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猫になった
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「どう思う?ムイ」
「すいません、分かりません」
「シェザラは?」
「違和感しかありませんね、徴兵中ですが、ゆっくり過ぎる」
「確かに。スーティオはどう思う?」
「中央からの依頼には見えませんね」
うーん、四人は額を突き合わせる。
「ユーリ、教えてくれ」
最初の例題として、グランベルンまでの旅は続ける事になったようだ。だがそれはグランベルンのアウグスト王を討つ為の旅ではなく、地方領主が兵士を集める理由を知る為だ。
「まず、少し前に確かに兵を集めた事はあった。でもすぐに解除された」
「ふむ?」
「中央からは解除の通達はきたと思うが、その後は何もないはず」
オーグさんはそう言っていた。
「すると地方領主が独断で何か企んだと考えるのが妥当でしょうね」
「私にグランベルンの王が横暴で、草民が困り果てていると言って来た男は何者だったか、今では分からんな……」
考えてる考えてる。そう言うのが今迄なかったんだな。今まではリックの直感と独断が全てだった。それがみんなでおでこを突き合わせて考えるようになった。
これだよ、これ!俺がして欲しかったのは!良かった、きっとリックは色々相談するだろうし、良い関係が作れていくと思う。
なんだか俺、仕事した気がするー!
「あーー頭から煙が出そうです!ユーリさん!知恵をお貸しくださいー!」
ムイさんが悲鳴を上げた。この人もこれで良い。ちゃんと頼めるようになったし、問題なさそう。
仕方がない。最初から暗礁じゃまずいよな。
「俺の考えだけど、良い?」
これは大事なワンクッションだ。
「多分だけど、地方領主の暴走だとは思う。でもその地方領主はどこかの国に唆されたんじゃないかと思ってる」
ふむふむ、と三人は神妙な顔で俺の話を聞いている。レイリーとマリティアさんは
「難しい話、パース」
って言いながら外で遊んでいる。ったくそれだから脳筋が良くならないんだ!
「ここ最近、グランベルンに神獣がたくさんいるのは知ってる?」
「ああ、私に情報をもたらした者がチラリと口にした」
ふむ、そうか。
「神獣達は気ままに寄ってきただけで、グランベルン所属ではない子もいるんだ。でも周りの国はそうは思わない。もしかしたら、神獣の力で攻め込まれるかも知れないっておもったのかな?って」
「なるほど。地方領主もそういう勝ちが確定した戦争が近々起こると仮定して、兵を集めている?」
「勝ち船には積極的に乗ろうとしている訳ですね」
「それもあるかも。後、誰かが無いはずの火種を作って投げ込もうとしているのかも」
リックは顎に手を当てて天井を見る。
「もしかして、その火種の役を私にさせようとしたのか?」
「あり得ますね」
シェザラさんは答え、顔を青くする。リックが戦争の引き金になるかも知れなかったのだから。
「戦争は正義ではない……。多くの民が苦しむ……しかもそんな利権の為だけの戦争など、断じて許せん!」
だん!とリックは机を叩いたが、なかなか頼りになる良い音だった。流石は正義。正しいことと言い切れる強さは神獣一だろうなぁ。
「すいません、分かりません」
「シェザラは?」
「違和感しかありませんね、徴兵中ですが、ゆっくり過ぎる」
「確かに。スーティオはどう思う?」
「中央からの依頼には見えませんね」
うーん、四人は額を突き合わせる。
「ユーリ、教えてくれ」
最初の例題として、グランベルンまでの旅は続ける事になったようだ。だがそれはグランベルンのアウグスト王を討つ為の旅ではなく、地方領主が兵士を集める理由を知る為だ。
「まず、少し前に確かに兵を集めた事はあった。でもすぐに解除された」
「ふむ?」
「中央からは解除の通達はきたと思うが、その後は何もないはず」
オーグさんはそう言っていた。
「すると地方領主が独断で何か企んだと考えるのが妥当でしょうね」
「私にグランベルンの王が横暴で、草民が困り果てていると言って来た男は何者だったか、今では分からんな……」
考えてる考えてる。そう言うのが今迄なかったんだな。今まではリックの直感と独断が全てだった。それがみんなでおでこを突き合わせて考えるようになった。
これだよ、これ!俺がして欲しかったのは!良かった、きっとリックは色々相談するだろうし、良い関係が作れていくと思う。
なんだか俺、仕事した気がするー!
「あーー頭から煙が出そうです!ユーリさん!知恵をお貸しくださいー!」
ムイさんが悲鳴を上げた。この人もこれで良い。ちゃんと頼めるようになったし、問題なさそう。
仕方がない。最初から暗礁じゃまずいよな。
「俺の考えだけど、良い?」
これは大事なワンクッションだ。
「多分だけど、地方領主の暴走だとは思う。でもその地方領主はどこかの国に唆されたんじゃないかと思ってる」
ふむふむ、と三人は神妙な顔で俺の話を聞いている。レイリーとマリティアさんは
「難しい話、パース」
って言いながら外で遊んでいる。ったくそれだから脳筋が良くならないんだ!
「ここ最近、グランベルンに神獣がたくさんいるのは知ってる?」
「ああ、私に情報をもたらした者がチラリと口にした」
ふむ、そうか。
「神獣達は気ままに寄ってきただけで、グランベルン所属ではない子もいるんだ。でも周りの国はそうは思わない。もしかしたら、神獣の力で攻め込まれるかも知れないっておもったのかな?って」
「なるほど。地方領主もそういう勝ちが確定した戦争が近々起こると仮定して、兵を集めている?」
「勝ち船には積極的に乗ろうとしている訳ですね」
「それもあるかも。後、誰かが無いはずの火種を作って投げ込もうとしているのかも」
リックは顎に手を当てて天井を見る。
「もしかして、その火種の役を私にさせようとしたのか?」
「あり得ますね」
シェザラさんは答え、顔を青くする。リックが戦争の引き金になるかも知れなかったのだから。
「戦争は正義ではない……。多くの民が苦しむ……しかもそんな利権の為だけの戦争など、断じて許せん!」
だん!とリックは机を叩いたが、なかなか頼りになる良い音だった。流石は正義。正しいことと言い切れる強さは神獣一だろうなぁ。
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