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王都に戻ってきました
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私達はまた、転移魔法でペルマックス領から王都に戻ってきた。
マヌエラは王家のプライベートゾーンで匿われることになった。もちろん護衛や影も配し、すべての決着がつくまで表に出さずに殿下が匿うそうだ。
領地では、分身魔法を使い、マヌエラの分身に部屋に閉じこもってもらう。領地の屋敷にいる公爵の手の者達からマヌエラは心を病み、部屋に引きこもっていると侯爵に報告が言っているはずだ。
夫人は先代の当主の頃から働いている執事や家令、メイド長らと秘密裏に動き離婚の準備をしている。ハニートラップにはハニートラップだ。離婚に向けて、侯爵を暗部で訓練を積んだ工作員に誘惑させている。
私とディアナはマヌエラなの様子を見に来ていた。
マヌエラの部屋はプライベートの奥まったところにあった。
かなり広い部屋で隣には侍女や護衛騎士が待機できる部屋もある。
扉は2重になっていて、二つ目の扉の前に騎士が2名立っている。
廊下側の一つ目の扉の前には誰もいないので、中に王太子の婚約者がいるとは誰も思わないだろう。
「マヌエラ、どう? こんなところに閉じ込められて退屈してない?」
ディアナの言葉にマヌエラは微笑む。
「もともと、部屋でじっと本を読んだり、刺繍をしたりするのが好きなので退屈はないですわ。それにラート様がしょっちゅう来られるので、一緒にお話をしたり、スイーツを食べたり、今までの生活とはあまりにも違いすぎて申し訳ないような気持ちになります」
本来のマヌエラはとても謙虚なんだな。
「私も刺繍が好きなので、今度いっしょに刺繍をしながらお話しませんか?」
「嬉しいですわ。今までそんなお友達がいなかったので、是非よろしくお願いします」
私も同じ趣味の友達ができて嬉しい。
「ラート様は何も教えてはくれないのですが、プリシラはどうしてますか?」
「魅了の魔法撒き散らしているわよ」
マヌエラの問いにディアナがサラッと答える。
「ラート様は大丈夫なのでしょうか? ヘンドリック様のようにはならないかと不安で」
そりゃそうだろう。あれを見たことのある人なら心配になる。
「大丈夫ですよ。殿下は魔道具もつけているし、耐性をつける訓練もしています。ね」
「ええ、あのあと、暗部のハニートラップ専門で魅了の魔法を使う影を相手に魔法にかからない特訓をしたからね。それに魅了の魔法は好意を持たれている相手にしか発動しないの。ラートガー殿下はマヌエラにメロメロだもの。プリシラに好意を抱く事などないわね」
ディアナの言葉にマヌエラは顔を赤らめた。
「夫人も動き出しているようですわね」
私はそう言いながらマヌエラの側に座った。
「はい。領地には古くからペルマックス家に仕えてくれている家令達もいるし、ラート様や宰相閣下も手助けをしてくれていると母から伝書バードが来ていましたわ」
「きっとうまくいきますわ。調べによると侯爵は東方のガランタミン国と結託して悪事を働いているようです。あの時と同じように殿下を謀略してこの国を我が物にしたいようです」
私達は何もできない。ただ信じて待つしかない。
侯爵は私達の予想通り、プリシラを使い、殿下や側近のリーンハルト様達に魅了の魔法をかけてきた。
みんな魅了の魔法にかかったふりをしている。
プリシラはまるであの時のキャロラインのようだった。
マヌエラは王家のプライベートゾーンで匿われることになった。もちろん護衛や影も配し、すべての決着がつくまで表に出さずに殿下が匿うそうだ。
領地では、分身魔法を使い、マヌエラの分身に部屋に閉じこもってもらう。領地の屋敷にいる公爵の手の者達からマヌエラは心を病み、部屋に引きこもっていると侯爵に報告が言っているはずだ。
夫人は先代の当主の頃から働いている執事や家令、メイド長らと秘密裏に動き離婚の準備をしている。ハニートラップにはハニートラップだ。離婚に向けて、侯爵を暗部で訓練を積んだ工作員に誘惑させている。
私とディアナはマヌエラなの様子を見に来ていた。
マヌエラの部屋はプライベートの奥まったところにあった。
かなり広い部屋で隣には侍女や護衛騎士が待機できる部屋もある。
扉は2重になっていて、二つ目の扉の前に騎士が2名立っている。
廊下側の一つ目の扉の前には誰もいないので、中に王太子の婚約者がいるとは誰も思わないだろう。
「マヌエラ、どう? こんなところに閉じ込められて退屈してない?」
ディアナの言葉にマヌエラは微笑む。
「もともと、部屋でじっと本を読んだり、刺繍をしたりするのが好きなので退屈はないですわ。それにラート様がしょっちゅう来られるので、一緒にお話をしたり、スイーツを食べたり、今までの生活とはあまりにも違いすぎて申し訳ないような気持ちになります」
本来のマヌエラはとても謙虚なんだな。
「私も刺繍が好きなので、今度いっしょに刺繍をしながらお話しませんか?」
「嬉しいですわ。今までそんなお友達がいなかったので、是非よろしくお願いします」
私も同じ趣味の友達ができて嬉しい。
「ラート様は何も教えてはくれないのですが、プリシラはどうしてますか?」
「魅了の魔法撒き散らしているわよ」
マヌエラの問いにディアナがサラッと答える。
「ラート様は大丈夫なのでしょうか? ヘンドリック様のようにはならないかと不安で」
そりゃそうだろう。あれを見たことのある人なら心配になる。
「大丈夫ですよ。殿下は魔道具もつけているし、耐性をつける訓練もしています。ね」
「ええ、あのあと、暗部のハニートラップ専門で魅了の魔法を使う影を相手に魔法にかからない特訓をしたからね。それに魅了の魔法は好意を持たれている相手にしか発動しないの。ラートガー殿下はマヌエラにメロメロだもの。プリシラに好意を抱く事などないわね」
ディアナの言葉にマヌエラは顔を赤らめた。
「夫人も動き出しているようですわね」
私はそう言いながらマヌエラの側に座った。
「はい。領地には古くからペルマックス家に仕えてくれている家令達もいるし、ラート様や宰相閣下も手助けをしてくれていると母から伝書バードが来ていましたわ」
「きっとうまくいきますわ。調べによると侯爵は東方のガランタミン国と結託して悪事を働いているようです。あの時と同じように殿下を謀略してこの国を我が物にしたいようです」
私達は何もできない。ただ信じて待つしかない。
侯爵は私達の予想通り、プリシラを使い、殿下や側近のリーンハルト様達に魅了の魔法をかけてきた。
みんな魅了の魔法にかかったふりをしている。
プリシラはまるであの時のキャロラインのようだった。
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