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ディアナに打ち明けました
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その日の帰り、ディアナの屋敷に寄ることになった。
我が家は遅くなると御者に言伝を頼んだ。帰りはディアナの家の馬車で送ってもらうので先に戻ってもらったのだ。
ディアナの屋敷に到着すると、あらかじめ私が来ると連絡が行っていたからか、伯父様と伯母様が迎えでてくれた。
「ミオリア、久しぶりだな。一昨日は大変だったそうだが、もう大丈夫なのか?」
「はい。もう大丈夫です。ありがとうございます」
「これ以上何がしてくるなら消すから心配しなくていい」
伯父様、それはちょっと……。
「あら、あなた、過激よ。ミオリアちゃんがびっくりしちゃうわ。ミオリアちゃん、ごめんなさいね。そうそう晩御飯一緒に食べましょう。帰りはうちの馬車で送るからゆっくりしていってね」
伯母様はいつも優しい。女神様みたいだ。
私達はインタール家のパティシエが作ってくれたスイーツを食べながらお茶を楽しんでいる。
うちのパティシエのスイーツも美味しいけど、インタール家は公爵家だけあってうちより美味しい。
「ねぇ、話したいことって何?」
ディアナは興味津々な表情だ。
「うん、嘘みたいな話なんだけど驚かないでね」
私は前世の話をした。
ディアナは頷きながら聞いてくれている。
「なるほどね。だからグランダキシン王国を調べてみたくなったわけね」
「そうなの。私が死んだ後どうなったのかなと思ってね」
「まぁ、でも、リーマス王国に侵略されてるんだから、ミオリアの願いは叶ったんじゃない?」
確かに叶ったといえば叶ってるなぁ。
「ただ、私が死んでから何年くらいしてからなんだろう? 侵略されたのは王子とあの女が亡くなって子供の代になってからかもしれないし」
私の中にいる前世の私は不幸になるのはあのふたりじゃないと意味がないと言っているようだ。
「そうね。確かにそうかもね」
「それで、エマの曽祖母様が元グランダキシン王国の出身で両親や祖父からグランダキシン王国時代の話を聞いているようなの。何か私が亡くなった後の事を知っているかもしれないから、次の休みに会いに行く約束をしたのよ」
ディアナはうんうん頷いている。
「ディアナ、この話信じてくれるの?」
「当たり前じゃない。それにそこまで名前なんかもはっきりしているなら疑いようがないわ。きっと私も思い出していないだけでそこに生きていたような気がするわ」
ディアナは紅茶をひと口飲んだ。
「私ね、時々夢を見るのよ、その夢の中ではいつも後悔しているの。大事な人を守れなかった後悔。インタールの娘に生まれたのはきっと意味があるんだと思って幼い頃から鍛えてきたわ。その夢の中で私はラーレと呼ばれていたの」
「ラーレ……」
ラーレ? ラーレって?
ラーレって私の護衛騎士だ!
「ディアナ、ラーレって前世の私の護衛騎士の名前だわ。あの時、ラーレのお母様が亡くなって故郷に戻っていたのよ。ラーレは戻っている間に私に何かあったらと帰るのを渋っていたのだけど、うちには私営騎士団もあって騎士も沢山いるから大丈夫だと言って、私が無理矢理戻したのだったわ」
まさかディアナがラーレだったとは。
ディアナは黙り込んでいる。
「もし、ラーレが故郷に戻らず私のそばにいたとしても、私は同じ目に遭っていたわ。だからラーレは後悔なんてしないでいいの。ラーレのせいじゃなく、私が死んだのは王太子とあの女のせいなんだから」
そう言ってディアナの肩に手を置くとディアナの目から涙が溢れ出した。
「ミオリア、不思議だわ。私はラーレの記憶が何もないんだけど、涙が止まらないの。間違いなく私は護衛騎士のラーレだったみたいね。今のミオリアの言葉で心が溶けていくのがわかるわ。ラーレは苦しんでいたのね」
号泣しながら冷静に話すディアナはなんだか不思議な感じだ。
ディアナは私の肩をぐっと両手で掴んだ。
「私も一緒に行くわ。私はミオリアを守らなくちゃならないしね」
守るとかそんなたいそうな事はないと思うのだけど、ディアナか一緒なら心強い。
エマの曽祖母様のところにはディアナも一緒に行くことになった。
我が家は遅くなると御者に言伝を頼んだ。帰りはディアナの家の馬車で送ってもらうので先に戻ってもらったのだ。
ディアナの屋敷に到着すると、あらかじめ私が来ると連絡が行っていたからか、伯父様と伯母様が迎えでてくれた。
「ミオリア、久しぶりだな。一昨日は大変だったそうだが、もう大丈夫なのか?」
「はい。もう大丈夫です。ありがとうございます」
「これ以上何がしてくるなら消すから心配しなくていい」
伯父様、それはちょっと……。
「あら、あなた、過激よ。ミオリアちゃんがびっくりしちゃうわ。ミオリアちゃん、ごめんなさいね。そうそう晩御飯一緒に食べましょう。帰りはうちの馬車で送るからゆっくりしていってね」
伯母様はいつも優しい。女神様みたいだ。
私達はインタール家のパティシエが作ってくれたスイーツを食べながらお茶を楽しんでいる。
うちのパティシエのスイーツも美味しいけど、インタール家は公爵家だけあってうちより美味しい。
「ねぇ、話したいことって何?」
ディアナは興味津々な表情だ。
「うん、嘘みたいな話なんだけど驚かないでね」
私は前世の話をした。
ディアナは頷きながら聞いてくれている。
「なるほどね。だからグランダキシン王国を調べてみたくなったわけね」
「そうなの。私が死んだ後どうなったのかなと思ってね」
「まぁ、でも、リーマス王国に侵略されてるんだから、ミオリアの願いは叶ったんじゃない?」
確かに叶ったといえば叶ってるなぁ。
「ただ、私が死んでから何年くらいしてからなんだろう? 侵略されたのは王子とあの女が亡くなって子供の代になってからかもしれないし」
私の中にいる前世の私は不幸になるのはあのふたりじゃないと意味がないと言っているようだ。
「そうね。確かにそうかもね」
「それで、エマの曽祖母様が元グランダキシン王国の出身で両親や祖父からグランダキシン王国時代の話を聞いているようなの。何か私が亡くなった後の事を知っているかもしれないから、次の休みに会いに行く約束をしたのよ」
ディアナはうんうん頷いている。
「ディアナ、この話信じてくれるの?」
「当たり前じゃない。それにそこまで名前なんかもはっきりしているなら疑いようがないわ。きっと私も思い出していないだけでそこに生きていたような気がするわ」
ディアナは紅茶をひと口飲んだ。
「私ね、時々夢を見るのよ、その夢の中ではいつも後悔しているの。大事な人を守れなかった後悔。インタールの娘に生まれたのはきっと意味があるんだと思って幼い頃から鍛えてきたわ。その夢の中で私はラーレと呼ばれていたの」
「ラーレ……」
ラーレ? ラーレって?
ラーレって私の護衛騎士だ!
「ディアナ、ラーレって前世の私の護衛騎士の名前だわ。あの時、ラーレのお母様が亡くなって故郷に戻っていたのよ。ラーレは戻っている間に私に何かあったらと帰るのを渋っていたのだけど、うちには私営騎士団もあって騎士も沢山いるから大丈夫だと言って、私が無理矢理戻したのだったわ」
まさかディアナがラーレだったとは。
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そう言ってディアナの肩に手を置くとディアナの目から涙が溢れ出した。
「ミオリア、不思議だわ。私はラーレの記憶が何もないんだけど、涙が止まらないの。間違いなく私は護衛騎士のラーレだったみたいね。今のミオリアの言葉で心が溶けていくのがわかるわ。ラーレは苦しんでいたのね」
号泣しながら冷静に話すディアナはなんだか不思議な感じだ。
ディアナは私の肩をぐっと両手で掴んだ。
「私も一緒に行くわ。私はミオリアを守らなくちゃならないしね」
守るとかそんなたいそうな事はないと思うのだけど、ディアナか一緒なら心強い。
エマの曽祖母様のところにはディアナも一緒に行くことになった。
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