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猫になった

74 一件落着

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「私が正義の名の下に世間を騒がせたお前を捕まえる!」

「ひいい!お許しください!」

 アルツの領主はやはり黒で、オーグさんの方でしっかり裏を取っていたようだ。

「折角だし、リック君達に成敗してもらうか。その方が話題性がある」

 オーグさんは笑い、正式にリックに依頼したそうだ。
 アルツ領主はすぐさま罪を認め、王都へ連行し、裁判にかけるらしい。

「これは正義だ!」

「そうですね」

 分かりやすくて良い事だ。事例を積み重ねて、頑張ってほしいと思う。少しオーグさんの思う壺だった気がするけど、まあ良いかなぁ?

 リック達はしばらく休養して、旅に出た。

「グランベルンはなかなか良い国であるな!また来る」

 オーグさんはわざわざ街の外れまで見送りに来た。俺と並んでリックを見送り

「これもアピール?」

「そうだね。うちの神獣ではないし、私達は敵対もしていなく、仲も良い。そんな関係が一番だからね」

「はは、王様は大変だ」

「大変だと思うなら、少しは労って欲しいんだけど?」

 それは遠慮します、と肩に置かれた手をピシッと叩いておく。

「だーから、ドンってすんの」

「いーや、ガーッだって」

「えーしゅおーんって感じじゃない?」

 脳筋が頭の悪い会話をしている。三人集まってもオーグさんには敵わないだろう。睦月君とレイリーとマリティアさんだ。身振り手振りで何か話し合っている。

「で、そこでガッてして、掴んで」

「あー、なる」

「ボコボコね!」

 頭は悪いがウマは合うようで仲良しなんだよね。

「で、こうさ」

 睦月君がレイリーに向かって殴りかかる。それをひょいと避け

「あーうんうん、で、こう?」

「そっちか、こうじゃない?」

 三人でじゃれあっている。どうも実力も拮抗していて、手合わせもいい勝負らしい。三人いるのも良いらしく、今日はあっち、明日はそっちと微妙なアレンジも効く。

 ぶっちゃけ運動不足が解消され、夜のお誘いが減った。良い事だ!それでもよくのしかかってくるが、まあ……気が向いたらお相手している。
 気が向いたらだけどね!?

 最近困ったのが隠者ハーミットのレオナルドさんだ。大人しく、セリンナリンのほぼ素っ裸の絵を描いていれば良いのに

「ユーリ殿、ちょっと脱いでみないか?私の芸術のために!」

 と、鉛筆を握りしめながら迫ってくるのは頂けない。

「やめろ!エロナルド!」

「ユーリ!逃げて!被害者はボク達だけで良い!」

 と、二人に助けられている。一度誰かと寝ていた時に、闇の中でレオナルドさんの目が光っていたのはちょっとしたトラウマだ。怖い。
 近いうちに俺の尻まで全世界に向けて公表されてしまうかも知れない……嫌だなぁ。

「ふふ」「ははは」

 トライスさんとレガリアさんは今日もぺったりくっ付いてラブラブなご様子だ。

「何人かなあ」「4.5人でしょう?」

 まだぺったんこのトライスさんのお腹をなでなでしている。どうやら子供が出来たようだ。二人が望んだから、らしい。神獣の神秘……。

「私が先に産むんです。そしたら次はレガリアですよ」

「はあ?次もトライスが産んでくれるよね?」
 
 あら?

「ふっざけんな!順番だって決めたでしょう?!約束を違えるな!」

「はあ?!そんな約束してないですし?!下になった方が産むんだよ!」

「お前を下にしてやるから安心しろ!」

 どうも、以前の調子も残っているらしい。

「試してみるか?」

「やってやる!」

 ケンカ越しに言い合いながら、いなくなり

「うーん、次も私が産みましょう」

「えー、私が産みますよ」

 と、またくっ付いて戻ってくるから、不思議だ。

「強烈に嫌いあっているのは、相手の事が気になっちゃうからだしねー!」

 セリンは言うし

「本当に嫌いなら無視するでしょ。だから本当は好きあってるんだよ!」

 ナリンも言うからまああの二人はそんな感じで、一生ああなんだろう。



 
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