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猫になった
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「ユーリ!」
「こんにちわー」
次の日の午前中に、俺とレイリーと背中に張り付きっぱなしのミュニィの三人でダリアさんちを訪問した。
「悠里、確かにお前は俺の家を知っているが、こういう風に使われるのは些か腑に落ちん。俺たちは一応隠れ住んでいるんだ。大っぴらに訪れられては示しというものが」
「これ、こびりつかないフライパンっていって、きれいに物が焼けるんですよ」
「……もので釣ろうとはいい度胸だな、試してやろう」
マーブルなんとかコートのフライパンを差し出すと、ダリアさんは台所へ消えた。来訪は許されたらしい。
「悠里、あれ悪魔?」
レイリーが恐る恐る聞いてくるから、そうだよと答えてあげる。
「伝説の殺し屋がエプロン着てフライパン持って楽しそうに台所に消えていいもんなのか?」
「さあ……?誰かに強要されている訳じゃなさそうだよ?」
ダリアさんは仏頂面で楽しそうに家事をしているからそう言う事なんじゃないかな?
そっか、伝説の殺し屋だったんだ。でもそれは自分で選んでなったんじゃないだろうな。今のお母さん業、楽しそうにやってると思うんだ。
「レイリー、ソフィア君の部屋はこっちだ」
俺も勝手知ったるダリアさんの家。この家かなり居心地がいいんだよね、住んでる人たちは物騒なんだけど。
「ソフィア君、いる?」
「あ!ユーリだ!ユーリ!遊ぼう!」
トントンと扉をノックすると勢いよく開いて、中からソフィア君が飛び出してくる。今日も笑顔が可愛い子だよ。
「キラルは元気?」
「うん!昨日はね、僕と同じお布団で寝たんだよ。マリちゃんは拗ねて棚の上だけどね~」
「あ!ユーリ!レイリー!ミュニィもいる!」
お、元気なキラルの声が聞こえてきた。よしよし無事そうだ。ソフィア君はきちんと御世話してくれたようだ。本当にいい子だ。
「キラルとね、遊んでたの。ユーリのくれたスゴロク?って一人じゃつまんないけど、二人でやったら楽しいね~!」
「もっと人数いたらもっと楽しいよ。ほら、ミュニィもソフィア君たちと遊んでやってよ」
レイリーの背中からバリッと引き離してソフィア君の横に置いた。
「わあ!猫ちゃんになってる!かわいー!模様きれー!ねね、僕、ソフィア!君は??みゅにちゃん?」
「どしたの?ミュニィ。ずっと獣化のままなの?なんか怖い事でもあったの?」
「おばけ、こわくて……」
「おばけこわいねえ、みゅにちゃん。ソフィアがなでなでしてあげる~」
「俺も撫でてあげよっか?」
お、仲良くなってる。ソフィア君は子供だし、キラルも子供じみた所があるし、ミュニィも子供に毛が生えたようなもんだろう。キラルもミュニィもソフィア君のしっかりしたところを学んで欲しいな。
そして棚の上に真っ黒な塊が乗っていて、前足の上に頭を乗せて寝ている。マリティアさんは真っ黒なジャガーなんだ。
「おーい」
聞こえないふりをしているけど、耳だけ動いているから聞こえてるんだ。しかも尻尾もちょこっと動いてる。全く、来いって言ったから来たのに。
俺たちは人間から神獣になったけど、マリティアさんは猫から神獣になった。だから猫っぽい部分が大きくてまあほぼ猫だ。
「ほら、にゃおにゅ~る。食べない?」
「食べる」
ひらりと俺の隣に降りて来てお行儀よく座った。無言でぺろぺろとにゃおにゅ~るを食べている。仕方がないので俺とレイリーも無言で座っている。途中で飽きたのか、レイリーもチーターになってしまい
「悠里、そのにゃおにゅ~るって俺にも頂戴?」
なんて言い出して、にゃおにゅ~るの虜になってしまった。なんかヤバイ成分は入ってないはずなんだよね、にゃおにゅ~る。凄いよにゃおにゅ~る。俺も食べてみようかな???
「こんにちわー」
次の日の午前中に、俺とレイリーと背中に張り付きっぱなしのミュニィの三人でダリアさんちを訪問した。
「悠里、確かにお前は俺の家を知っているが、こういう風に使われるのは些か腑に落ちん。俺たちは一応隠れ住んでいるんだ。大っぴらに訪れられては示しというものが」
「これ、こびりつかないフライパンっていって、きれいに物が焼けるんですよ」
「……もので釣ろうとはいい度胸だな、試してやろう」
マーブルなんとかコートのフライパンを差し出すと、ダリアさんは台所へ消えた。来訪は許されたらしい。
「悠里、あれ悪魔?」
レイリーが恐る恐る聞いてくるから、そうだよと答えてあげる。
「伝説の殺し屋がエプロン着てフライパン持って楽しそうに台所に消えていいもんなのか?」
「さあ……?誰かに強要されている訳じゃなさそうだよ?」
ダリアさんは仏頂面で楽しそうに家事をしているからそう言う事なんじゃないかな?
そっか、伝説の殺し屋だったんだ。でもそれは自分で選んでなったんじゃないだろうな。今のお母さん業、楽しそうにやってると思うんだ。
「レイリー、ソフィア君の部屋はこっちだ」
俺も勝手知ったるダリアさんの家。この家かなり居心地がいいんだよね、住んでる人たちは物騒なんだけど。
「ソフィア君、いる?」
「あ!ユーリだ!ユーリ!遊ぼう!」
トントンと扉をノックすると勢いよく開いて、中からソフィア君が飛び出してくる。今日も笑顔が可愛い子だよ。
「キラルは元気?」
「うん!昨日はね、僕と同じお布団で寝たんだよ。マリちゃんは拗ねて棚の上だけどね~」
「あ!ユーリ!レイリー!ミュニィもいる!」
お、元気なキラルの声が聞こえてきた。よしよし無事そうだ。ソフィア君はきちんと御世話してくれたようだ。本当にいい子だ。
「キラルとね、遊んでたの。ユーリのくれたスゴロク?って一人じゃつまんないけど、二人でやったら楽しいね~!」
「もっと人数いたらもっと楽しいよ。ほら、ミュニィもソフィア君たちと遊んでやってよ」
レイリーの背中からバリッと引き離してソフィア君の横に置いた。
「わあ!猫ちゃんになってる!かわいー!模様きれー!ねね、僕、ソフィア!君は??みゅにちゃん?」
「どしたの?ミュニィ。ずっと獣化のままなの?なんか怖い事でもあったの?」
「おばけ、こわくて……」
「おばけこわいねえ、みゅにちゃん。ソフィアがなでなでしてあげる~」
「俺も撫でてあげよっか?」
お、仲良くなってる。ソフィア君は子供だし、キラルも子供じみた所があるし、ミュニィも子供に毛が生えたようなもんだろう。キラルもミュニィもソフィア君のしっかりしたところを学んで欲しいな。
そして棚の上に真っ黒な塊が乗っていて、前足の上に頭を乗せて寝ている。マリティアさんは真っ黒なジャガーなんだ。
「おーい」
聞こえないふりをしているけど、耳だけ動いているから聞こえてるんだ。しかも尻尾もちょこっと動いてる。全く、来いって言ったから来たのに。
俺たちは人間から神獣になったけど、マリティアさんは猫から神獣になった。だから猫っぽい部分が大きくてまあほぼ猫だ。
「ほら、にゃおにゅ~る。食べない?」
「食べる」
ひらりと俺の隣に降りて来てお行儀よく座った。無言でぺろぺろとにゃおにゅ~るを食べている。仕方がないので俺とレイリーも無言で座っている。途中で飽きたのか、レイリーもチーターになってしまい
「悠里、そのにゃおにゅ~るって俺にも頂戴?」
なんて言い出して、にゃおにゅ~るの虜になってしまった。なんかヤバイ成分は入ってないはずなんだよね、にゃおにゅ~る。凄いよにゃおにゅ~る。俺も食べてみようかな???
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