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アルプラゾラム王国編
決まった
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ミディア様から出された宿題は、できるようになりたい魔法をきちんとできるようになること。
せっかくアルプラゾラム王国に留学しているのだから学ばないと勿体無い。覚えて使えるようにならないと勿体無いと言われたのだ。
今までの私は色々あってメンタルが不安定で魔法どころではなかった。確かに勿体無い話だ。
そしてもうひとつは周りに甘えること。これは不得意分野だ。ミランダも不得意らしい。甘えることは怠けることだと思っていた。しかし、ミディア様は甘えることは適材適所なのだという。できる人にやってもらう。できることをする。怠惰な気持ちで甘えることは甘えるとは言わないらしい。それは利用する、侮っているというそうで、そんな人は嫌いと笑っていた。
この1ヶ月、それをやるのが宿題だ。そして来月のお茶会でどんな感じだったか発表してねと言われた。
頑張って甘えてみよう。いやぁ、難しいわ~。
クリス様とミッシェル殿下はすっかり元に戻った。クリス様がミッシェル殿下が、ノルスバン国に行くのを嫌がったのがミディア様にやきもちを焼いていたと知り、殿下は「ないない。私がミディア様に? ありえない。今度一緒に行こう。ミディア様を知ったらそんな誤解はすぐに解けるよ」と大爆笑していた。
今日は鑑定魔法の講義の日だ。鑑定魔法は希望者は多いが、適性のない者は受けられない。適性検査をしたのち、受けられるものが決まる。しかも完全マンツーマンなのだ。この学校はマンツーマンの授業が多い。それだけ難しい魔法を伝授しているということらしい。
私はここでは回復魔法をよりスペシャルにすることや、光属性の魔法をきちんと使えるようにすること、自分の使える魔法を全て使えるようにする事を目標にしていて、それで1年分のカリキュラムを組んでもらっている。そしてそれぞれの魔法の先生からお墨付きをもらったら国家試験を受けて、受かればその魔法のスペシャリストに認定される。
鑑定魔法の先生はカミルの師匠だ。
「リスミー嬢は分析魔法ができるとカミルから聞いている。分析魔法と鑑定魔法ができれば活躍の場が増える。カミルは姉は自分より力がある。ただの貴族夫人になどなっては国の損失だとまで言っていたよ」
先生の口からそんなことを言われ、私は恐縮する。
「そんなとんでもない。身内の欲目ですわ。ただ私もただの貴族夫人で終わりたくありません。せっかくならやれることをやりたいです。先生よろしくお願いします」
「承知した。君ならすぐに鑑定魔法を取得できるだろう」
先生の言葉に安堵した。
鑑定魔法はまず、ベースになる基礎をしっかり学んで、あとは何かに特化した鑑定を学ぶ。私はすぐにベースはできるようになったので、医療に特化した鑑定を学ぶことになった。
「カミルの言うとおり、本当にリスミー嬢は力があるな。留学期間を終えたら、魔法省で働かないか?」
先生に誘われてしまった。
「ありがとうございます。でも私はここを卒業したら、ノルスバン国のフェノバール領にある魔法医療学校で学ぼうかと考えているのです」
「フェノバールか。それは面白いな。フェノバール魔法医療学校か。フェノバールに行くと帰りたくなくなると聞いたことがある。フェノバール領は楽園だと。いいなぁ。私も行きたいな」
先生は笑う。
「この国は人使いが荒い。魔法省は人手不足だしな。私も楽園でのんびりしたいなぁ」
先生は疲れているようだ。
「先生、お疲れのように見えますよ。回復魔法おかけしましょうか?」
「いいのか? 疲れないか?」
回復魔法には色んなタイプがある。相手の痛みを自分に憑依させるタイプや魔力を吸い取られるタイプ、ダメージがすごいタイプなどもあるので心配してくれているようだ。
私の回復魔法は特に何もでない。私は無駄に魔力が多いので放出した方が身体は楽になる。
「疲れるどころか元気になります。是非やらせて下さい」
「頼む」
私は先生に手をかざしスキャンを始めた。
「リスミー嬢、その時、鑑定魔法を使ってみたらどうだ? より深く悪い場所を知ることが可能ではないか?」
なるほど。さすが先生だ。私は勉強中の鑑定魔法を使いながら先生の身体をスキャンする。
えっ? これは?
「先生、最近胃の調子が悪くないですか?」
「あぁ、わかるか? 胃が重くて食欲がないんだ。病院に行こうと思っているのだが仕事が忙し過ぎて時間が取れなくてね」
胃に腫瘍のようなものが3つほどある。これが先生の不調の原因だな。
「胃に良くないものがあるので消しちゃいますね」
私は先生を不安にさせないようににこにこしながら回復魔法をかけていく。悪い部分を浄化する。今回は回復といっても修復するわけではない。不要なものを排除する魔法だ。胃の中の腫瘍のようなものはどんどん小さくなり消えた。最後に全身を浄化し、守護魔法をかける。
「先生終わりましたよ。これでもう大丈夫です」
先生は目を見開いている。
「リスミー嬢、すごいな。やっぱり君は魔法医師になるべきだ。鑑定魔法が活きて使われたので教えた甲斐があった。それに私を救ってくれた君は私の命の恩人だ」
そんな大袈裟な。
でも、この事で私の腹はきまった。私は魔法医師になりたい。
せっかくアルプラゾラム王国に留学しているのだから学ばないと勿体無い。覚えて使えるようにならないと勿体無いと言われたのだ。
今までの私は色々あってメンタルが不安定で魔法どころではなかった。確かに勿体無い話だ。
そしてもうひとつは周りに甘えること。これは不得意分野だ。ミランダも不得意らしい。甘えることは怠けることだと思っていた。しかし、ミディア様は甘えることは適材適所なのだという。できる人にやってもらう。できることをする。怠惰な気持ちで甘えることは甘えるとは言わないらしい。それは利用する、侮っているというそうで、そんな人は嫌いと笑っていた。
この1ヶ月、それをやるのが宿題だ。そして来月のお茶会でどんな感じだったか発表してねと言われた。
頑張って甘えてみよう。いやぁ、難しいわ~。
クリス様とミッシェル殿下はすっかり元に戻った。クリス様がミッシェル殿下が、ノルスバン国に行くのを嫌がったのがミディア様にやきもちを焼いていたと知り、殿下は「ないない。私がミディア様に? ありえない。今度一緒に行こう。ミディア様を知ったらそんな誤解はすぐに解けるよ」と大爆笑していた。
今日は鑑定魔法の講義の日だ。鑑定魔法は希望者は多いが、適性のない者は受けられない。適性検査をしたのち、受けられるものが決まる。しかも完全マンツーマンなのだ。この学校はマンツーマンの授業が多い。それだけ難しい魔法を伝授しているということらしい。
私はここでは回復魔法をよりスペシャルにすることや、光属性の魔法をきちんと使えるようにすること、自分の使える魔法を全て使えるようにする事を目標にしていて、それで1年分のカリキュラムを組んでもらっている。そしてそれぞれの魔法の先生からお墨付きをもらったら国家試験を受けて、受かればその魔法のスペシャリストに認定される。
鑑定魔法の先生はカミルの師匠だ。
「リスミー嬢は分析魔法ができるとカミルから聞いている。分析魔法と鑑定魔法ができれば活躍の場が増える。カミルは姉は自分より力がある。ただの貴族夫人になどなっては国の損失だとまで言っていたよ」
先生の口からそんなことを言われ、私は恐縮する。
「そんなとんでもない。身内の欲目ですわ。ただ私もただの貴族夫人で終わりたくありません。せっかくならやれることをやりたいです。先生よろしくお願いします」
「承知した。君ならすぐに鑑定魔法を取得できるだろう」
先生の言葉に安堵した。
鑑定魔法はまず、ベースになる基礎をしっかり学んで、あとは何かに特化した鑑定を学ぶ。私はすぐにベースはできるようになったので、医療に特化した鑑定を学ぶことになった。
「カミルの言うとおり、本当にリスミー嬢は力があるな。留学期間を終えたら、魔法省で働かないか?」
先生に誘われてしまった。
「ありがとうございます。でも私はここを卒業したら、ノルスバン国のフェノバール領にある魔法医療学校で学ぼうかと考えているのです」
「フェノバールか。それは面白いな。フェノバール魔法医療学校か。フェノバールに行くと帰りたくなくなると聞いたことがある。フェノバール領は楽園だと。いいなぁ。私も行きたいな」
先生は笑う。
「この国は人使いが荒い。魔法省は人手不足だしな。私も楽園でのんびりしたいなぁ」
先生は疲れているようだ。
「先生、お疲れのように見えますよ。回復魔法おかけしましょうか?」
「いいのか? 疲れないか?」
回復魔法には色んなタイプがある。相手の痛みを自分に憑依させるタイプや魔力を吸い取られるタイプ、ダメージがすごいタイプなどもあるので心配してくれているようだ。
私の回復魔法は特に何もでない。私は無駄に魔力が多いので放出した方が身体は楽になる。
「疲れるどころか元気になります。是非やらせて下さい」
「頼む」
私は先生に手をかざしスキャンを始めた。
「リスミー嬢、その時、鑑定魔法を使ってみたらどうだ? より深く悪い場所を知ることが可能ではないか?」
なるほど。さすが先生だ。私は勉強中の鑑定魔法を使いながら先生の身体をスキャンする。
えっ? これは?
「先生、最近胃の調子が悪くないですか?」
「あぁ、わかるか? 胃が重くて食欲がないんだ。病院に行こうと思っているのだが仕事が忙し過ぎて時間が取れなくてね」
胃に腫瘍のようなものが3つほどある。これが先生の不調の原因だな。
「胃に良くないものがあるので消しちゃいますね」
私は先生を不安にさせないようににこにこしながら回復魔法をかけていく。悪い部分を浄化する。今回は回復といっても修復するわけではない。不要なものを排除する魔法だ。胃の中の腫瘍のようなものはどんどん小さくなり消えた。最後に全身を浄化し、守護魔法をかける。
「先生終わりましたよ。これでもう大丈夫です」
先生は目を見開いている。
「リスミー嬢、すごいな。やっぱり君は魔法医師になるべきだ。鑑定魔法が活きて使われたので教えた甲斐があった。それに私を救ってくれた君は私の命の恩人だ」
そんな大袈裟な。
でも、この事で私の腹はきまった。私は魔法医師になりたい。
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