのだが、ミオリアは結婚して家に入ることは難しいし、リスミー家としてはミオリアにはアローゼン家を継ぐので、できれば婿に入ってくれる魔導士を希望していると言われたそうだ」
はぁ? 婿をとってアローゼン家を継ぐ? いやいや、それは希望であって決定ではないでしょう。
どいつもこいつも勝手なことを言いやがって!
私はイラッとしてしまった。
「みんな勝手ですね」
「そうだね。ほんとにそう思うよ。でも貴族なんてそんなものだ」
クリス様はため息をついた。
「ミオリアはどうしたい?」
「私は……ノルバスク家を継ぐのは、なしです。アローゼン家を継ぐのはあるかもしれません。アローゼン家は医療と魔法の家です。私がこれから魔法医療を学んで魔法医者になってアローゼン家を継ぐ可能性はあります」
アローゼン家は母の実家だし、医療の家だ。継ぐことは嫌ではない。
「ただ。見知らぬ魔導士を婿にというのは勘弁してほしいです。別に私が結婚しなくても、カミルの子供や他の親戚のやるべく者がやればいいと思います」
血を重視するのか力を重視するのかにもよるが、私の子供にこだわることはない。
「なるほど、ではリーンが入婿になる可能性はないか」
「はい。リーン様は宰相になられるお方です。アローゼン家が望む婿にはなれません」
クリス様は急に笑い出した。
「ミオリア、はっきりものを言うようになったな。まだここに来た頃はそうじゃなかった。ミランダやフェノバール公爵夫人の影響だな」
「そうかもしれません。目指すところがきまったからでしょう」
本当に適材適所だと思う。リーン様は自分の生きる道がある。それは私とは交わらない。
「リーンはレミニールに帰らせる。姉上にもミオリアのことは諦めてもらう。ノルバスク家はリーンハルトの弟に養子に入ってもらう。はじめからそのつもりであいつも納得しているしな」
リーンハルト様は退路を絶たれたわけね。
「あとはミオリアが誰かと婚約でもしてくれればありがたいが、愛し愛されたいんだよな?」
「はい」
「リーンハルトはなんとかするから大丈夫だ。最悪、魔法で記憶操作をすればいいしな」
記憶操作?
クリス様、なんだか怖いことを言っているわ。
とにかくリーンハルト様はレミニール王国に戻って元の日常に戻るのね。私もそれがいいと思う。
これでスッキリする……といいな。
*セリフ多めですみません。
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