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私にはその価値がある(プリシラ視点)
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私が前世の記憶を取り戻したのはつい最近、私は侯爵と愛人との間にできた娘。
父は成り上がるために侯爵家の娘に取り入り結婚したようだ。
私の母は平民だ。容姿は良い。父と母は真実の愛で結ばれているらしい。
私達は市井に住んではいたが、父が侯爵だったためとても裕福だった。
父は私を溺愛してくれていた。
私が父にもうひとり娘がいると知ったのはつい最近。
もうひとりの娘も溺愛しているのかと思うととても腹立たしかった。そして、その娘が王太子の婚約者なんて本当にイラついた。
「パパ、その娘と私のどちらが好き? どちらが大事?」
「そりゃ、プリシラに決まっているじゃないか、あんな出来損ないの役立たずと、可愛いお前を比べる事などあり得ないよ」
父は私の髪を撫でながらデレデレしている。
「だったら私が王太子の婚約者になりたいわ。パパ、なんとかして」
「何とかしてやりたいがむずかしいな。王太子が望んでくれればいいんだがな。あの出来損ないは王太子の心を掴めない。嫌われているようだ。きっとそのうち婚約破棄されて、あのリスミー侯爵の令嬢に取られる」
リスミー侯爵の令嬢?
「どうして?」
私はあざと可愛いく小首をこてんと傾げた。
「同じくらいの年頃の娘で婚約者がまだ決まっていないのはリスミー侯爵の娘とインタール公爵の娘だけなんだ。インタールとの結婚はないだろうから、うちにとってかわるとすればリスミー嬢。だからマヌエラに蹴落とすようにさせたのに全くだめだった」
父は大きなため息をついた。
「もう、そのマヌエラを領地に閉じ込めちゃえばいいよ。私の事を病弱で領地に隠していた妹として入れ替えてよ」
「そうか、それいいな。よし、そうしよう」
私は生まれた時から身体が弱く、領地で静養していた妹として父の娘と入れ違いで王都にきた。
戸籍なんてお金さえあればなんとでもなるのよ。父が戸籍課の文官を買収して、私の戸籍が生まれた時からペルマックス侯爵家の次女として届けられていたように偽造した。
もちろん戸籍上はペルマックス夫人の娘よもう庶子じゃないわ。
狙いは王太子よ。
「プリシラ、魔法は使えるか?」
父が突然聞いてきた。
魔法? そんなの使えるわけないじゃ無い。
「無理だわ」
「そうだな。いや、いいんだ。マヌエラに魅了の魔法を使わそうと練習させたが、全く使えなかった」
「私も使えないわ。パパ、役立たずでごめんなさい」
瞳をうるうるさせながら上目遣いで見てやる。
「いいんだ。いいんだ。プリシラは魔法なんて使えなくていい。ガランタミン国で魅了の魔法のようなことができる薬を見つけたんだ。飲まなくても砕いて水と混ぜ香水のように使えば匂いで男は骨抜きになるらしい。まぁ、プリシラなら、そんなもの使わなくても虜にできると思うが、つけてみてくれるか?」
「パパが望むならつけるわ」
私は父に抱きついた。
まぁ、私の魅力で落とせるけど、そんな道具があるなら使わない手は無い。
転校生として学園に行く日の朝になった。
父が作ってくれた魅了の香水を身体に振りかける。
匂いなんかしないけど? 大丈夫かな?
え? 何これ?
香水をつけた瞬間私の頭の中に映像が流れ込んできた。
あ~、私、キャロラインだったわ。
もう少しでミッション完了だったのに。大金と地位が手に入るところだったのに。
こんな恥ずかしい殺され方をするなんて。
許さない! ブラッドリー・ノルバスクだけは許さない。
そして、ミランダ・ノルバスク。よくも死んでからも私の邪魔をしてくれたわね。
学園では香りのせいか、何もしなくても馬鹿な男達は私に夢中になり尽くしてくれる。それにキャロラインの記憶が戻ったせいか、キャロラインが身につけたハニートラップの技が面白いように使える。
そして、見つけた。ブラッドリー・ノルバスクとミランダ・ノルバスクの生まれ変わりのふたりを。
ふたりは今回は全く他人のようだが、ブラッドリーが転生したリーンハルトはミランダが転生したミオリアに懸想しているようだ。
面白いじゃない。
リーンハルトを落としてやるわ。そして地獄を見せてやる。ミオリアも早い目に始末しておこう。
王太子をたらし込んで、王太子妃になり、いずれこの国、レミニール王国の王妃になってやるわ。
私にはその権利があるのよ。
邪魔する奴はみんな消してやるわ。覚悟しておきなさいよ!
父は成り上がるために侯爵家の娘に取り入り結婚したようだ。
私の母は平民だ。容姿は良い。父と母は真実の愛で結ばれているらしい。
私達は市井に住んではいたが、父が侯爵だったためとても裕福だった。
父は私を溺愛してくれていた。
私が父にもうひとり娘がいると知ったのはつい最近。
もうひとりの娘も溺愛しているのかと思うととても腹立たしかった。そして、その娘が王太子の婚約者なんて本当にイラついた。
「パパ、その娘と私のどちらが好き? どちらが大事?」
「そりゃ、プリシラに決まっているじゃないか、あんな出来損ないの役立たずと、可愛いお前を比べる事などあり得ないよ」
父は私の髪を撫でながらデレデレしている。
「だったら私が王太子の婚約者になりたいわ。パパ、なんとかして」
「何とかしてやりたいがむずかしいな。王太子が望んでくれればいいんだがな。あの出来損ないは王太子の心を掴めない。嫌われているようだ。きっとそのうち婚約破棄されて、あのリスミー侯爵の令嬢に取られる」
リスミー侯爵の令嬢?
「どうして?」
私はあざと可愛いく小首をこてんと傾げた。
「同じくらいの年頃の娘で婚約者がまだ決まっていないのはリスミー侯爵の娘とインタール公爵の娘だけなんだ。インタールとの結婚はないだろうから、うちにとってかわるとすればリスミー嬢。だからマヌエラに蹴落とすようにさせたのに全くだめだった」
父は大きなため息をついた。
「もう、そのマヌエラを領地に閉じ込めちゃえばいいよ。私の事を病弱で領地に隠していた妹として入れ替えてよ」
「そうか、それいいな。よし、そうしよう」
私は生まれた時から身体が弱く、領地で静養していた妹として父の娘と入れ違いで王都にきた。
戸籍なんてお金さえあればなんとでもなるのよ。父が戸籍課の文官を買収して、私の戸籍が生まれた時からペルマックス侯爵家の次女として届けられていたように偽造した。
もちろん戸籍上はペルマックス夫人の娘よもう庶子じゃないわ。
狙いは王太子よ。
「プリシラ、魔法は使えるか?」
父が突然聞いてきた。
魔法? そんなの使えるわけないじゃ無い。
「無理だわ」
「そうだな。いや、いいんだ。マヌエラに魅了の魔法を使わそうと練習させたが、全く使えなかった」
「私も使えないわ。パパ、役立たずでごめんなさい」
瞳をうるうるさせながら上目遣いで見てやる。
「いいんだ。いいんだ。プリシラは魔法なんて使えなくていい。ガランタミン国で魅了の魔法のようなことができる薬を見つけたんだ。飲まなくても砕いて水と混ぜ香水のように使えば匂いで男は骨抜きになるらしい。まぁ、プリシラなら、そんなもの使わなくても虜にできると思うが、つけてみてくれるか?」
「パパが望むならつけるわ」
私は父に抱きついた。
まぁ、私の魅力で落とせるけど、そんな道具があるなら使わない手は無い。
転校生として学園に行く日の朝になった。
父が作ってくれた魅了の香水を身体に振りかける。
匂いなんかしないけど? 大丈夫かな?
え? 何これ?
香水をつけた瞬間私の頭の中に映像が流れ込んできた。
あ~、私、キャロラインだったわ。
もう少しでミッション完了だったのに。大金と地位が手に入るところだったのに。
こんな恥ずかしい殺され方をするなんて。
許さない! ブラッドリー・ノルバスクだけは許さない。
そして、ミランダ・ノルバスク。よくも死んでからも私の邪魔をしてくれたわね。
学園では香りのせいか、何もしなくても馬鹿な男達は私に夢中になり尽くしてくれる。それにキャロラインの記憶が戻ったせいか、キャロラインが身につけたハニートラップの技が面白いように使える。
そして、見つけた。ブラッドリー・ノルバスクとミランダ・ノルバスクの生まれ変わりのふたりを。
ふたりは今回は全く他人のようだが、ブラッドリーが転生したリーンハルトはミランダが転生したミオリアに懸想しているようだ。
面白いじゃない。
リーンハルトを落としてやるわ。そして地獄を見せてやる。ミオリアも早い目に始末しておこう。
王太子をたらし込んで、王太子妃になり、いずれこの国、レミニール王国の王妃になってやるわ。
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