【完結】猫魔術師殿は今夜も眠れない

鏑木 うりこ

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猫になった

73 猫使い

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「と言うわけでグランベルン王よ、我々はアルツ領領主に真意を問いたいと思っているのだが、どうだろうか!」

 グランベルンの城は小さい。だから王の謁見の間は小さい。だが、小さいとはいえ謁見の間と言うくらいだそこそこは大きいし、少ないとは言え部下たちがいる。

正義ジャスティス殿。まずは挨拶でもしようではないか……」

 うん、オーグさんでなくても頭を抱えると思う。入ってきて突然ソレはないわ、リック。リック、貴族の出だよね?どしたの?オーグさんは領土は狭いが幸せ度の高いグランベルンの王様だよ?ついでにいえば皇帝エンペラーの神獣だよ?わかってる?ねえ分かってる??
 俺も一緒に頭を抱えたよね、ホント。

「しかし、一刻も早く苦しんでいる民を救った方が良いのではないか!?」

 リックのいう事には一理あるが、一理しかない。深いため息をついてオーグさんは真剣な顔をする。

「これ以上ここで話すのであれば、私は君を罰しなければならないのだが、良いだろうね?」

「何故!」

 リックは真面目だし、オーグさんは立場上全てを語るわけにはいかない。あーめんどくさい。そしてこちらをちらっとみたオーグさんと目が合っちゃった~あ~。

「リック。あの人は王様だよ。王様に奏上するという事は何かあった時責任は取らなきゃいけないんだ。今回の件、きちんと証拠はあるのかい?ここの部屋に居る全員の人を納得させる証拠があるかい?」

「ある!」

「どこに?」

「みんな見ただろう!ユーリも見たはずだ!」

 見たし、確かにそうだとは思ったが

「俺は確かな証拠があったとは言えないぞ。俺たちの出した答えは推測に過ぎないんだ。確定の証拠も掴んでいないのに公式の場で高らかに叫んでいい事柄じゃないって俺は思うな」

「確かに!ユーリの言う事は何かと正しいな!」

 ほっと一安心だ。

「やれやれ、悠里殿の猫使いっぷり、なかなかでございますな」

 久しぶりにみた宰相さんが屈んで、ちっちっちっ!と猫を呼ぶあの音を出しながら、猫じゃらしを振っている。
 ちょっと!どこからその猫じゃらし出したの?!ほんとやめてよねー!

「ほーらほら、おいでおいでー」

 やめろよ、いく訳無いだろう?俺は大体人間なんだぞ!よく見ろ!周りの神獣達を!みんなその猫じゃらしの動きに夢中だぞ!猫じゃらしが上に行けば視線が上に右に行けば右なんだからね?!

 分かってんのか!おっさん!!

「むふ」

「あ、しまった」

 俺はまんまと宰相さんに抱っこされている。

「宰相さんの猫使いっぷりも中々ですよ……あ、あとリックもなかなかのもふりっぷりですよ……」

「ほほう?それはそれは、是非抱っこさせてもらわねばなりませんな!所で悠里殿、マリティア殿の事ですが」

 うっ!すいません!なんとかしといてください!

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